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美少女エルフ剣士を仲間に加えた妖精さんなサクラです、こんにちは。


美少女エルフさんの名前はアルミラージュ・エスカリア・スィーリルと、とっても長くて多分エルフの王族ではないかと思われます。


そしてエルフなのに剣士という変わった経歴の持ち主で、エルフなのに属性魔法を使いません。


エルフに擬態している私が言うのも何ですが、冒険者をしてる時点でかなり異色な人。


エルフというのは傲慢で他種族を見下してる、と言われていますが、ただ単に閉鎖的な物の考え方をする種族です。


妖精と人間の交配種であり、妖精の血を多く引いている為か自然を大切にし、普段は森の中で生活しています。


そんな狭い世界でしか生きていない者たちですから閉鎖的になり、基本スペックも高いので森の中では最強、なので偉い、他に対して傲慢となってしまった、と推測しております。


そしてアルミラージュさんのように冒険者になるエルフというのはそんな閉鎖的な世界を嫌い、開放的な世界に憧れて森を出た人間に近い者たちなのでしょう。


だからか本来得意であるはずの属性魔法を使わずに剣士なんてやっているのかも知れません。


もしくは属性魔法の才能がなくて嫌になって出て来たか。


まあ、その辺りは個人の問題なので聞くつもりはありませんが。


「何ですって! ダンジョンに入れないってどういう事ですの!」


現在、私はアルミラージュさんと一緒に冒険者ギルドへやってきているのですが、受付嬢である二ムさんへ何時もの完了報告と薬草の納品を済ませ、お話をしております。


お話といっても何か依頼がないかという程度の事なので、いつも通りありませんと聞かされると思っていたのですが、アルミラージュさんが割り込んで中断です。


彼女の冒険者ランクは私と同じ9で、ダンジョンアタックが可能なランクではなかったので噛付いちゃったのです。


気持ちは分かりますが、落ち着いた方が良いですよ。


なお、アルミラージュさんは他の町で冒険者登録をし、そこでランク9まで上げていたそうです。


そして王選が始まるリファール王国のダンジョンを紹介されてやってきた、なのに入れないからと怒っているようですね。


話を聞けば同意できますが、もしかして他でも傲慢エルフさんの扱いに困っていてこっちに回された感じでしょうか?


二ムさんとのやり取りを見ているとそんな気がしてきました。


何せため息とか吐いてますし。


「ルールですから仕方が無いんですよ。確認しましたらアルミラージュさんは後92ポイントでランクアップですから、それまでお待ちください」


「それでは直にポイントが入る依頼を教えて頂戴な」


「ありません」


「ええ!? 何でですの! ここは冒険者の街なのでしょう? 何故ありませんの!」


「確かに冒険者の街ですが、街内のダンジョン以外には危険はありませんし、皆さんコツコツやっておいでですよ」


そこからは私も来た当初に聞いたお話が続き、最初白い肌をピンクに染めて怒り心頭だったアルミラージュさんもだんだん落ち着いて、いえ、顔が青ざめてきました。


彼女も理解したようですが、この国でランク8へ上がるには街中の雑用依頼をやり続ける必要があるんです。


まあ、私には裏技があるので一気に稼ごうと思えば行けちゃいますが。


「そ、そんな」


「そうですね、今お勧めなのは警備依頼ですね。そこそこの実力があればリーダーもやれますからポイントは他の雑用依頼よりも稼げますよ」


「何ですの、それは?」


「各広場で行われている人員整理と揉め事防止、犯罪者逮捕です。あ、詳しい事は発案者のサクラさんに聞いた方が解り易いですよ」


「え?」


何故私に振るんですか。


もしかして面倒になってきましたか、二ムさん。


説明しろと言われたらしますけど。


あれから順調に効果を出したフードコート計画は軌道に乗り、等々この街全体に普及してしまいました。


先日まで指名依頼を受けた私はネルルの安らぎ亭がある中央広場以外の広場4ヶ所にも足を運び、初日だけ監修という名の指導を行いました。


一応ギルド内部で事前講習みたいなのもやっているのですが、やっと講師となる人員の教育が終わったので私の出番は終わったところです。


なので私が一番詳しいのは正解なのですが、それで良いのですか受付嬢、と言いたくなります。


実際にやる場合ですが、1回2時間で銭貨5枚、ポイントは1ポイントで軽食が1食付き。


リーダーとなる人は銅貨1枚で、ポイントは2ポイントで軽食以外に頼んだらお酒が1杯付いてきます。


かなり安い依頼ですが、訓練にもなるし2時間でポイントを稼げるのは美味しい依頼と評判で、ベテラン冒険者さんたちもリーダーとして参加したりする人気依頼です。


まあ、駆け出しか未成年の冒険者が参加する支援依頼という側面が強いものなのですけどね。


なお、現在夜の部も計画中だそうで、これは私は関わっておらず、老マスターさんと商業ギルドで協議中だったりします。


話がそれましたが、そんな感じです。


「なので参加は早い者勝ちですけど、アルミラージュさんには難しいと思いますよ?」


「どうしてですの?」


「だってこの街は他の街と違って人間以外の種族にも寛容ですけど、アルミラージュさんの性格だと反発を受けるかと。命令するのではなく、お願いして移動してもらうんですよ?」


