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昨日書きまくって疲れたのかぐっすり寝すぎました。
久しぶりに12時間以上寝ましたよ。
あ、今日は1話のみ投稿です。
等々総合評価が500pt突破しました。
ありがとうございます。
冒険者になりに来たのに商売人をやっている妖精少女サクラです、どうも。
老マスターさんとの交渉の結果、冒険者ギルドも昼のフードコート計画に参加する事になりました。
私が冒険者ギルドに提案したのは冒険者による警備です。
広場などの公共の場所であれば国の兵士たちが警備隊として巡回をしていますが、あくまでも何かあった場合にしか動いてくれません。
なのでアース世界にあるような警備業、誘導や犯罪抑止の部分を冒険者にやってもらう事でした。
元々冒険者には施設や馬車などを護衛する依頼が存在しますし、それほど難しい事ではないはず。
と、思ったのでこの提案をしました。
私が提案した誘導と抑止ですが、最初誰も理解できませんでした。
そりゃあ本業の商売人でもないし、アース世界のように情報が簡単に手に入りませんからそういったノウハウは持ってないので仕方がないです。
なのでまずはそこから説明しました。
広場での人の動きにはある一定の決まった流れが存在し、人々は無意識のうちにそれに従って行動しています。
ところがそこに新たな動きをする集団が現れたらどうなるか?
混乱してパニックになる、が答えです。
そこで流れを妨げないように、そして新たな流れを既存の流れに溶け込ませるように誘導してあげれば無用な混乱は避けられます。
混乱が起きたら警備隊がやってくるし、人々から受け入れられないので商売にならないですからね。
「なるほどの。でも誰が金を出すのじゃ?」
「もちろんギルドです」
「いや、護衛依頼系はランク7からじゃ。それだけに報酬も高くなるから割に合わんだろう」
「護衛の要素を含みますが、基本的は声を掛けたり手振りで合図して流れを制御するだけですよ。子供でなければ出来ると思いますが」
「駆け出し冒険者に、か。それなら確かに費用、ごほん、報酬は少なくて済むな」
「後、複数人を1つのグループとして子供にもやらせた方が良いですね。メインは大人の冒険者、子供はサポートで報酬は低め、とかなら」
「あー、あれかい? 役割分担を学ばせる意味もあるって言うのかい?」
「そういう事です。聞けばダンジョンに潜る場合は複数人で集まりグループを作るのですよね? だったら連携を深めたり合図などで呼吸を合わせる訓練にもなります」
「慣れさせる意味でも良さそうじゃの。それにダンジョンへ潜る前に相性なんかもみれるわけじゃな」
「ええ。ですから初心者用の教習として組み入れたり、ダンジョンに潜る前の研修としてやらせたりすれば」
「その名目で費用は抑えられるか。良い案じゃな」
こういう新人教育って考え方はアース世界の会社とかだと当たり前みたいですから、それをファンタジア世界に持ち込んだだけですが、中々良い感触です。
「そういう実利的な事ではなく冒険者が誘導する事での利点の方ですが、この国では冒険者という職業は憧れの対象なんでしょう?」
「そうじゃな。貴族になれたり王から表彰されるなど、普通にしているよりも夢があるからの」
「そんなに甘くはないんだけど、冒険者じゃない奴からしたらそう見えるだろうな」
「そんな冒険者が案内してくれて、見回ってくれてるんです。広場にいる人たちにとっても受け入れ易いし、従ってくれ易いと思いますよ」
「確かにそうじゃな」
「そしてこれは犯罪抑止にも繋がりますが、冒険者が見回っている場所で何かしようと思わないし、起きてもすぐに鎮圧出来ます」
「まあ、起きる時は起きるじゃろうが。でもただ暴れているだけの人を冒険者が襲い掛かったら警備隊に捕まってしまうぞ?」
「そこは食事スペースを提供する経営者さんや屋台の店主さんから依頼を受けて護衛しているとしておけば良いんですよ」
「な、なるほどの。名目は付く訳じゃな」
「もっと良いのは商業ギルドから依頼してもらう事です。組織が大きい所からの方が理由としても立派になりますから」
「いや、本当によく考えられたアイデアだな、サクラ。でも、そういうのには絶対絡んでくるのが出てくるぞ?」
「ああ、裏社会とかそういう類の人たちですか。そっちは商業ギルドに任せましょう。実力行使に来ても現場には皆の頼れる冒険者が居るんですから」
「むぅ、そこまで来ると貴族連中も絡んできそうじゃの」
「そこは支部長さんと商業ギルドの頑張るところでは? 簡単に儲けれる方法なんてないんですから」
そんな方法があったら全員裕福になってますよ。
そしたら世の中ニートだらけになって破滅です。
あ、でも、ファンタジア世界のニートは立派な職業ですから大丈夫ですね!
