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自力本願  作者: 宮城夜月
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入学

位置について、よーい、ピッ

笛の合図で勢いよく走りだし、一直線にゴールを目指す。道具の必要ない単純なスポーツである。景色が後ろへと流れていき、体が前に進んで行くのが肌で感じられる。あと少し。もう少し。そしてスピードを落とさないままゴールラインを踏み込む。これが走るということだ。

「10秒03!お疲れ様」

中学に上がってすぐに行った体力テストの50メートル走。先生から告げられた記録。この10秒台というお世辞にも速いとは言えず、クラスや学年でも最下位を狙えるこの記録こそが、私の全力であり、実力だった。



望月カンナは、この春から大川中学校の一員となった。大川中学校は、一学年7クラスもある市内でも特に大きい中学校であり、制服こそ可愛くはなく、ダサいの分野に入る方だったが、荒れている中学校が近くに多かったためか、悪い噂のなかったこの学校は他地区から越境したいという人が多く、毎年かなり倍率の高い抽選会が行われていた。大川中学校の学区域に住んでいるカンナにとっては、制服の可愛くないというイメージが強く、越境してまで来たいという人を理解できなかった。

 入学式から一週間ほどたった頃、ホームルームで担任の山橋先生から部活についての説明があった。

「皆さんご存じだとは思いますが、この学校は外部のクラブチームに所属していたり、何か特別な事情で保護者の方の許可があった場合以外は部活動への参加が強制されています。」普段通りの弱々しい声で話す山橋はさらに続けた。「今日から2週間が体験入部期間になりますので、その間に入部届けを提出してください」山橋が話終わると、クラスのあちこちから何部に入るかといった内容の話し声が飛び交った。例によってカンナも前の席の前田遥香に声をかけられたが、まだ決まって無いと無愛想に返事をすると、つまらなさそうに前を向いた。事実なのだからしょうがないじゃないかと思いながらも何部に入ろうかと考えていた。本当はテニス部に入ろうと思っていたが、この学校にはテニス部がないため、本気で悩んでいた。

 カンナの兄、カナトは今年から高校生になった。カナトも大川中学校出身で陸上部に所属していた。3年生のときは部長も務めていて、大会での入賞経験もありカンナとは違い足は速い方だった。彼もカンナと同様にテニスを習っているため、テニス部に入りたかったらしいがそれができないために、テニスにも役立つ走る競技を選んだのだと聞いたことがある。それにしたがって自分も陸上部を考えたが、自分の足の遅さに呆れて諦めつつあった。

お久しぶりです。あるいは、はじめまして。宮城夜月です。

今回は、題材に成ることの少ない陸上競技をテーマにした作品です。

誰もが聞いたことがあり、体育の授業でも必ず取り入れられる競技ですが、本格的なことを知っているのは、実際に大会などに出場していた人ぐらいだと思います。そんな少し可哀想なこの競技を、より知って貰えたら嬉しいです。といったものの、まだテーマに触れる内容はあまり出てきていませんが、この文を読んだ方はこれからも続きを期待していただけたら幸いです。

それではメリークリスマスイヴ!

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