「そ、それぐらいできますわ!」


「素行がちょっとでも悪いとギルドにクレームが入って大変ですよ? 一応罰則規定なんかも設けていますから、違反するとペナルティです」


ここまで言うと流石に自分では難しいと理解したのか黙りました。


いやぁ、だって私がウエイトレスをしているというだけで噛みついてきた彼女に接客関係のお仕事は無理だと思います。


その辺りもあってアルミラージュさんには難しい依頼という訳です。


彼女だけではなく、他の街から流れてきた冒険者の大半には難しい依頼との見解がなされてますけど。


何せ、王選目的で来た勘違い冒険者が多いですから。


事前講習で弾かれる人が多い、それが現実です。


「さて、アルミラージュさんが落ち込んでいる空きに確認したいのですが」


「あ、あなたね!」


「何か依頼はありますか?」


「やっと静かになったわ。そうね、ちょっと待ってね」


「あなたもですの!?」


アルミラージュさんはさておき、私も日課となりつつある無駄な質問をしてみたのですが、今日はいつもと違ってリアクションがありました。


何時ものありませんではなく、書類を確認するというだけですが、二ムさんは比較的優秀な人ですから態々そんな事はしないはず。


これは所謂フリってやつですね。


「サクラちゃんは薬草採取が得意だからこれなんてどうかしら?」


「得意というよりもエルフですから」


「エルフですから当然ですわ。森の植生に詳しくなくてはやっていけませんもの」


「履歴で見る限り討伐依頼のみでポイントを稼がれているアルミラージュさんの発言はおいておきまして」


「う」


「近場に薬草の群生地は発見されてないはずなのに見つけてくるサクラちゃんなら大丈夫だと思うのよ」


実際には私が妖精魔法で生み出して納品しているので街の外に群生地があるかどうかは知りません、はい。


「魔力を回復するポーションの材料となる魔力草の納品依頼。これ3束で銅貨6枚、1ポイント。どうかな?」


薬草は5束で銅貨5枚の1ポイントですから若干お得な依頼のようですね。


あ、報酬に関しては品質によって多少上下しますので本来は鑑定後に決まるのですが、私はほとんど高品質でしか納品していませんのでそれを基準に話してもらってます。


「なるほど。ちなみに魔力草はこれであってますよね?」


1束だけ即座に作り、まあ、品質は劣化にしてありますが妖精鞄から取り出すフリをして見せました。


勿論あっているはずですが、念の為の確認です。


「あら、持ってたのね。うーん、かなり劣化しているから納品はできないわ。でもそれが魔力草ね。やっぱり群生地を見つけたの?」


「いえ。これはこの国に来る前に採取していたものです。ただ、他のギルドでは依頼がなかったので納めてませんでした」


「魔力回復薬は難易度が難しいから作れる薬剤師や錬金術師は中々居ないのよね」


薬剤師と錬金術師の違いですが、薬剤師は手作業で全てを行う人で、錬金術師は魔法も使って行う人、という括りになってます。


薬剤師の方が割合としては多く、錬金術師は希少だったりします。


材料無しでポーションを直接作れる癒魔法の使い手は稀にしか存在しない、いえ、秘匿されてますから表向きは錬金術師として活動してます。


そして出来上がりの品質も魔法を使う分錬金術師製の方が良いのが一般的です。


市販されているポーションのほとんどが薬剤師製の低品質か普通で、錬金術師製の高品質は高額商品とされてます。


なお、癒魔法で作るポーションは最低でもマスタークラスですから王侯貴族ぐらいしか所持してない最高級品。


なので私が作るポーションは全部世に出せないという地雷品だったりするので、ポーション屋開業は儚い夢なのです。


折角がんがん作れるのに出せば面倒にしかならないって遣る瀬無きゅぃー!


興奮して噛みました、ごめんなさい。




「それで、群生地はどこにありますの?」


さて、依頼を受けましたから早速街の外までやってきたのですが、アルミラージュさんも何故か付いてきました。


仲間発言していたのにこの扱いはどうなの?と言われそうですが、だってあまり知られたくないスキルを使っての事ですから同行して欲しくなかったのです。


付いてきてしまったので仕方がありませんし、よく考えたら彼女もエルフなのですから妖精魔法の事を話しても良いですね。


「群生地など知りませんよ。アルミラージュさんも出来るじゃないですか」


「え?」


何でしょう、この反応?


妖精魔法(樹)を使っていたのに薬草を生み出せないとか?


