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本日も1話のみ投稿です。

どうも皆さんこんにちは、王都で花咲く妖精サクラです。


つい先日の事ですが、私が行ったお話し合いの場の結果で、1人の人が幸せになり、1人の人が不幸になりました。


そもそも、その二人は幸せと不幸が逆転していただけであり、元の状態に戻っただけでもあります。


もっと言うなら因果応報、この言葉がぴったり当てはまります。


ここまでお話しすればもうお分かりですね?


そうです、ジュリアナさんの借金問題は解決し、詐欺を働いた神官が秘密裏に拘束され闇に葬られました。


どのような闇に葬られたかは存じませんが、間違いなく二度と表舞台に出ることはないでしょう、もしくは存在自体が完全に消滅したか。


このファンタジア世界で三分する宗教の1つである太陽神アマテルを崇める神殿が、絶対的信仰心と権力を集める要因となる物を穢した罪は相当だと想像できますからね。


神殿自体は無かった事にしたいはずです。


ですから相当な金額が動いた模様ですし、昨日マスターさんが態々孤児院まで出向いてきて、金貨10枚もの寄付をしていきました。


いきなりそんな大金を寄付されたシスターさんも流石にびっくりしまして、何故そのような寄付がとなりました、当然ですね。


まあ、そこはあんなシステムを管理する経営者なマスターさんが上手く話を纏めました。


孤児院出身の冒険者たちから少しずつ寄付預金なるものを集めていたそうで、それを忘れていたのだが先日確認したら相当な額、金貨10枚にもなっていたので持ってきた。


と、いうある意味力技を見せてくれました。


どこが上手く話しを纏めたですか、まったく。


ですがこの話は真実が混じっておりまして、本当に寄付預金なるものが存在し、ジュリアナさんも数年前から依頼成功の報酬から1%ずつ預金していたそうです。


実際には金貨1枚分ぐらいだったそうですが、孤児院出身の冒険者は相当な数に及ぶので金貨10枚もあながち嘘じゃないと、シスターさんもそれを聞いて信じてくれたみたいですよ。


まあ、全員が全員寄付預金していた訳じゃないので、10分の1が真実だった、という事です。


なお、マスターさんですがやはりシスターさんとは知古だったらしく、何でもマスターさんが駆け出し冒険者だった頃にシスターさんに治療してもらった事があり、そこからの縁だそうです。


現在、妻に先立たれて独身であるマスターさんはシスターさんの事を女性として見ている、とかそういう恋愛話はなく、どちらかというと母親みたいな感情を持ってると言っておりました。


何故にそんな事を私に聞かせるのでしょうね?


逆に疑わしくなるじゃないですか。


そういう感じで、ジュリアナさんの借金問題はシスターさんを心配させる事無く、無事終了したのでした。


あ、そうそう。


弟さんですが、先日完全に復調して騎士団へと復帰する為孤児院を出ていきました。


出立の日にはお見送り会を開催しまして、ギルド職員であるシャーリーさんや近所の若い女性、はたまた王都内の若い女性が沢山集まりまして、それはもう盛大なものとなりました。


