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4-8

早起きしたのでこんな時間に投稿です。

「つ、つよっ!?」




あ、このセリフは私ではなくジュリアナさんが思わず呟いてしまったものですよ。


何故こんな事を言いだしたのかですが、それは宿場町を出発してしばらくたった頃に魔物の襲撃を受けたからです。


正直ジュリアナさんの探索は穴だらけ、おそらくレベル1かあっても2ぐらいでしょうし、私のように魔法の補助がないのでかなり範囲が狭い。


狭いだけならまだしも適時に使用せずのんびりしていますから、私が代わりに使用して警戒しておりました。


それで判明したのが街道を塞ぐように居座る何者かの反応。


現在森を突き切るなだらかな坂道を上っている途中で、距離から考えるとおそらく丘を越えたちょっと先ぐらいで陣取っているのでしょう。


この話をしてみたら最初は別の馬車が止まっているんじゃないか、なんてのんきな事を言い始めましたので、リモートセンスで現地を確認してみました。


そうすると初めて目にするけどある意味馴染みの生物、おそらくゴブリンなんて名前が付いてそうな魔物がたむろしてました。


鑑定結果でもやっぱり名称がゴブリンでして、解説によればオスしかいないで始まるテンプレ説明文が続きます。


もう、テンプレはお腹いっぱいですきゅぃー!


まあ、そんな訳でして、初めての魔物ぽい相手との遭遇です。


すでにもっと強い相手と対戦済みですけどね!




馬車には丘の頂上の手前50m辺りで停止してもらい、ぐずるジュリアナさんを追い立てて下りました。


「いや、サクラ。まだ止まってるみたいだし故障じゃねーのか?」


「故障だったら丘の上で誰かいますよ。こっち側から来る人がいないか見るために」


「あ、そういやそうだな。じゃあ、怪我で動けないかもだぞ?」


「全員動けないほどの怪我だったら尚更警戒して様子をみないとまずいですよ。その原因の排除が済んでいない可能性が高いのですから」


「あー、うん、そうだな」


本当にこの人は探索者に就いているのでしょうか?


