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5-5

本日も1話のみ投稿です。

「なっ!? じゃあ、サクラさんが僕の恩人?」


うっかりさくべーはやってしまいました。


なんて事を考えるぐらい混乱しちゃってますが、これどうしよう?


事をあまり大きくしたくない、と考えていたのによりにもよって相手は王国騎士とかいう職に就いている人。


この上なく不安しか浮かびません。


などと混乱している私の雰囲気なぞ気にせず、弟さんは私の手を握って、はさせずに避けました。


「え?」


「あ、触らないでください」


「あ、ははは。えーっと、その。病気を治してくださって感謝します。このレドリック、この御恩は一生忘れません」


「い、いえ、お気になさらず。感謝ならジュリアナさんにしてください。彼女の頑張りがあってこそですから」


うぇ、私、みたいな表情をしているジュリアナさんを身代わりにして、私は取りあえず距離を置くのでした。


シスターさんは弟さんがちゃんと礼を言った事に満足しているようです。


取りあえずは一件落着、かな?




その後、シスターさんと弟さんには私の事を含め、誰が病気を治した等、誰にも言わないようにお願いしておきました。


最初はそういう訳にもいかないと弟さんがごねてましたが、恩人のお願いを無碍には出来ないので了承はしてくれました。


これで一安心です。


まあ、国に仕える騎士なんてやってる人だから、上官命令には逆らえずに言っちゃう可能性があるので油断は出来ませんが。


ともあれ、久しぶりに幸せオーラ満載の孤児院は、私も含めて全員で夕食も食べ、満足しながら各部屋に戻りました。


「ふぅ、美味かった。サクラって料理も上手なんだな」


そりゃあ、料理スキルがレベル4ですし、プロには及びませんが味には自信がありますよ。


調味料類が少なかったので胡椒やハーブなんかを即時に作り出して足しましたしね、美味しいはずですよ。


ただ台所が薪の窯だったのが少々難敵でしたが。


今まで薪を使って火を熾すとかやった事ないですからね、初めての火打石には手古摺りました。


「子供たちも喜んでましたね。今度お菓子とかも作ってみましょうか」


「そっちも行けるのかよ。本当に何でも出来るんだな」


「何でもは出来ませんよ、出来る事だけです」


某有名セリフのパクリみないな事を言っちゃいましたね。


あれは知る知らないだからセーフですよね、セーフ。


「ふぅ、そうだ。午前の用事って何だったんだ?」


「ああ。ジュリアナさんの借金の話です。幾らあって何時までに返済しないといけないか、を教えてもらおうと思いまして」


「うっ、その話しか。心配してくれるのはありがたいが、借金の事は私の事情だ。そこまでしてもらわなくてもいいぞ」


「まあまあ、乗りかかった船と言いますでしょう? この際ですからお手伝いしますよ、森の事や私の鞄はダメですけど」


「あ、いや、それはもう言わないよ。でも、ありがとう。そうだな、実はかなりやばいし知恵を貸してほしい」


うん、素直でよろしい。


さて、ジュリアナさんの借金事情なのですが、金額は金貨1枚で相手は冒険者ギルド、期日は1ヶ月との事でした。


金貨1枚というのは王都で一般家庭が1年間暮らしていける金額らしいです、ギルドからジュリアナさんが聞いた話では。


どうやったらそんな大金を借金出来るのか疑問なのですが、どうやら弟さんの治療に使おった高価な薬が金貨1枚だったらしいです。


「それ、絶対騙されてたでしょう?」


「太陽神殿製の万能薬だぞ? 金貨1枚でも安いくらいだったんだ」


「それってどういう効能があるのですか?」


「どんな状態異常も治るポーションだな」


「でも、治らなかったのでしょう? うーん。どういう人からそれを購入したのですか?」


「ああ、それはだな」


聞いてみたら怪しさ満点なバイヤーから購入したようです。


王都の冒険者ギルドの中で知り合った旅の神官だったそうなのですが、ジュリアナさんが弟さんの為に駆けずり回っている事を知って話しかけてきたそうです。


ジュリアナさんの頑張りはギルドでも有名だったので、誰も不思議には思わなかったそうですし、相手はちゃんと太陽神のシンボルを持っていたのでジュリアナさんも信じたそうです。


