5-6
総合評価300pt突破しましたー、ありがとうございますきゅぃー!
皆さん、おはようございます、孤児院暮らしの妖精少女サクラです。
ここの朝は早く、日の出ぐらいの時間帯から動き出して仕事をしている子供たちが居たりします。
その子たちは料理当番で、早朝から朝ごはんの準備などを行っています。
この世界には冷蔵庫やコンロなんてありませんし、料理をする準備、火を熾して窯を温めたり、食材の下処理なども前日にして保管も難しいのです。
だから当番の子供たちは大変なのですが、その分食事の量が多かったり、院を卒業した後の人生が楽になるのですけどね。
料理が出来るというのはどこでもでも重要視されますからね、女の子の場合は嫁ぎ先とか。
この孤児院では10歳になると必ず何かの当番を担当し、卒業するまでずっとそれをやっていくそうです。
じゃあ、それまでの年齢の子供たちはどうしてるかなのですが、5歳までは何もしなくてもよく日中は寝てるか遊んでるかです。
そして5歳を迎えた子から算数や読み書きの勉強を始め、先生役は10歳以上の特に勉強が出来る子供が担当しているそうです。
じゃあ、シスターさんは何をしているかといえば、朝と夕方の時間に1時間ずつ一般常識や道徳の時間の先生をしているとか。
ただし、ここ数年は体調、特に足腰が芳しくないので、それも子供たちが代わりに教えているそうなのですが。
「そうなのですね。中々教育熱心な方だった訳ですか、シスターさんは」
「ああ、そうだぞ。私が小さかった時はまだまだ元気だったしな。怒るとすげー怖かった」
お道化た感じで語るジュリアナさんですが、懐かしむというより悲しそうな表情が垣間見える雰囲気でした。
「それはちょっと想像出来ませんね。あ、そうでもないですか。ジュリアナさんがうっかりして怒られるのは想像出来ました」
「ひでぇ」
よほどシスターさんが心配なのでしょうね、だからこその表情だったのでしょう。
そんなシスターさんに余計な心配を掛けたくないから、借金の事も言ってないそうですし、奴隷落ちとかになったら大変です。
やっぱり何とかしないと、ですね。
そういう事でして、朝から冒険者ギルドに向かっている訳です。
あ、そうそう。
弟さんですが、今朝の段階でもかなり体調が良くなっておりまして、朝から子供たちに混ざって遊んでますよ。
あの感じだと、2~3日で完治とみてよさそうです、流石は戦闘職といったところでしょうか。
「ここがギルドの王都支部だ。一応コンテラクト王国内の本支部でもあるな」
「だからこれだけ立派な建物なのですね」
目の前には周りの建物よりも大きくて立派な館が建っておりまして、入口が大きく開いた三階建てだったりします。
この王都支部は1階で受付業務全般を行い、2階は資料室やギルド直営の武具屋、3階はギルドの支部長室や会議室があるそうです。
城塞都市のギルドのように酒場が併設されていないのは、王都という場所柄だそうで、ガラが悪い冒険者は居辛い雰囲気にしているとか。
まあ、依頼主が豪商や役人、下手すると貴族になりますからギルドの職員だけでなく、冒険者の質も高くないとまずいのでしょうね。
よくそんな場所に現れましたね、詐欺師の神官は。
そんな事を考えつつギルドの中に入ったのですが、映画などで見た昔の銀行みたいな雰囲気でした。
「思ったよりも綺麗で静かですね。もっと混沌としていると思っていました」
「ああ。他のギルドを先に見てるとそう思うよな。私はここが最初だったから他のを見た時に違和感を感じだけどな」
「なるほど。依頼はどこで張り出してますか?」
「ここでは依頼板がないんだよ。全部受付で確認だな」
本当に銀行、いえ、役所ですか、そんな処理の仕方をしているんですね。
何となく冒険者ギルドのテンプレとは離れている気がしますが、全部テンプレじゃないのは当たり前でしたね、安心しました。
「それではあの列に並ぶ、と。これだと文句をいう方も多いのでは? 効率が悪いでしょうし」
「いるな。実際に文句は言うけどギルド内では誰も言わないぞ。言うのは酒場でだな」
「酒場はギルドが運営してませんか? 序に宿屋も。価格はもちろん冒険者の方のみ割引で」