性格的に適性がないと思います、正直。


ラノベやアニメに出てくる探索者はかなり慎重派ですからね、ジュリアナさんと真逆です。


私の魔法の事を話せば済む事なのでしょうが、これ以上の情報開示は危険、いや、今でも十分危険ですが避けたいのですよ。


取りあえず馬車の方たちには大人しくしているよう伝えて、私とジュリアナさんは出来るだけ警戒して様子見の斥候に出ました。


気配を消すのはそれなりですが、音の消し方がちょっと甘いですね、ジュリアナさんは。


なので風魔法でアシストしておきましょう、きゅぃーっと。


「ん? あれはゴブリンだな。5匹なら何とかなりそうだ」


そして丘の上から見れば5匹のゴブリン。


ジュリアナさんは1人で倒せるとか言ってますが、そんな簡単な訳ないじゃないですか。


「不自然過ぎますよ、流石に。おそらく街道脇の森に伏兵が潜んでますよ。あの5匹を襲いに行ったら囲むか、それとも後方の馬車を目指すか」


「そ、その可能性は大いにあるな、うん。でも私の探索スキルでは反応がないぞ?」


「視界外だから反応しないのでは? ちなみに私の探索だと左右に何か潜んでいるのが解ってますが」


「・・・だったら最初っから言ってほしいぞ」


スキルに頼らない索敵も学んだ方がいいですよ、ジュリアナさん。


どうもこの世界の人たちはスキルなんてものがありますから、工夫や技術を磨く事を疎かにしている節があります。


今回の事でいえば探索が視界内しか効果がないという事をしっかり理解し、状況から伏兵の有無を考えたり、ですね。


こういった技術を磨いたり工夫をする事で、スキルの経験点の入り方も変わってくるんですけどね。


私の成長速度が速いのも、この辺りが関係してそうですね、閑話休題でした。


「まあ、ここは私があぶり出しますので見ててください」


「お、おう」


そういう事で早速風魔法を使い、ゴブリンたちが潜んでいる場所で大きな音を鳴らします。


ちょっと恰好を付ける為に指を鳴らしてみました、ぱっちん。


「「「「「ぎゃ、ぎゃぎゃ!?」」」」」


て、てきしゅーという意味のある叫び声を上げながら街道に出てきたのは合計10匹のゴブリンで、これで15匹となりました。


「な、何をしたんだ? しかし15匹か。かなりきついな」


「まあ、ちょっとした魔法です」


さも、手品ですよ、みたいなノリで恰好を付けておきましたが、あの程度の敵が15匹で厳しいってよっぽど戦闘に自信がないのですね。


ゴブリン15匹なんて幻惑の森の狼系魔獣2匹分ですよ、おそらく。


動きを見る限り町で見かけた子供、大体12~13歳くらいの人間と同じぐらいの身体能力です。


ただしこん棒やらの武器を装備してますし、牙や爪が鋭そうで数も多いので戦い方を考えないといけませんが。


なーんて偉そうな事が言えるようになるほど私も強くなったんだなぁ、と迫りくる15匹のゴブリンを眺めておりました。


「くそ、やるしかないか。おい、サクラ、下がってろよ。あいつらに捕まったら苗床にされちまうぞ」


なんだか悲壮な決意を固めた女戦士のようなセリフと共に剣を抜いて構えてますけど、ここは私に任せてもらいましょう。


「あ、私がやりますので漏れたのだけ相手してくださいね」


「お、おい」


そしてこの後体術のみで無双する私を見て呟いたのが冒頭のセリフです。


舞うが如く華麗な妖精さんの戦闘シーンとはいえ、もう私にとっては赤子の手を捻るが如くの戦闘なので割愛です。


別に良いですよね、詳しく解説いなくても。


なお、体臭が酷くて汚いゴブリンに触りたくないので、手足に風を纏って戦いましたよ。


お陰で妖精戦士のレベルが7になりました。




「いやぁ、流石王都の冒険者ですね!」


「そうだなぁ、安心して馬車に乗ってられるのはジュリアナさんのお陰だ」


「「「「ありがたい!」」」」


「ああ、いや、まあ」


女性や家畜、作物を狙う指定害獣であるゴブリンは倒せばギルドでお金を貰えるそうで、指定部位である右耳のみカットして血抜きと水洗いだけしてジュリアナさんが持つ事になりました。


その血抜きと水洗いも全て魔法で、血抜きは死体ですからピュリファイで血を純水に変えてそれを乾かしただけなんですけどね。


死体については首を跳ねて森の中に放置しておくだけらしいので、これはジュリアナさんにやってもらいました。


汚いから触りたくなかったのですよ、ゴブリンの死体は。


終わった後でちゃんとジュリアナさんを洗浄しましたけどね。


そして処理が終わって馬車に戻り報告したら皆さんが勘違いして、流石ジュリアナさん、すごいぞジュリアナさんとなったわけです。


本当は私が倒したのですが、約束で私の事は話せないのでジュリアナさんも否定する事が出来ず、ただ曖昧な表情を浮かべてなすがまま受け入れているだけでした。


お金が入るんだから我慢しましょうね、ジュリアナさん。


そのような事があった夕方、次の宿場町に到着しまして、いよいよ明日には王都に到着するところまでやってきました。


私たちは早速宿場町にある冒険者ギルドへと出向き、ゴブリンの右耳15個を提出して報奨金を頂きました。


ゴブリン討伐1匹に付き銭貨5枚、そして休憩中に積んだ薬草なども納品して合計銅貨11枚と5銭貨を得る事ができました。


なお、ここのギルドは酒場が併設してましたので、宿だけ取ってそこで食事をする事になりました。


今日の料理は野菜と羊肉の具だくさんホワイトシチューと黒パン3つで銅貨1枚でした。


そしてやっぱり味は薄目です。


私はちょっと物足りないな、と思いながらも美味しくいただいておりましたらジュリアナさんが難しい顔をしてるのに気が付きました。


「んー、シチューが嫌いなのですか?」


「いや、私は好き嫌いなんてないさ。元孤児だけに何でも食えるしな。そうじゃなくてだな、サクラの事を考えていたんだ」


「私の事ですか?」


「ああ。私よりも小さな子があれだけの動きができて、しかも魔法まで使える。私の冒険者としての人生、この10年は一体なんだったんだろうな、と」


いやぁ、人間と妖精のスペック差じゃないでしょうかね?