ここまで提案してみて、アイデア料としてそれなりの料金を提示されましたが、それはお断りしてランクアップをお願いしておきました。
もちろんそんな前例はない訳ですが、ラノベなんかでよくあるマスター裁量による特殊処置みたいなのがやっぱりありまして、しぶしぶを装って了承してくれました。
「じゃがいきなり話を持って行っても無理じゃな」
「でしょうね」
「まずはネルルの所でやってみて、その結果を持って商業ギルドに話を付けに行くしかないじゃろう」
「まあ、そうなるな。で、冒険者の手配はどうするんだい、ドラン爺?」
「それは提案者の小むす、サクラがおるじゃろ。後はワシの方で見繕う。もちろん受けるよな?」
「きゅ、きゅぃー」
あ、やっぱりそんな簡単にはいきませんよね。
結局、私は冒険者として警備依頼を受ける事になりました。
だから私は冒険者になりに来た、と。
商売人から警備員にクラスチェンジした妖精少女サクラです。
流石に袴姿では冒険者に見えない、と言われたので帯剣した騎士服姿で行う事になりました。
騎士服は良いとしてヴァルキリーレイピアだと豪華すぎるので、コンテラクト王国の騎士団長さんが使っていたような騎士剣ぽいものを急遽作成して装備です。
性能としては硬いだけで切れ味はほぼなく、魔力を通すと雷魔法ショックが発動するスタンバンドみたいなモノにしておきました。
この装備一式を見て老ギルドマスターさんから色々と質問されましたが、そこはいつもの一族伝来品ストーリーで逃げました。
駆け出しが持つには不釣り合いな装備ですし、下手をするとランク4や3でも持ってないそうですから聞きたくはなりますよね。
でも、ちゃんと話せないし、話すつもりもないですから伝来品ゆえにの一手で押し切りました。
今回の提案の件もあって相当目を付けられちゃったなぁ、と目立ちたくないのにやっている事が真逆なうっかりきゅぃーです。
さておき、女将さんから広場の軽食系屋台に話してもらい、私は老ギルドマスターさんが用意した冒険者たちと合流しました。
やってきたのは全員それなりにやれそうな人たち、ジュリアナさんレベルぐらいの人たちでした。
あれ、駆け出し向きと言ったはずなのですが?