「お、良く分かったな。隣の建物を含めて近辺に3軒ほどギルドの直営だ。隣は高ランク冒険者御用達って感じだが」
「上手い運営の仕方ですね。このシステムを作った方は相当な商売人、いえ、経営者です」
「どういう事だ?」
このままただ並んでいても暇なので、解説をしながら時間を潰しましょう。
「結論から言えば、依頼主と冒険者双方からお金を上手く回収しているのですよ」
「ん? 依頼主は解るけど、冒険者からもか?」
「だって酒場に行くでしょう? ギルドに行く前か行った後に」
「まあ、そうだな。ほとんどのやつがそうしてる」
「このギルドに来るとストレスが溜まるはずです。ですからそれを解消する為に飲食を、となっているはずですね。人は鬱憤をはらす場合、暴力を振るうに走るんです」
「確かにそうだけど、冒険者は荒くれたのが多いが無法者じゃあないぞ」
「ですよね。ですから飲食で代償行為をしているんですよ。もしかしたら歓楽街とも提携しているかもしれませんね」
「・・・ああ、ありそうだなぁ。そういや色町関連の依頼は割と多いよ」
「そしてそんな不満をもたらすギルドに人が集まらないはずなのですが、王都というブランドは魅力的なはずですから皆集まってくるのでしょう? 花がありますしね。あとは報酬も高いのでは?」
「王都出身の私はよく分からないが、他からきたやつらはそうみたいだな。あと確かに報酬が割高だな」
「じゃあ、何故こんなシステムを採用しているか、なのですが」
「あの、お嬢さん。それ以上ここで話さないでくれないかな?」
興が乗って話していた私に突然割り込んでくる人が現れました。
もちろんこちらを覗っている気配は感じてましたが、周りの人たち全部でしたしね、敵意は無いようですから無視してました。
声の方に視線を向けると20代半ばの女性で、表情はちょっと焦り気味の苦笑でした。
まあ、ギルドの裏事情、あんまり冒険者たちに知られたくない事をべらべらしゃべられたくはないですよね。
態とこの場で話していたのですが。
「よう、シャーリー。今日は出勤日だったんだな」
「こんにちはジュリアナさん。無事帰って来たという事は入らなかったのね?」
「んー、まあな。ちょっとそれ絡みで話があるんだが」
「あら、そうなの? それじゃあ会議室で聞くわね」
「ああ、頼むよ」
「ところで、そっちのお嬢さんは?」
ジュリアナさんのうっかりが出ないかちょっとハラハラしてましたが、巧く話ましたね、良い傾向です!
とか思っていると私の話になりました。
「あー、この子は旅の途中で会ったんだが、関係者だよ。それで話にも同席させるから」
「そうなの。参加させるのは構わないけど、守秘義務は守れるのかしら?」
見た目は10代前半ですからね、心配になりますか。
「それは大丈夫だ。と、いうか、私よりもしっかりしてるからな」
いや、ジュリアナさんがちょっとうっかり過ぎなだけですよ。
さて、そういう事で、ギルドの中にいた人たちの注目を浴びつつ3階の会議室までやってきました。
会議室というより応接室といった感じの場所で、ローテーブルとソファーが向かい合わせに置いてある部屋です。
奥に私とジュリアナさんが、手前側にギルド職員だと紹介を受けたシャーリーさんが座る形で話し合う事となりました。
ちなみにお茶とかは出されていないですよ、依頼主でもないし。
「それで話って?」
「ああ。心配かけていたけどレドリックの病気が治った」
レドリックって誰?とちょっと思いましたが、弟さんの事だとすぐに思い出しました。
孤児院の人たちも皆リックとしか言わないし、仕方がないですよね。
「そう、良かった」
よほど心配していたのか、心底ほっとしたと言わんばかりの言葉と表情です。
もしかしてニコポなチートにやられちゃった被害者なのですかね、シャーリーさんも。
「まだ孤児院で療養してるから見舞いにでも来てくれよ。あいつも喜ぶんじゃないかな」
「ええ、行くわ、是非!」
是非の部分でやたらと力が篭ってましたから、やっぱりそのようですね。
まあ、どうでもよい事ですね。
そんなチートさんの事よりもジュリアナさんの借金の話です。
「それでだな、ギルドから借用している件なんだが」
