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ひ、久しぶりの投稿です。

凶悪な魔獣たちが犇めく幻惑の森と呼ばれる魔境に棲まう妖精である私は現在、勇者の故郷コンテラクト王国に滞在しております。


妖精という種族は自然と共にある存在なので人里に現れる事は稀であり、ましてや滞在する事なんてほぼありません。


ですが私はちょっと、いえ、かなり特殊な妖精、植物の運行を補助する樹妖精と風と光の精霊を補助する羽妖精のハイブリッド。


なので樹妖精の特性、種族スキルの擬態で人に変化できます。


ただの樹妖精だと何らかの形で植物が付いた人になってしまいますが、人の背に昆虫の羽が生えた羽妖精でもあるので私は完全に人の姿を取れるのです。


ただし妖精の特徴である尖った耳は変わらず、人種のエルフ族に見える容姿に擬態変化してますから私はエルフという事になってます。


エルフ自体が妖精と人の一種である人間との間に生まれた種族なので、擬態した姿がエルフというのはある意味当然でした。


そんなエルフ族ですが妖精と同じように自然と共にある種族で、普段は森の中に居を構え、人里に現れる事は稀です。


ただし人間の血が濃く現れたエルフは閉鎖的な森での生活ではなく自由な人里へと出て生活するそうです。


その手のエルフの数は少ないので、人里に住むエルフもまた稀。


なので私が人里、しかも過去人間至上主義国家であったコンテラクト王国で滞在しているのは、かなり稀なケースと言えるでしょう。


「それで、ご用件を伺いましょうか」


「我も好きではないが、君は挨拶や近況を話し合うなどの会話をしようと思ぬのか、エルフの娘よ」


「エルフ嫌いの国の王と親しくなった覚えはありませんので」


そんなエルフと騙っている妖精な私はコンテラクト王国の国王さんに呼び出されて会談中です。


あ、自己紹介がまだでしたね。


私はアース世界よりこのファンタジア世界に転生してハイチェリーフェアリーというユニーク存在となった妖精少女サクラです、どうも。





何故私がコンテラクト王国の国王、死んだ魚の目をしたやる気ゼロのレンドルフ王と会っているかと言えば、用事があるからと呼び出されたからです。


棲み処が幻惑の森なので普通なら呼び出せないのですが、偶々、いえ、月に1度のペースでコンテラクト王国の王都にある孤児院に遊びに来ているから可能でした。


この孤児院には私が人里へ出る切っ掛けとなった女性、元冒険者のジュリアナさんが経営に携わってる所で、私の滞在場所となってます。


孤児院を経営しているのはシスターさんの愛称で親しまれている老淑女リザリアさんで、彼女はコンテラクト王国の初代女王直系の元王女なのです。


レンドルフ王の伯母にあたるシスターさんですから王家から籍を抜いているとはいえ未だに繋がりがあり、手紙などのやり取りも少なからずあるとか。


しかも1年ほど前の事件、私が王城ではっちゃけた時から何故かやる気を取り戻したレンドルフ王はシスターさんとの連絡を頻繁に行うようになっているらしい。


なので私がよく滞在しに現れる事を知っていたのか、会いに来るように伝言してました。


私にお願いしたい事があると。


あ、そうそう、私ですがリファール王国で冒険者してから幻惑の森へと帰還し、妖精の花園仲間の樹妖精な薔薇姫エフェメラルさんご所望の魔法ポットは届けてありますよ。


多分今日もエフェメラルさんは猿系魔獣のトップであるゴリラな赤毛さんと一匹狼を気取る狼系魔獣の強者なハヤテさんに茶葉を作らせ、新たに加わった少女とティータイムしているかと。