孤児院は相当な敷地を持っていますが、それでも何かの祭りか!と思えるぐらい人が集まりましたので、室内パーティーとはいかず、庭で屋外パーティーです。


そうなると色々見せてはまずいものがありますので、洗濯機とかファンタジー農園とか。


それらは布を被せて飾りつけの台座にしたり、衝立を立てて立ち入り禁止にしたりして隠しました。


これには孤児院全員に説明、主にシスターさんにしてもらい、決して話さないように言いくるめました。


子供ですからね、テンションが上がってうっかりはあり得ますし。


ただ弟さんだけは対象外、というかどうも気にしていなかったようで、話す必要はなさそうでした。


と、言いますか、当日は女性陣に囲まれて、余計な事を言うような感じでもなかったですね。


弟さんはニコニコしてるだけですし、女性陣はニコニコしながらお互いを牽制し合うので忙しかったようですから。


なお、私は一部の子供たちと料理当番をしてましたから、庭の様子はリモートセンスでちらっとしか確認していません。


あんな雰囲気に当てられる庭に居なくて良かったです、本当に、心底。


これだから沢山の人が集まる、特に色気付いた女性が多くいる場所は嫌なんですよね。


前世で女子高生だった私は、通っていた中学や高校なんかでああいう雰囲気を見てて気持ち悪かったですから。


そもそも男がはっきりしないからいけないんです。


やっぱり男性は女性に対して態度をはっきりさせるべきだと思いますよ。


思わせぶりだったり、気付いてなかったりはいけない事なのです。


だから勘違いする女性が増えて関係ないのに巻き込まれ、被害を被る女の子が増えるのです。


ええ、そうです、私は被害を受けていました。


何ですか、あれは。


何故勝ち誇った目で私を見てくるのですか。


何故私が取った取らないになるのですか。


訳が解らなきゅぃー!」


「お、おい、サクラ? さっきからぶつぶつ言ってどうしたんだ?」


はっ!?


久しぶりに長々と独り言を言ってしまいました。


うっかりきゅぃー!




