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本日は1話のみ投稿です。

先日、まるで最終回か第1部完とか想像させるようなシーンを演出しちゃった妖精少女サクラです、こんにちは。


あれだけ綺麗な退きの雰囲気を出しておきながら、まだ私は孤児院の生活を楽しく続けております。


今朝だって同室のジュリアナさんを起さないように早起きし、料理当番の子供たちと朝食を楽しく作りました。


朝食後もファンタジー農園で農園担当の子供たちと一緒に水やりや収穫をして、皆に内緒ね?と新鮮な果実を美味しゅうございますしました。


さらにその後は洗濯担当の子供たちと洗濯機をぐるんぐるんと回しながらお話しし、掃除担当の子供たちと院内を誰が一番綺麗に出来るかを勝負したりしました。


ここ数日、弟さんが出立してから毎日こんな生活を送っております。


それはとても楽しく、まるで幻惑の森の妖精の花園で仲間たちと庭園管理している時のような喜びがありました。


そしてそんな日々の午後はジュリアナさんとの王都観光です。


王都で一番大きな市場に出掛けたり、王都で一番大きな公園に出掛けたり、王都で一番大きな噴水のある広場に出掛けたり、王都で一番大きなと付く観光スポット全てに出掛けました。


その中にはもちろん王城も含まれるのですが、あそこは近寄るよりも離れて見たほうが景観としては最高なので、孤児院の屋根に登って見ましたけどね。


ちなみにその時にジュリアナさんが屋根を踏み抜いてしまって、臨時の大工仕事をする羽目になったのはご愛敬だと思います。


まあ、そんな楽しい王都の日々を送っていた私なのでした。




「取りあえず王都の観光名所は全部回ったな。何か見たいものとか行ってみたいのとかないか?」


「んー、そうですね。本が沢山おいてある場所か、魔法道具が売っている場所でしたら行ってみたいですね」


「本かぁ。王立図書館つーのがあるけど、あれは貴族街にあって貴族しか入れない筈なんだよな」


「あー、はい。理由は本が高価だからですね」


「まあな」


孤児院やギルドで見た本は全て手書きの物ばかりでした。


ファンタジア世界では活版印刷がまだ開発されていないようで、紙も厚紙だしまだまだ本文化は発展途上にあるようですね。


そんな中、太陽神殿の真実の瞳は転写機能が付いてるとか、文化のレベルバランスがちぐはぐなのが気になります。


この辺も共通言語が日本語とかと同じように歪なシステムを作った誰かさんの思惑なのですかね?