そしてその万能薬にはちゃんと鑑定書、太陽神殿にある真実の瞳という鑑定結果を紙などに写せる魔法道具で証明された証書が付いていたので購入したそうです。


本来なら金貨2枚はするところを1枚にしてもらったそうですよ。


たぶん詐欺ですね、そう思った私は鑑定書がまだあるなら見せて欲しいとお願いし、ポーションの瓶と一緒に保管していたそれを見させてもらいました。


朝の清掃時に他のポーション類と一緒に入れてあった小箱に入ってましたが、あれ全部賞味期限切れてるんですよね。


「これだこれ。ほら、ちゃんと太陽神のシンボルも書いてあるし」


その羊皮紙には確かに太陽をモチーフにしたシンボルと、高レベルと思われる鑑定結果の内容が印字されていました。


魔法道具で転写するとか、すごいのがあるなぁ、とまじまじと見てましたら、文字に違和感を感じました。


なので鑑定書を受け取り、よく見るためにコンセントレーションを使って視力を上げ、虫メガネのように確認したら改ざんの跡を発見しました。


精巧に偽造されていますが、これ、ただのHPを回復するポーションですよ、鑑定結果によると。


しかしここまでの偽造が出来ちゃうとは、偽造とかそういうスキルが存在してそうですよね。


おっと、関係ない話に飛びそうになりました、修正修正。


序にポーション瓶も確認したら若干液が残ってましたので鑑定すると、やっぱりHPを回復するポーションでした。


「うん、これ偽造されてますね。中身はただのHPを回復するポーションですよ」


「はぁ!? なんだって!?」


ああ、いずれ騙されると思ってましたが、すでに騙されてましたか、ジュリアナさん。


しかし困りましたね。


「くそっ、あの野郎。警備兵に通報してやる!」


「通報はした方がよいでしょうね、関係各所やギルドに。でも、そうしたところで借金は無くならないのでは?」


「何でだよ? ん、そうか。あいつが捕まってお金が帰ってくればいいけど、そうじゃなければ」


「そう言う事です。なので通報だけはして、金策を考えませんと。ちなみにどうやって返そうと?」


「・・・正直考えてなかった」


「でしょうね。死ぬ気で幻惑の森に突貫ですし」


「うっ」


「まあ、それはさておき。ギルドの依頼で一番稼げるのはどのようなものですか?」


「魔王とかが出現してたらその討伐だな。100年前の魔王は大金貨10枚だったかな」


「そんなレジェンドはさておきましょう。要するに討伐系ですか」


「そうかな。この付近だったらこの間リックたち騎士団が倒したベヒーモスが金貨5枚だったはず。それと幻惑の森関連だと赤眼が金貨50枚、薔薇姫が金貨10枚だな」


ベヒーモスという名前に関して物申したいですが、それよりも赤眼様とエフェメラルさんの賞金が半端ない件について。


「そこまで高額である必要はないでしょう。金貨1枚、いえ、銀貨50枚くらいの討伐依頼はないのですか?」


「この国だったらラドラ山に棲むサイクロプスが銀貨50枚だな。金貨1枚だと死者の迷宮のボス、リッチーか」


どっちも相手にしたくないですねぇ、ゲームとかと同じ強さだったら。


ちなみにそのクラスの魔物を倒そうと思ったら、凄腕の冒険者を最低5人は集めないと倒せないそうです。


「あ。幻惑の森の猿魔獣だと?」


「ああ。幻惑の森に関しては赤眼、薔薇姫、赤毛ぐらいしか依頼はないな」


「どうしてですか?」


「いや、そもそもこっちが入らなければ被害ないし」


「そういえばそうですね。あれ? 緑色の狼は対象外なのですか?」


「緑色? 幻惑の森でそんなの依頼あったかな? ああ、そういやどっかの国で緑風狼っていう魔獣の討伐があったな。確か金貨5枚だっけか」


おや、ハヤテさんは森で暴れての名付きじゃなく他国で暴れて金貨5枚ですか。


あの誰も捕まえられない風よりも速いハヤテさんで金貨5枚だとすると、炎で全身を覆うので近寄れないゴリラさんはどれぐらいなんでしょうね?