「おお、本当にピンク色だな」
「こら、失礼じゃない。ごめんなさいね、あなたがサクラちゃんで良かったかしら?」
「そういうイリスも子供扱いしてるっすよー」
「うむ、このお嬢ちゃんはリーダーなのだ。ちゃんと立てなくては」
「バッカスも嬢ちゃん呼ばわりじゃん」
うん、なんとも冒険者らしい集団の登場です。
一頻じゃれ合い漫才を披露してくれたカルテットですが、私が黙ってじーっと見てましたら慌てて謝ってくれて自己紹介タイムに突入です。
全員ランク5の冒険者で、普段はダンジョンに潜って生計を立てている冒険者ギルドへ正式にチーム登録している集団、クランだそうです。
またもや出ましたよテンプレ、とか思いましたが自己紹介中でしたのでぐっと堪えて会話を続けました。
クランリーダーはちょっとチャラい感じの人間の青年アレックスさんで、両手剣を使った前衛アタッカーだそうです。
私へ優し気に話しかけてくれたのは泣き黒子が特徴的な美人イリスさんで、水魔法が得意なヒーラー担当。
何々っす、と下っ端口調なのは成体でも人間の幼児程度の身長しかない小人の少女ミミさんで、弓による遊撃担当。
最後はどう見てもお爺さんなドワーフであるバッカスさんで、土魔法が得意な後衛アタッカーです。
敵の攻撃を引き付けて抑えるタンク役がいない力押しパーティーです、ありがとうございました。
「まあ、俺たちはこんなのだ。マスターから頼まれてな、面白そうな事をするからやって来いって言われてよ、来たわけだ」
「本当にアレックスは話を聞いていないわね。今日の私たちは護衛任務よ。でも案内とか誘導とかもするって聞いたけど」
「あー、確か詳しい事はサクラちゃんに聞けって言われたっすね」
「あの御仁は切れ者なんじゃが、面倒事は他に投げるところが曲者だの。申し訳ないが説明してもらえるか、お嬢ちゃん?」
「え、ええ、良いですよ」
なるほど、あの人はそういう人ですか、今後も利用されないよう気を付けないと。
そういう事で彼らに今回の目的、その必要性などを説明しまして、理解出来ない部分の質疑に応答しました。
結局アレックスさんは最後まで理解しきれませんでしたが、そこは同じ村出身の幼馴染であるイリスさんがコントロールする事になりました。
この人たちはリファールで出会って意気投合してクランを立ち上げたそうですが、アレックスさんとイリスさんだけはそういう関係のようです。
これもテンプレだなぁ、といろんな意味でお腹一杯になりつつ、そろそろ昼前になってきましたから始めたいと思います。
二人一組になってもらい、私はそのサポートに付く形でまずは運用です。
広場を利用する人たちの分類は、午前中は専業主婦や商売人がほとんどで、昼頃は休憩の為に近くで働く人たちで溢れ、午後は夕方まで再び主婦と商売人と変わっていきます。
なので私たちがやるのは休憩の為に来た人と、数少ないけどただ通るだけの通行人がぶつからないようにする事。
そしてネルルの安らぎ亭へ目指す人を案内する、これらが主な仕事になります。
実際に休憩の為にやってきた人たちが広場に集まり、屋台などで買い物し始めた所で問題点が浮上しました。
安く買えるからと本当にネルルの安らぎ亭を利用するのか、という事ですね。
これは実際に購入した人たちの中で、アレックスさんたちの案内もあって素直に移動してくれる人の中で数少ない迷う人たち、お金が勿体ないと感じる人たちが出たから判明しました。
うん、これは想定すべき事態でしたね。
憧れの冒険者ブランドでかなりの人が利用してくれてますが、やっぱり中にはそういう人も出る訳で、そこをどう取り込むかが問題です。
しかし、これに関しては認知度を上げていき、昼は屋台で買って屋根のある場所で食べる、というスタイルを確立すれば改善されるかな、と思います。
後、昼を家で食べている人たちにも広がればお客さんはどんどん増えると思いますし。
それはそれで女将さんの店だけでは足りないから、どうにかしないといけない新たな問題になりそうですが。
でも実際に2時間ほどやってみて、大きな混乱もなく、利用した人たちから喜びの声も聞けましたから、まずまずの成功だと思います。
「ふはー、疲れたな」
「そうね。普段ここまで声を出したり敵意のない相手に警戒するなんてしないものね」
「そうっすねー。でも、これは良い訓練になったっす」
「うむ」