・・・うん、これらを考え出すと眠れなくなるのでスルーしましょう、スルー。


「魔法道具の方はどうですか?」


「ギルドの2階に多少は置いてるな。あとは貴族街にあるけど、あそこは貴族とか豪商なんかの金を持ってるやつらが行くところだな」


「確かギルドで販売しているのは依頼中に発見した物でしたか」


「ああ、そういや説明してたっけ? まあ、だから効果が不明だったり効果がいまいちだったりと人気はないなぁ」


「そうなりますか。かといって貴族街は近寄りたくないですし、諦めた方がよさそうですね」


「まあ、よっぽどじゃなければ貴族街は近寄らない方がいいな。あそこの連中はすぐに難癖付けて私たち平民を虐待しやがるからな」


「うわぁ。絵に描いたような傲慢貴族の巣窟じゃないですか。よくそんな状態で国や王都が回りますね」


「んー、確かに貴族に対しては不満はあるけど、この国の人は他国に行こうとは思わないだろうな」


「何故ですか?」


「そりゃあ、勇者クリスや妖精女王メイヴが命懸けで守ってくれた国だからだな。私たちは彼らからこの国を託されたと思ってるぜ」


おや、本当に人気がありますね、妖精女王は、あと序に勇者も。


幾ら救国の英雄たちとはいえ、100年も前の出来事で人物なんですけどね。


過去の偉人で誰が好きですか?という質問をされて答えるだけのレベルを超えて、崇拝しているレベルですよね、これ。


魔物が居て、魔法があり、神の恩恵が受けられるファンタジア世界だからこそ、何かを信じて敬う気持ちが強いのかもしれませんね。


これは本格的にアース世界の神様を布教するとか止めておいた方がよさそうです。


宣教師として活動したら異端審問といかなくても、人々に虐待されそうですし。


それでなくともこの国ではエルフは良く思われていないですから。


本当は私、妖精さんですけど。


「んー、そういやエルフの中ではどういう扱いなんだ、勇者や妖精女王は?」


あ、答えに困る質問が出てきましたね。


私はエルフを騙っているだけで、本当は妖精さん、とさっき言ったばかりですけど、そういう事なのです。


ですからエルフの中でどうか、と聞かれても答えられません。


ですからここは久しぶりにストーリーを即興しましょうか。


「そうですねぇ。実は私は他のエルフ族と出会った事がないのですよ。私の知っているのは一族のみです」


「おや、そうなのか?」


「ええ。私の生まれた森はとても辺境にありましてね。ほとんどの者はその森を出る事無く一生を終えるのですよ」


「んー、なのにサクラは出てきたと。確か幻惑の森に用事がなんたら言ってなかったか?」


そんな事を言った気がしますね、それも入れておきましょう。


「その、私は一族でもそれなりの立場の出ですから掟に従って試練を受けなくてはならないのですよ」


「へぇ。人間で言ったら貴族や王族みたいなものか」


「はい」


全くの嘘で前世でならば平民、今世だと一人だけの種族です。


ボ、ボッチ違いまきゅぃー!


ご、ごほん、噛みました。


「私の鞄や武具を引き継いでいまして、それらを使って幻惑の森の主様の試練をクリアし、一族の後継者として認められないといけないのですよ。それまで掟で森へは帰れません」


「なるほどなぁ。じゃあ、やっぱり休眠期だから今は受けれないと」


「そう言う事です。ですから幻惑の森で滞在していたのですが。折角なのでこれからは色々な所に行ってみようと思います」


「そうかぁ、すごいな、サクラは」


う、嘘ストーリーだからそんな優しい目で褒めないでください。


こ、心が痛きゅぃー!?


あ、これは噛んでません、誤魔化しました。


「そ、それでですね、ですからエルフの中ではと聞かれても解りません、という事になりますね」


「ああ、そうなるか」


「ただ、エルフは自らの祖となる妖精に敬意、人によっては崇拝していますから、妖精女王やその眷属を祖とするなら尊敬してると思いますよ」


まあ、今までの話を聞いた上での推測ですけどね。


「なるほどなぁ。で、サクラとしては?」


「ひ」


「ひ?」


「秘密です」


可愛く人差し指を口元に持っていきウインクしたのですが、ジュリアナさんには呆れられました。


ぐぬぅ、失敗です。




「ここがギルドで一番不人気な場所だ。不満があるのは1階だけどな」


「なるほど」


「あのー、それでなくともお客様が来ないのに、営業妨害はやめてもらえませんか?」


「よう、レベッカ。元気してるか?」


結局行先が決まりませんでしたので、冒険者ギルドの魔法道具販売所にやってきました。


このフロアにはちゃんと冒険者を始めとしたいろんな人たちが沢山いるのですが、この一角だけ誰も居なかったりします。


そんなスペースの無駄の主をしているのが、先日の偽造鑑定書事件で光魔法を使ってくれた女魔術師のレベッカさんです。


聞いたところによると彼女はここを選任としているギルド職員で、普段から鑑定スキルに頼らない鑑定を行っているそうです。


光魔法のレベルが2な理由はここにあるようで、物に触れずに鑑定できるのはやっぱり重宝されているとか。


おそらく魔法道具の中には失敗作か呪われているのか、持つだけで効果が発動してMPを消費し続けるのとかありそうですしね。


これって重宝じゃなく、誰もやりたがらない部署へ適性があるからと回されただけなのでは?