そして二人が本気じゃないとはいえそれなりに戦える私は、サイクロプスなら何とか倒せちゃいそうですね、私って凄腕なのでしょうか?


・・・なんで私が倒すことになってるですきゅぃー!


私はあくまもジュリアナさんの手伝いなのであって、依頼を受けるのは彼女です。


そもそも、凄腕であるとかの強さの指針をどうやって判断しているかといえば、名称を持つ者が強いと言われているのですって。


私みたいに鑑定スキルを皆が持っているならレベルとかで判断できるのでしょうが、どうやらレアみたいですからね、所持者は。


じゃあどうやって名付き、所謂二つ名を持った冒険者か判断しているかといえば、それもまたテンプレでした。


「私たち冒険者全員にこのギルド証が渡されるんだ。これには名前や所属、冒険者としての実力を表す階級、そして二つ名が刻まれてるんだよ」


ジュリアナさんは胸元からドッグタグのようなものを取り出し見せてくれましたが、表面には剣と望遠鏡がクロスした紋章、裏面には情報が刻まれてました。


冒険者ギルドでは階級制度が取り入れられており、1~10のランク付けがされているそうです。


最初は皆10級から始まり、依頼を熟したり、強力な魔物を倒すなどして上がっていくシステムです。


ラノベにありがちなシステムだなぁ、とここでもテンプレか、と思いましたが理に適った制度なので態々奇を衒う必要もなかったのでしょうね。


ただテンプレだからと言っても気になるのがそのタグに刻む内容をどうやって調べているか、です。


「んー、太陽神殿の真実の瞳の劣化版みたいな装置が各ギルドの支部に置かれてるんだよ。ただ、状態異常とか職業なんかは見れないみたいだけどな」


旅人が身分証代わりに登録している事が多いそうで、私にも勧められましたが遠慮しておきました。


何せ私は妖精さんですし、エルフじゃない事がばれてもいけませんから。


鑑定のキラースキルである隠蔽持ちですから、そもそも登録が出来ない恐れがありますし。


「そう言えば、皆さんどうやって自分の職業を把握しているんですか?」


「ああ。それは各神殿で調べてもらえるんだ。高位の神官は神託が受けられるから神様から教えてもらえるんだよ、現在の職業とか転職出来るかとか」


「なるほど。お布施とか払うのですか、やっぱり?」


「まあな。一応銭貨1枚でも調べてもらえるぞ。でもシスターに聞いた話じゃ神殿の収入源の1つらしいから金額で神官の気合が変わるんだと」


なんだか神殿の腐敗臭を感じますね。


神官によるのでしょうが金額が大きい人ほど立派な職業に就いてるとか言うんだろうな、と勘繰っちゃいます。


なお、転職については念じれば自分で出来るようで、転職しようとしても出来ない事もあるそうです。


それは転職する時に現職の経験点が減ったり、レベル1だと転職出来ないシステムが関係してくるのだと思います。


「まあ、ここだったらシスターが居るからお布施はなしで調べてもらえるんだけどさ。近所の連中もシスターに聞きにくるぜ。その場合は若干お金をもらうからこの孤児院の収入源の1つだ」


そりゃあ巫女などという名称を持つシスターさんならば神託が使えそうですよね。


ちなみにシスターさんの職業は現在シスターですけど、その経歴を見ると相当な実力者だった事が解ります。


神官戦士とか魔法少女とかの文字を見て、嘗ては相当元気が良かったのだと想像できますからね。


若干違えど、私も似たような経歴を辿ってますから将来はシスターさんみたいな老淑女になれるのでしょうか?


妖精さんは種族進化以外で外見年齢の変化はなさそうなので、ちょっと期待薄ですが。


老淑女などと高望みはいけませんね、でもせめて身長があと10cm、いや5cmでも伸びてくれさえすればいいのですきゅぃー!


すみません、興奮して噛みました。




などと長時間話し合ってましたが、ジュリアナさんだと高額討伐依頼は難しい、という結論に達し、明日ギルドに行く事になりました。


さあ、そうと決まれば寝ますよー。


なお、私の寝床はジュリアナさんの部屋にハンモックを作り、それで眠りました。


それでは皆さん、お休みなさい。

お読みくださってありがとうございました。

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