いえいえ、まさか。


でも、この反応からするともしかすると?


「あの、アルミラージュさんの所では薬草はどうやって採取してます?」


「勿論専用の園を作ってますわ。薬草だけではなく魔力草も。専用の庭師が管理していてよ?」


「まさか栽培していたのですか。アルミラージュさんの一族の祖は樹妖精ですよね?」


「ええ。始祖スィーリルは樹妖精にして水仙の化身ですわ。ですから私の一族は水魔法も得意ですわ、私は使えませんけど」


水仙という事はマンドレイクですよね。


最後はぼそっと呟いただけなので、聞かなかった事にしてきましょう。


「そうですか。まあ、歩きながらお話しますが、私は探し物も得意ですけど別に群生地を見つけて栽培などしてませんよ」


「え? ではどうやって薬草を入手してますの? 見る限りこの辺りの草原では魔力草はおろか薬草が生えそうにありませんわよ?」


流石エルフさんですね、その通りこの辺り、厳密にはリファール王国では薬草などの特殊な草木が生える環境ではなかったりします。


理由は分かりませんが他の地域と違って地中の魔力が少ないからで、普通の植物だったら問題ないのですが魔力が栄養の1つである草木は育ちにくい所なのです。


二ムさんに聞いた話ですがリファール王国では薬草やポーションの供給をほとんど外国に頼っているらしい。


私が納品している薬草などはギルドお抱えの薬剤師がポーションに変えているそうで、先日薬草の大量入手と薬剤師の補充、錬金術師の到来があったので魔力草の納品依頼が発生したそうです。


これらは全て王選絡みの事であり、老マスターさんが儲けようとして動いた結果なんですって。


そのお蔭で良い依頼が発生したので今回ばかりは老マスターさんの強欲に感謝です。


「えっと、普通に妖精魔法で生み出してますが。きゅぃーっと」


「え? ええ!?」


早速薬草を妖精魔法(樹)で種をぽんっと生み出し、成長で普通サイズまで育てました。


掛かった時間は数秒ですから簡単なお仕事です。


しかし何でそんなに驚いているのでしょうか?


昨日アルミラージュさんも木を生み出して木剣にしていたじゃないですか。


「ど、どうやりましたの、今の!」


「え? 妖精魔法(樹)ですけど」


「何もない所からた、種が。あ、あり得ませんわ」


おおう、何でそんな発言が?


と思ったので聞いてみましたら凄く興奮しながら説明してくれました。


何とエルフさんたちは種を生み出せない種族だったのです!


いや、まあ、普通に考えたら当たり前なのですが、私は普通に出来ていたので妖精魔法(樹)が使えるなら出来ると思ってました。


だって幻惑の森の妖精さんたちのほとんどが出来ますし。


それに昨日の木剣のと言ったらアルミラージュさんは手を差し出して説明してくれたのですが、木の指輪がはめておりまして、それを変化させただけだったようです。


それはそれで異常だと思うのですが、まあ、それはおいておきまして。


どうもアルミラージュさんが住む森のエルフ、エスカリアの森と言うそうですが、誰も妖精魔法(樹)の種は使えないそうです。


勿論樹妖精さんたちは使えると思うのですが、彼女たちは始祖スィーリルの眷属なので神聖な存在として崇められており、どういう事が出来るかはっきりしていないそうです。


兎も角、エルフの妖精魔法は劣化版という事で。


「なるほど。アルミラージュさんの一族は使えないと」


「ま、まさかあなたの一族は全員使えますの?」


「はい」


一族といっても私だけですが。


「そ、そうですの」


「さておきまして、アルミラージュさんには無理という事は分かりました。あ、一応私が薬草を生み出せることは黙っていてくださいね」


「どうしてですの?」


「もしばれたら面倒になるからですよ。だって無限に生み出せるなんてお金になるじゃないですか」


「そうですわね。人間は強欲ですからあなたを攫うかも知れませんわ」


「私だけじゃなくエルフ全体を狙うと思いますよ」


「あ、あり得ますわね。分かりましたわ、誰にも言いませんわ」


取り敢えずこれで一安心なのですが、うっかりきゅぃーでした。


それではしばらく時間潰しをしなくてはいけなくなったのですが、どうしようかな、と思っておりましたら危険感知に若干反応がありました。


なんだろう?と辺りを見回してみても特に何も見当たらず、そもそも見渡す限り木々がほぼ無い草原ですから危険が少ないはずです。


それなのに反応があったという事は、と思って魔法込みで探索スキルを使った結果、高速でこちらに近寄ってくる複数のものを発見しました。


黒くて大きい、そんな存在が私たちに向かって近寄ってきております。


まさか、ちょっと外に出ただけで襲われるとか、どうなってるですきゅぃー!

お読みくださってありがとうございました。


明日も投稿予定ですが、本編ではなくクリスマスSSをアップ予定です。

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