「ああ、うん、その件ね。ごめんなさい、ジュリアナさん。事情は理解しているけど、規則を曲げる事は出来ないわ。もちろん納期を伸ばしたり多少の分割は検討出来ると思うけど」
「もし出来るならしてほしい。リックの命には替えられないからな、仕方ないとは思ってた」
「思ってた? どういう事かしら?」
「実はだな、あの万能薬が偽物だったんだよ」
「ええ!?」
びっくりしますよね、そりゃあ。
そういう訳で鑑定書が偽造されていて、ポーションもただのHPを回復するものだった件をお伝えしました。
ギルドでも信頼あるジュリアナさんが話す内容なので疑いはしなかったのですが、ただ、やっぱり信じきれないようですね。
太陽神の神官が真実の瞳の鑑定書で詐欺をするというのが埒外ですから、この世界の人からしたら。
前世であるアース世界では書類偽造による詐欺なんて横行してましたし、偽造用の機械が発達して精巧でしたからね、そういう想定も出来ちゃうのですが。
偽造による詐欺は受けた事ないですが、模造品の詐欺に遭いそうになった事となら何度かありましたしね。
だ、だって、欲しいグッズが安く手に入るかと思ったらコロッといっちゃいそうになるじゃないですか、誰だって。
だから仕方ないんですきゅぃー!
すみません、我を忘れて噛みました。
「一応持ってきているんだが、見てもまず分からないほどの偽造だからな。誰だって気付かないさ」
「それなのに良く気が付けたわね。誰が気が付いたの? ジュリアナさんやシスターさんじゃないのでしょう?」
「んー、それなんだが」
「あ、私です」
証明する為には私が名乗り出ないといけませんよね。
あの宣言からジュリアナさんは絶対に話さない雰囲気ですし、ここは自らばらしましょう。
良いのか?という意味が篭ってそうなジュリアナさんの視線に頷き、私はフードを脱ぎました。
「え? その耳、まさかエルフ!?」
「はい。私はエルフのサクラと申します。結え合ってジュリアナさんと縁故を結び、この場で同席しております」
「そ、そう。えっと、そのエルフのサクラさんはどうやって偽造を見破ったのですか?」
あ、エルフと分かったからか、私に対する言葉遣いが子供にするようなものではなくなりましたね。
それよりも1階で話していた内容からただ者じゃないと、警戒しましょうよ。
ただの子供があんな話をしないと思いますけどね。
「森で暮らしてきたエルフですから都会育ちの皆さんよりも視力が良いのですよ、と言っても信じませんよね?」
「ええ、そうですね」
「そう思いますので、どなたか光魔法が使える方を連れて来ていただけませんか? レベル2以上でしたらなお良いですが」
「光魔法の使える? 魔法を使って証明するのですね。解りました、少々お待ちください」
さて、ここからが本番です。
上手くすれば借金をなかった事にできますからね、気合も入るというものです。
なお、私がしようとしている事はジュリアナさんには言ってません。
だって、うっかり発動してご破算になってもいけませんからね。
そんな事を思われているジュリアナさんですが、私に申し訳なさそうな感じです。
「良かったのか、ばらして? その、悪いな、本当に」
「こういう場合は謝罪じゃなく、感謝の言葉が欲しいですね」
「ああ、そうだな。ありがとう、サクラ」
「いえ、どういたしまして」
しばらく、とはいかず、待つ事30分。
退室していたシャリ―さんが戻って来た時には3人になっていました。
1人はおそらく光魔法の使い手の20歳前後の女性で、もう1人は初老ですが鍛えた肉体が衰えを感じさせないがっちりした男性でした。
ジュリアナさんを見ると唖然としており、特に男性の方を見ての反応です。
そして男性を真ん中にしてソファーに座ると、自己紹介をしてくれました。
「アナは知っているが、知らないお嬢さんがいるから自己紹介させてもらう。俺はバーガス、元冒険者でここの支部長をしている者だ」
うん、ありがちですね、本当に。
冒険者ギルドに立ち寄って、話し合いになったらギルド長が登場するって。
だからテンプレは間に合ってるんですきゅぃー!
お読みくださってありがとうございました。