と、ちょっと思ってしまいました。


レベッカさんは素直ですし、断れなかったんだろうなぁ。


「ふ、不憫です」


「え? どうかしました?」


「いえ、何でもありません。ところで物を拝見しても?」


「ええ、どうぞどうぞ。でもほとんど鑑定されてない物ですから不用意に触らない方がよいですよ」


そういうのは表に出さずに裏にしまっておきましょうよ。


まあ、私は鑑定スキルがあるので大丈夫ですが。


「んー、効果が解っているものはどれですか?」


だからと使う前に鑑定済みの魔法道具をまずは見せてもらいました。


うん、ジュリアナさんから事前に聞かされていた通り、微妙な物ばっかりでした。


1日にコップ1杯分だけ水が出せる水筒、眩しいぐらいに輝く光石、発動まで1時間掛かる着火棒、などなど。


まだちょっと使えそうかなと思ったのは、火傷するほどの熱風が出て使い手も持った手を高温で火傷する謎の筒、ですね。


これ耐熱仕様の手袋をしながらなら攻撃に使えそうですよね。


ちなみに鑑定の結果は粗悪品で、本来は火炎を吐き出す砲銃を作ろうとした失敗作のようです。


・・・たぶん、これって日本人転生者が作ろうとしたやつでしょうね、魔法銃目指して。


MP効率とかは良いのに失敗してるってところが勿体ないですね。


もしかしたら失敗したから破棄されて、遺跡で眠っていたのかも知れないです。


なお、この失敗作は過去存在した都市、遺跡から発掘された物だそうですよ。


「んー。全部確かに微妙ですね」


「だろ?」


「うう、やっぱりそうですか」


「でもこの筒は改良出来ればすごい魔法道具になりますよ。しかるべき研究機関に売り込んでみては?」


「え?」


「ほ、本当ですか!?」


「はい。おそらくこの魔法道具は火魔法による攻撃を再現しようとした攻撃用携帯型魔法道具でしょう。ただ、現状の効果は失敗していますから、そこを解消されれば」


「火魔法が使えない人でも魔法攻撃が出来る!」


「その通りです。このような攻撃用の携帯型魔法道具って開発されているのですか?」


「あ、ありません。いえ、研究はされているようですが、上手く行っていないみたいですね」


「そうですか。ではそういう研究をしているところに、火と風のバランスが崩れているからの失敗で風を抑えれば、と言って売り込んでみてください。中々の取引になると思いますよ?」


「す、すごい! これは支部長にお知らせしなくては!」


あ、失敗作片手に飛び出していきましたね。


「・・・店番はどうするんだよ、レベッカ」


うん、本当にそうですね。




その後、泣きべそをかいたレベッカさんが帰ってきましたので、魔法道具を1つ購入して帰りました。


その魔法道具は未鑑定だったのですが、私が鑑定スキルで確認して効果が判明したものです。


効果は、特定の場所に魔力を注ぐことで上に置いたものをある程度冷やす板、です。


サイズは大した事ありませんのでコップぐらいしか置けないと思いますが、これがあれば。


「「毎日冷たいお酒が飲める」」


はい、そういう事ですから、ジュリアナさんに購入してもらいました。


お酒好きだったら欲しいでしょうしね、未鑑定品ですから価格は格安で銅貨5枚、ジュリアナさんも即決しましたよ。


なお、泣きべそかいていた理由は、持ち場を勝手に離れてノックもせずに支部長室に突入し、マスターさんに激怒されたからだそうです。


それは当たり前だと思いますよ、レベッカさん、どんまい。


そして例の魔法道具の販売に関しては、マスターさん権限で交渉を進めて良いとなったそうです。


売り込みに行くのはレベッカさん本人らしいですから、是非交渉の勉強と思って頑張って欲しいですね。


泣きべその理由が怒られただけではなかった件について。




などと今日も楽しい時間をジュリアナさんと過ごしました。


こういう毎日だったら王都に住むのも良いのになぁ、とか考えましたが、それがフラグだったのかもしれません。


なぜなら、突然の訪問者によって楽しい孤児院生活が終了しちゃったんですから。

お読みくださってありがとうございました。


前書きの内容もあまり変わりませんし次回以降、1話のみの場合は記載なしにします。

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