「それは良かったです。あ、一応サービスで1杯だけお店で飲めるそうですから行きましょうか」
「「「「おおお!」」」」
労働の後の一杯は格別らしいですからね、この依頼が良いものだと冒険者に広まるようにした一手です。
だって警備役の冒険者もやる気がある方が、お客さんたちにとっても魅力的に見えますからね。
偉そうだったり、不機嫌な態度で接されると嫌な気分になりますから、サービス業の基本です。
アース世界の知識より抜粋いたしました。
「いやぁ、正直言うとあの爺さん耄碌したんじゃ? とか思ってたけど、受けて正解だったな!」
「そうね。報酬額は低いけど、訓練になるし時間も短いからお得な依頼よ」
「後、街の人からちやほやされたのも気持ちよかったっす!」
「そうじゃな。ダンジョンだとどうしても触れ合いがないからの。これは良い息抜きにもなるの」
「おいおい。あんたら飲んでくれるの良いけど儲けがなくなっちまうだろ?」
「いやぁ、女将さん。こんなに旨く飲める気分なのに一杯だけとか逆に無理だって!」
「そうっすよ。これ考えたの誰なんすか? やられたって感じがするっすよ」
「ああ、このサービスもサクラの提案だよ。と、いうか全部サクラが考えたんだ」
「「「「え?」」」」
はい、現在宴会が始まった現場からお送りしております、妖精少女サクラです。
女将さんのお店にやってきた私たちはそれぞれ好きな飲み物を1杯だけご馳走になり、いつも以上に美味しく感じたアレックスさんたちがそのまま追加注文し始めました。
すでにお店はピークが過ぎて給仕担当のミラさんたちは休憩に入ってましたから、女将さんだけしかいないので私はウエイトレスモードに変身中です。
女将さんもMPをそれなりに消費して若干疲労が見えましたのでヘルプに入った次第です。
そうそう、肝心のお店の方はというと、案の定いつも以上に来客数が多く、水だけじゃなく、ちゃんと飲み物も注文する人がいたそうです。
売上額はそれほどでもないですが、利益額でいえば過去最高だそうですよ。
そりゃまあ、人件費以外に掛かったコストがほとんどないんですから。
ただやっぱりこれ以上増えたら客席が足りなくなりそうだ、と苦笑されました。
そして盛り上げってきたアレックスさんたちから出た質問で、私に注目が集まりました。
「えっと、サクラちゃんの恰好からいえば前衛の戦闘職なのよね?」
「私は本来魔法主体ですよ。ただ武器を所持していないと抑止になりませんから」
「へぇ、そうなんすね。じゃあその剣は完全な飾りっすか?」
「いえ、剣術や体術も嗜んでますよ」
「え? それじゃあサクラちゃんは魔法戦士なの?」
「エルフですから職業は妖精戦士ですね」
本当は現在騎士をメインに育てていて、給仕中ですからメイド長やってますが。
「うわぁ、すごいっすね。将来有望じゃないっすか」
「そうじゃの。見た限り身の熟しもしっかりしておった。剣を交えてもアレックスと同等かも知れんぞ?」
「え? でもサクラちゃんはまだ子供よね?」
「人間とエルフを一緒にしたらいけないっすよ。エルフたちは基本森の中で生活してるっすから、生まれながらにして狩猟民族っす。しかも魔法も得意っすから万能っす」
「すごいじゃん、サクラ! よし、ランク8になったら一緒にダンジョンに潜ろうぜ!」
「そうね、それは良さそうだわ」
なんだか私がクラン入りするような流れになってますが、なぜこうなったのでしょうか?
年齢制限でランクが上がっても1人でダンジョンアタックできませんし、誰かと組む必要性は感じてました。
でも、私の場合は秘密が多いですからすごく悩み処なんですよね、よく知らない人と組むのは。
ただこの人たちは人が良さそうだし、ちょっとありかなーとは思いますけどね。
「やめとくれよ。サクラはうちで働いてもらうんだ。あんたらに付き合ってたらダンジョンばっかりになっちまう」
私はここに就職した覚えはないのですが、女将さん。
「えー、折角の逸材なのにひでぇよ、女将さん。いくら鉄拳姫って言っても」
「ああん? 誰が何だって? あたしが何だって言うんだい?」
「あ、いえ、何でもありません」
あ、あの二つ名は禁句なんですね。
確かに物騒な二つ名ですし、女性としては遠慮したいですよね。
私もうっかり言わないように気を付けておきましょう、きゅぃー。
お読みくださってありがとうございました。