「しっかし、昼間のパーティーは酷かったなぁ。リックのやつはモテるとは思っていたが、あれほどとは」


現在、被害に遭われたジュリアナさんから孤児院なのにお酒を飲みながら愚痴を聞いております。


もちろんジュリアナさんの部屋で行っておりますが、小さな子供がいる家でやる事ではないと思います。


でも、人はお酒を飲んで愚痴を言いたくなる時があるのは知っていますし、大目に見る事にいたしましょう。


ちゃんと風魔法で換気はしますけどね。


そして私は臭いで酔わないように水魔法の状態異常解除で忙しいです。


「ちゃんと見ていないので詳しくは解りませんが、10や20ではありませんでしたからね。100には届いていないでしょうが」


「流石にそこまで行くとな。でも50は居たんじゃないかな、リックを本気で狙ってるやつ。シャーリーなんか特に」


「あー、あの人はそうでしょうね。初めてお会いした日からそう思ってました」


「やっぱりバレバレだったか?」


「はい。隠そうとしてなかったのでは? そしてそれでも気付いてもらえないのがギルド職員さんクオリティーですね」


「ひでぇな、おい」


酷いと言いながらも笑ってるんですから、ジュリアナさんもそう思ってる証拠ですよ。


もしかしたらジュリアナさん以外も思ってそうですが。


「それにしても魔法はやっぱり便利だよな。冷えた酒なんて高い酒場でしか飲めないし」


「冷蔵の魔法道具でも使っているのですか?」


「そうらしいぜ。この国じゃあ作ってないが、魔法王国と名高いマージナル王国で作られてるぞ。世の中に普及している魔法道具のほとんどがマージナル製だ」


「へぇ、それは一度行ってみたいですね」


「サクラみたいな優秀な魔術師なら歓迎されるんじゃないか? 私は行った事ないから分からないけど」


「行った事ないんですか。だったら何故歓迎されるとか言ったのです」


「話の流れだよ」


でも本当に、魔法道具が作られている、しかもシェアを独占しているような国ならば、一度は行ってみたいですね。


今後の旅行先候補として入れておきましょう。


あ、一度は森に帰りますが、またその内旅に出ようとは思っています。


今回ジュリアナさん関係で旅立つ事になりましたが、旅の良さというものを知ってしまいましたから、ずっとあの森で過ごすのは耐えれそうにありません。


もちろん、あそこには赤眼様を始め仲間たちがいっぱいいますので、故郷としてずっと私の中での一番の場所であり続けるでしょうけどね。


「そうだ、ジュリアナさん」


「なんだ?」


「ありがとうございました」


「いや、本当になんだ? いきなり礼なんて言いだして」


「私に旅の切っ掛けをくれた事ですよ。私はおそらくジュリアナさんと出会わなければ、小さな場所でずっと閉じこもっていたはずです」


「おいおいおい。ありがとうはこっちのセリフだぞ。だって、サクラが居なかったらリックは助からなかったし、それに私は奴隷になっていただろうし」


「それはジュリアナさんが命を懸けて頑張った結果です。私はただちょっとだけお助けしただけですよ」


「ちょっとじゃないだろう、どう考えても」


「私は妖精です。あ、厳密にはエルフですけど。そして妖精さんというのは人々にいたずらはしますけど、幸せを呼び込む手助けをする存在なんですよ?」


「妖精は幸せを呼ぶか。確かにそうだな。私は幸せになった。サクラっていう可愛い妖精さんに手伝ってもらってな」


「はい、可愛い妖精さんです」


「言い出したのは私だし、本当にそうだけどよ。流石に自分で言うなよ、引くわ」


「酷いですね」


「「ふふ」」


とっても幸せな気分です。


こういう気分が味わえるとは思ってみなかった今回の旅でしたが、送り出してくれた赤眼様に本当に感謝ですね。


そして、連れ出してくれたジュリアナさんに。


「ジュリアナさん、本当にありがとうございました。私は旅の楽しさを、そして幸せをいただきました」


「こちらこそ本当にありがとう、サクラ。私は幸せになれたよ。そして決心も付いた」


「決心、ですか?」


「ああ。元々そうしようとは思ってたんだ。向いてないかも、と思い始めたのが切っ掛けだけどな」


「向いてない?」


「冒険者、やめようと思ってな」


「あ」


「やっぱりサクラもそう思ってたか。解ってはいたんだぜ? でもやっぱり矜持や意地もあってな、10年も続けちまった。でも、今回の事で踏ん切りが付いた」


「・・・ジュリアナさん」


「元々冒険者になったのも、シスターや孤児院の子たちを楽させてやりたかったからだ。でも、冒険者で稼ぐだけがその方法じゃないって気が付いたんだ」


「それが、私ですか?」


「ああ、サクラのお陰だよ。お金を稼いできて渡すだけが楽をさせてやる事じゃない。一緒に居て、一緒に何かをやって、一緒に幸せになる事が楽をさせて、そして楽にしてもらう事だと分かったからな」


「皆で楽になる、ですか」


「ああ、そうだ。サクラと一緒にいたこの数日間、とっても楽しかったからな。楽しいから楽だったんだよ。まあ、嫌な目に遭ったけどさ」


「妖精さんは幸せも運びますが、いたずらという厄災も運びますからね」


「ちげえねぇ。まあ、それも楽しいと感じるためのスパイスだった訳だ。だから今度は孤児院の皆にも味合わせたい。サクラに教えてもらった料理のレシピでな」


「料理のレシピと例えるなんて面白い言い回しですね。流石料理当番です」


「子供の頃だけどな」


「「ふふふ」」









「サクラ、本当にありがとう。とても楽しかったよ。私はシスターの後を継ぐ。サクラも元気で頑張れよ」


「ジュリアナさん、本当にありがとう。とても楽しかったです。私は旅を続けます。ジュリアナさんも元気で頑張ってください」









私とジュリアナさんの旅は、こうして終わりを迎えるのでした。


仲の良い人との別れは寂しいですが、でも、だからと出会わなければ良かったなんて思いません。


だって、今、こんなに幸せなんですから。































などと感動的なやり取りをしましたが、私は次の日以降も孤児院で生活しておりました。


何故なら・・・










「さて、約束だった王都観光しましょうか」


「え? 旅立つんじゃなかったのか!?」


「約束は絶対ですよ? 王都案内をしてくれると言ったのはジュリアナさんですし」


「・・・ああ、そうだったな。よし、王都の事なら任せとけ!」










今しばらく関係は続くようですよ?

お読みくださってありがとうございました。

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