私が見た中で一番弱い妖精は花園仲間でも一番若いマンドレイクさんですが、ジュリアナさんに勝ちそうですよ。


何せ地魔法で石の礫を飛ばして来たり、地面に穴を開けたり、近寄ったら状態異常の花粉を飛ばす妖精魔法を使いますから。


戦闘経験がかなりある冒険者な人間でも、上位種でもない妖精に勝てそうにないなら上位種の妖精と差があって当たり前だと思います。


ただ私が妖精さんだとかそんな事は言えないので、どうやって慰めましょうかね。


そもそも慰める必要はありませんか、そういえば。


「大きな声では言えませんが、私はエルフです。しかも森の中で生活していたのですから、町育ちのジュリアナさんとは環境でも大きく違いますよ」


「いや、まあ、そうなんだけどさ。こう、解っていても納得出来ない事ってあるだろ?」


「それは解りますけどね。とはいえ、異種族で年齢差による違いを考えても仕方ないですよ。私の方が強かった。その事実を受け入れるのも大人というものでは?」


「・・・何と言うか、サクラは大人びてるな。エルフってみんなそうなのか?」


「さあ?」


だって他のエルフに会った事がないですし、そもそも私はエルフじゃなくて妖精さんですから。


「そんな強かったエルフなんだから弟を助けれるかもしれない、と幸運に思っておけば良いんですよ。付いてましたね、ジュリアナさん」


「そう、だな。うん、そうだ、私は付いてたんだよ。あんな魔境に踏み入れて生きて帰って来れたんだから」


「そうそう、その調子です。でも声が大き過ぎますよ、気を付けてください」


「み、水を差すなよ、ここは」


「じゃあ水じゃなくてお酒でも差しましょう。すみませーん、ミードを1つ」


釘はしっかり刺しておかないとうっかり発動するのがジュリアナさんクオリティですからね。




こういう感じで私の初めて旅も、明日には目的地である王都へ到着です。


やはり旅は良いものだと思います、前世では修学旅行以外した事がありませんでしたが。


良いと感じるのは知らない人との出会いとか新発見が沢山あるから、ですね。


アース世界で女子高生をしていた時は他人との関わりが面倒に感じていましたけど、ファンタジア世界に転生して赤眼様たちに出会って私も変わったのでしょうね。


今目の前でシチューを美味しそうに食べ始めたジュリアナさんは面倒を持ってくる達人ですけど、一緒に居ても苦を感じませんから。


人里に出てみたい、と思ったのは前世の記憶を引きずっての事ですが、やっぱり出てみて良かったかな。


そんな事を思いながら私もシチューをいただくのでした。


うん、美味しい。



















なーんて良い感じに終わりそうな回想ぽい事を言ってますが、問題あり過ぎでしょ、今回の旅!


何なんですか、この世界の言語は。


日本語がデフォで標準語とか方言とか何なんですきゅぃー!


地動説が真実なのに平面世界とか一体どういう物理法則しているんですきゅぃー!


神の名前も絶対に神道の三貴子ですきゅぃー!


月読命はツキヨミノミコトと読めますけど正式にはツクヨミノミコトですきゅぃー!


冒険者ギルドの作りがテンプレ過ぎますきゅぃー!


ゴブリンの設定もテンプレ過ぎますきゅぃー!


きゅぃー、きゅぃー、きゅぃー!




と、私は大きな声で叫び、鬱憤を払うのでした。


もちろん、風魔法で周りには聞こえないようにしてですけどね、きゅぃー!

お読みくださってありがとうございました。

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