この少女に付いてはまた今度詳しく説明しますが、まあ、はい、エフェメラルさんを始めとした強すぎる先輩たちに涙目で従っているでしょう。


最強の魔獣である熊系魔獣の赤眼様を見た瞬間に気絶した、と聞いた時にはさもありなん、と思いました。


あの人、気が小さいですからね。


さておき、お風呂にどうしても入りたくなって孤児院にやってきていた私ですが、子供たちとお風呂を楽しんだ後、シスターさんに呼び出されてお話を聞きました。


「お話があるという事でしたが?」


「ごめんなさいね、サクラさん、突然呼び出して」


「いえ、お邪魔している身ですから」


シスターさんは70歳を超えるご高齢、人種は全体的に短命、寿命が大体平均して60歳ぐらいなのでかなり長生きです。


人種でも種族レベルが高い人は長生きする傾向にあるようで、しかも魔力が高い者は肉体年齢も若い状態を維持するそうです。


この場合の魔力はMPを指すのか能力値の魔力を指すのか分かりませんが、能力値の魔力が高い者がレベルアップした場合のMP上昇量が増えますのである意味同じなのかな。


そして私が知る人種で一番レベルの高い、レベル40を超える高レベルなシスターさんですからとても長生きです。


でも平均寿命を10も超えると肉体年齢を若く維持する事はできないようで、老衰による足腰の弱体化は避けれない。


現在のシスターさんは車椅子などの補助具がなければ移動できない状態になってます。


魔法で何とかできないか、と以前にもお話した事もありましたが、老衰による状態異常はほぼどうする事もできないらしい。


ほぼ、という事は何かしらの手段があるようですが、その手段が高レベルの癒魔法で作るポーションなので、今の世では不可能というのが見解です。


癒魔法や雷魔法などの派生魔法はレベルの上げ方が特殊なので、私でもそこまでレベルが上げれるかは分かりません。


出来たとしてもかなり先の話でしょうから、ちょっと間に合わないかな。


なので魔法でどうにかするのではなく、出来るだけシスターさんが今の生活をし易くする手伝いをしている所です。


車椅子を作ったり、寝ている時に疲れが取れやすくなる魔法道具のベッドなどを開発してですね。


ちなみにシスターさんは水と地と闇の魔法が使え、地と闇の派生魔法である重力を操る重魔法が使えます。


重力を操るというぐらいですから物を軽くしたり重くするのがお手の物で、最近では重魔法で車椅子を自分で動かして移動したりしてます。


野外に出たら地魔法アースロードで移動するなど、実はすーぱーなお婆ちゃんだったりするのですが。


「申し訳ないのだけど城に行ってもらえないかしら」


「えっと、クルル姫でしたら明日会いに行く予定でしたが」


そんなシスターさんから言われたのは登城してくれとのお願いでした。


私が今言ったように明日クルル姫、この国の第一王女に会う予定、約束はしてませんが会いに行かないと拗ね、げふん、悲しむので元々行く予定でした。


クルル姫とは1年ほど前の出会いから交流を続けており、私がコンテラクト王国へ遊びに来たら大体会ってます。


会うといっても公式訪問ではなく、窓からクルル姫の私室に侵入するという不正規な会い方なので、余り大きな声で言えません。


でも通常の手続きをして会うとなると時間が掛かりますし、私は色々とやらかしましたから貴族や騎士たちに良い顔をされないのですよね。


なのでお友達とはいえクルル姫に会う為に夜に窓から侵入する、どこの盗人ですか、と言われそう事をしています。


「サクラがクルル姫と知り合い、仲が良いってのが未だに信じられないぞ、私は」


「クルル姫は普通の王侯貴族とは違いますからね。私みたいな者にだって普通に接してくれる貴重な人ですよ」


「一応噂だとただの我儘姫じゃなくって、世間知らずというかそういう感じのしない純粋な娘らしいけどな」


「ジュリアナさんとは正反対ですね」


「ひでぇ」


そしてジュリアナさんは私の人間で一番の友達、人種で唯一私が妖精さんである事実を知る人物でもあります。


元冒険者なのに楽天的でうっかりさんな性格をしていた彼女ですが、1年前に私と出会って以降、どういう心変わりがあったのかちゃんとした人になってます。


今では皆が慕う姉御ではなく、皆が頼るお姉さん、孤児院のアナ先生として孤児院だけじゃなく近隣の子供たちにも親しまれてます。


何でも数ヵ月前から以前シスターさんがやっていた裏通りの見回り、要は貧民街などに流れ込むストリートチルドレンを保護したり冒険者として斡旋などの活動もしてたりみたいです。


なので孤児院の子供たちも何人か増えており、部屋が足りなくなってきたので最近部屋を増築する計画を立てているそうなのですが、お金がない、というのが現在の悩みだそうですよ。


しっかり者になっても金銭問題に悩みを抱えているのは変わってないようで、逆に安心しております。


「大姪のクルルーシュも一般お披露目されてちゃんと認知されたのは良い事だわ。後継問題にも言及したようだし、これからは良くなるはずよ」


半年ほど前に今までお披露目されていなかったクルル姫と第一王子であるミュゼ王子が一般にお披露目され、王位継承に付いても国から発表されました。


王位継承者はミュゼ王子で、20歳を超えて王位を継承できるとレンドルフ王が判断したら即座に立太子の儀を執り行って1年後に王位を正式に継承。


ミュゼ王子が20歳を迎えるまでにレンドルフ王に何かあった場合にはクルル姫が女王として即位し、ミュゼ王子が20歳になった時に王位を継承すると。


またエリーゼ側妃を正式に王妃とし、対外活動にも参加させると今まででは考えられない大発表があったそうです。


そしてまだ幼いミュゼ王子は城から出る事はないがクルル姫は王都内、中央広場などに出て民と交流を行っているらしいです。


まあ、クルル姫が大事というのは変わっていない、いえ、当たり前の事ですが厳戒態勢での交流なので台本有りきのヤラセというのが実用のようですが。


「甥のレンドルフの手紙には詳しく書いてなかったけど、多分クルルーシュの事でお願いしたい事があるのよ」


「まあ、私とクルル姫の仲は王城では周知の事実ですからね。クルル姫が話しちゃってますし」


「ああ、それでか。サクラが王都に現れる妖精だ、と噂されてるの」


「え?」


「トウカの妖精が王都に来たから良くなった、と王都中の噂だぞ。クルル姫がサクラとの仲を話してるっていうのも合わさって、ピンク色の髪のエルフのサクラをトウカの妖精って感じでな」


お、おおう。


まさか、エルフと認知されているのに、妖精と思われてるとか、一体どうすればよいのでしょうか?


正体を知ってるジュリアナさんは面白可笑しく教えてくれましたが、ニタニタした笑みで言われたら何だか癪に障ります。


むぅ、ジュリアナさんの癖に生意気ですきゅぃー!




等という経緯がありまして、正式な訪問、召喚状を持って王城へと登城。


久しぶりに登城審査、1年前と同じ審査員と顔を合わせ、引き攣った笑みを貰って入城しました。


今回はどこかの控室に案内されるとか謁見の間に行くとかはなく、やってきた文官の案内でレンドルフ王の執務室に直行するようです。


正式な訪問なので町娘風な衣装ではなく、新作の和風ドレスに身を包んでましたから下手に絡んでくる者も少なく比較的短時間で辿り着きました。


中には声を掛けて来ようとする武官や文官が居ましたが、危険感知に僅かな反応もありましたので今回も風魔法ノイズで気絶させ、案内役の文官さんの顔を引きつらせたり。


1年前に比べたら無いにも等しいぐらいの人数でしたから、逆に心配になりました。


「人が少なくなりましたか?」


「その、去年の出来事で陛下が大改革を行いましたので確かに減りはしました」


「なるほど」


「後、エルフ族に対しても丁重に扱うよう陛下から通達もありましたゆえ、サクラ殿が登城されたとあれば」


「色々な意味で通り道に現れないのですね」


私の言葉には案内役の文官さんの返事がない。


どうやら的を得てしまったようです。


ハイその通りです、とは流石に言えないですよね。


そして大改革って、クルル姫暗殺に関わった人たちを粛清でもしたのでしょうか?


なんて考えている内に執務室の前に到着し、私はレンドルフ王と相対しました。


「陛下、サクラ殿をお連れいたしました」


「入れ」


執務室は質素、余計な物が一切ない部屋で、ただ執務をこなすだけの場所のようですね。


レンドルフ王は何やら書類にサインしており、その手は止まらずに忙しそうです。


普通、王との謁見とかって手隙になった瞬間に行うものだと思うのですが。


「お前たちは全員下がれ」


「はは」


傍に控えていた文官や案内役の文官さん全員退出させ、部屋には私とレンドルフ王だけ。


魔法で調べてみても隠れた護衛などもいないようで、完全な1対1での密談となりました。


そして冒頭でのやり取りを経て、今回呼び出した要件を話してくれました。


「クルルの護衛をしてもらいたい」


「それは私に騎士に成れ、という事ですか?」


「クミルーゼが王となる頃であればそれもよかろう。だが今はまだ異種族を騎士とするには早過ぎる」


「王位継承に付いて発表されたそうですね。あ、私は国に所属するつもりはありませんよ」


「であろうな。護衛と言ってもクルルが外交に出る期間だけだ」


「どういう事でしょう?」


いきなり登用の話とかされても困りますし、その気は一切ないので即断です。


そもそも私は赤眼様の庇護下にありますからね。


それはさておきクルル姫の外交ってどういうことなのか、その辺りも説明してくれました。


1年前の事件を切っ掛けにレンドルフ王は政権を取るようになり、それまで政務を任せていた宰相を解任して国外へ追放したそうです。


そしてクルル姫の暗殺に関わっていた貴族や騎士、暗部の者たちを処断して王都内の大改革を行っている最中なのだとか。


まったく興味もなく任せっきりだった故にあのような事が起きた訳だし当然の決断と行動だとは思いますが、それまでがそれだったので色々と困った事になっていると。


一気に人がいなくなったから人員不足、不正が明るみになったからその是正、他国との付き合いも最低限だったので、その回復をする必要があるなどなど。


やる事があり過ぎて人手もたりないので王族も暢気にしていられないので王妃となったエリーゼ王妃を王城の管理のトップとし、外交交渉のトップをクルル姫にしたそうです。


王妃さんの事はまだ分かるとして、クルル姫の他国との交渉のトップはちょっと無理があると思います。


「まだ17歳のクルルに務まるとは思わん。だが、親の贔屓目を差し引いてもクルルは天然の人誑しだ。悪い結果にはならんだろう」


人誑し発言はどうかと思いますが、確かにクルル姫に悪感情を抱く人はいないと思います。


気が付けば誰とでも仲良く、しかも、我儘を聞いてあげたくなるあの人柄は、確かに天性のものでしょう。


そういう意味ではクルル姫外交官は有かもしれませんね。


「緊急に国交を回復させたいのはソーサリアン。次にリファール。アルカディアも外せんな」


「魔法道具を国営で取り扱い国内情勢の安定化、魔石を安く輸入、神殿との繋がり強化、ですか?」


「政治にも明るいのか?」


「大した事では。政務を行う人員が足りないので政務の簡略化や民意と資金調達の為に民の生活向上による税収入の増大。これを魔法道具でどうにかしようと考えたのでは?」


「概ね合っておるな。ソーサリアンのやり方は理に適っておるし、用いる手段も合理的だ。個人の能力だけでは限界があるゆえに見習おうとしたまでだ」


ソーサリアン魔法王国は王国となってますが、王侯貴族は飾り、リファール王国と同じように官僚制を取って方針は王、実務は官僚が行ってます。


リファール王国自体がソーサリアン魔法王国を手本にした政治形態を取っているというのが実情ですが。


ソーサリアンとリファールの違いは魔法道具が一般化しているかしていないかの差で、魔法道具の国民への普及率は100%だとか。


更に製紙技術もある程度確立しているようで、羊皮紙ではなく紙を使った書類が当たり前で、住民登録やら税の方法もアース世界にかなり近いもののようです。


何だかソーサリアン魔法王国だけ別世界の街となってますね。


この様な話を聞くと、やっぱりソーサリアン魔法王国へ行きたくなってきました。


まさか、それが狙いでしたかレンドルフ王!


あ、そんな事ないですよね、きゅぃー。


「実際の交渉は文官に任せるが、王族が先頭に立って行う事で交渉にも差が出よう」


「クルル姫が外交のトップで他国へ出る件は理解できました。でも、何故私なのでしょう?」


「クルルの希望、というのもあるが」


それが一番の理由な気がしてきました。


「エルフの娘、お主が相当な実力者だからだ。もう一つ言えば人手が足りない」


「実力は、まあ、見せちゃいましたし。しかし、はっきりと言っちゃいましたね」


「事実だからな。どうだ?」


「何処に向かう予定ですか?」


「まずはソーサリアンだ。ソーサリアンへ向かい、帰国するまでの護衛をしてもらいたい」


大変興味のあるソーサリアン魔法王国だし、クルル姫の希望だから受けてみようかな。


「ちなみに期間はどれぐらいになりますか?」


「約1ヶ月だろう。ソーサリアンまでは馬車で約10日。滞在は1週間間を予定しているからな」


1ヶ月も拘束されると考えると、ちょっと躊躇しますね。


そんな私の躊躇を感じ取ったのか、レンドルフ王は次の一手を打ってきました。


「伯母上から聞いたのだが、何でも道具作成が得意だそうだな」


「えっと、まあ、そうですね」


「ソーサリアンには最新の道具、魔法道具以外のものも多いと聞く。そしてその研究も、な」


「むむむ」


「もし、行くのなら紹介状を出しても構わんぞ? コンテラクトからの紹介状だ、かなり融通を聞いてもらえるだろう」


「紹介状」


「何、難しく考えなくて良い。お主はクルルの外遊に同行し、クルルが何かあった時に手助けをする、その程度だ」


「む、むぅ」


「王や国からの依頼ではなく、クルルと一緒にソーサリアンへ行く。それだけではないか?」


「分かりました、お受けいたしましょう」


「おお、そうか。クルルも喜ぶだろう」


あ、思わず頷いちゃいました。


だ、だって仕方がないんです。


最新機器とか、最先端とか興味あるじゃないですか。


それにお友達と旅行とか、ジュリアナさんと旅をしていた時を思い出しましたし。


だから、そう仕方がないのです。


それにしてもしてやられた気分です。


だからちょっと反撃の一手を打ってみる事にしました。


「それで報酬は?」


「おや? お主は褒美は貰わないのだろう? 何せこれはクルルと外遊に出るだけで我が国の事ではないのだからな」


「きゅ、きゅぃー」


カウンターにカウンターを受けちゃいました、きゅぃー!?

お読みくださってありがとうございました。


が、がんばって週に1話ぐらい投稿したいです、先生・・・

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