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4-5

本日の投稿は1話です。

「おいおい、サクラ。何をずっと機嫌悪そうな顔をしてるんだよ」


「いえ、機嫌が悪い訳ではないのです。ただ、初めての人里が馬小屋とかちょっと無いな、と思っているだけです」


「いやいやいや。冒険者なら普通だぞ。金がなければ馬小屋ってのは当たり前。屋根があるだけマシってもんだよ。まだ村だから野宿でも安全だったが、王都だと人さらいとかに遭っちまうぜ」


「人里って怖いですね」


「まあ森にずっと居たエルフだったらそういう感覚だろうなぁ。私からしたらずっと森の中とか耐えれな・・・でもあの家だったらアリだよな」


おはようございます、森を出て二日目の朝を迎えたサクラです。


前世も合わせて初めての馬小屋宿泊を体験した私は、馬を手に入れる事が出来ずに本日も徒歩にて移動しております。


あのような危険地帯付近の辺境にある村では馬とかすごく貴重な物のようで、ジュリアナさんも相場の5倍する値段に開いた口が塞がりませんでした。


もちろん借金塗れの彼女も、そして一銭も持ち合わせていない私も購入する事が出来ず、こうして魔法頼りに出発したのです。




「しっかし、あの馬って元は私のだぞ? 売った時は相場よりちょっと低い銀貨3枚だったのに、買うのが銀貨20枚とかありえないだろ」


要するに足元を見られていたという事なのでしょう。


何というかそういう星の元に生まれているのでしょうね、お金で損をする。


出発当初は私の方がプリプリしてましたが、途中からジュリアナさんがプリプリし始め、話しを逸らす意味も込めて色々と質問をしました。


質問の内容は常識的な事ばかりで、ジュリアナさんの個人に関する事はノータッチです。


個人的な事を聞いちゃうとこちらも話さないといけなくなりますからね。


では質疑応答の結果をば。


貨幣の種類については銭貨、銅貨、銀貨、金貨、大金貨、ミスリル貨という6種類存在していて、ほとんどの国で共通して使えるそうです。


銭貨10枚で銅貨1枚、銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚、金貨10枚で大金貨という価値のようです。


そしてやっぱりあったかファンタジー鉱物ミスリル。


このミスリルは妖精にゆかりのある土地でのみ産出される金属で、魔力の通りが良く魔法との親和性が高い鋼よりも固いのに軽いという不思議物質のようです。


そしてここからが大問題です。


ミスリル鉱はあくまで通称で正式名が妖精鉱というそうです。


私、ほぼ無制限に生み出せちゃいますね、ありがとうございました。


その辺りの説明を受けていて顔が引き吊り、脂汗だらだらだったのは仕方がないです。


きゅぃーっと鳴かなかっただけ成長したと思いたいです。


あ、ミスリル貨は王族から渡される勲章みたいなもので、相場は時価というかその貰った経緯によるそうです。


売る人なんていないでしょうから実質的な金銭価値はないのでしょうね、妖精鉱の価値以外。


続きましては物の価値で、安いパン1個で銭貨1枚、安宿1泊で銅貨3枚、外食1回で銅貨1枚との事です。


これを考えると馬が1頭銀貨4枚って相当高そうに感じますが、前世のバイクと同じような物と考えればそれぐらいな気がします。


ですがあくまでもこれはジュリアナさん情報なのでたぶんちょっと違うと思います。


おそらく彼女は孤児だったとはいえ王都出身で、しかも冒険者という組織に入ってますから金銭感覚がちょっとずれていると予想してます。


たぶん馬って場所によっては銀貨2枚ぐらいで買おうと思えば買えちゃうんだろうなぁ、とか思いながらまた始まった愚痴を聞いてました。


あの馬が名馬だったら別ですが。


さてそれ以外ですが町に入ったり王都に入る場合のルールを確認しました。


ラノベなのどでよく入るだけで税金を取られたりしますからね、その辺りが知りたかったのです。


「ああ、特に決まりはないな。ただし町以上になれば入るときに検問があるぞ」


「違法品の出入管理か犯罪者の摘発ですか?」


「そう言う事だ。あ、その魔法鞄とかも色々聞かれるかもな」


「言わなければバレないのでは? だから決して話さないでくださいよ。あと森の事や私の事も」


「うっ、やっぱり駄目か?」


「当たり前です。あなたは約束を守るという言葉の意味を知らないのですか?」


「し、知ってるさ。えっと、言いません、絶対言いませんとも!」


「ばらすような事があったら弟さんが助けられると分かっても助けませんからね」


「そんな息継ぎなしで一気にしゃべらなくとも・・・いえ、何でもないです」


ふう、この人本当に大丈夫なのでしょうか?




その後も歩き続けた結果、夕方を迎える前に町へと到達しました。


この二日の移動で把握しましたが、タフネスを使うと移動速度アップや休憩の回数も減るので3分の1ぐらいの時短になるようですね。


相当な時短に繋がってますが、これって私だけじゃなく、ジュリアナさんの身体能力が高いからなのでしょうね。


歩いている姿を見た感じそこそこ動けそうな気はしますが、私もそこまで経験豊富ではないですからはっきりとは分かりませんが。


そして到着した町なのですが、第一印象が城塞都市、外壁高い、門が大きい、でした。


たぶん幻惑の森からやってくる魔獣対策の為に作られた砦が発展した都市なのではないでしょうか、ここは。


赤眼様の話では幻惑の森から魔獣が出ないので、作ったは良いけど襲ってこないので町としてどんどん発展していった、という感じでしょうね。


後は森を迂回するための拠点としての発展とか。


遠くから見てもかなり巨大な都市ですが、これでも王都ではないというのだからファンタジア世界の国家形成の仕組みが都市国家を軸としたもの、と推測しておきます。


さて、門が近くなると行列が出来ていますから私たちも当然並ぶ訳ですが、なんだか私をジロジロ見る人が多いですね。


「私を見ている人が多いのですが、何故でしょう?」


「そりゃあサクラはエルフだからな。しかも幼児期で旅に出てるとか注目の的だ」


そう言う事は早く教えてくださいよ、もう。


そして150cm弱は幼児期扱いなのですね、しくしくしく。


私はため息をついてから、妖精鞄から取り出すふりをしつつ、一瞬でフード付きの外套を作成して羽織りました。


色は生成りで飾り気はあまりない、シンプルなものにしておきました。


一応縁取りで桜色をあしらってますけどね。


「なんだ、持ってたのか」


ですから早く教えてくれれば、と言いたいですが、もうこの件は無かった事にしておきましょう。


うーん、耳を出した髪型だとすぐに解っちゃうようですね、エルフって。


そして周りを見る限り、エルフという種族がかなり珍しいと理解しました。


だって他にエルフがいないんですもの。


後ピンク色の髪の人もいませんでした。


私ってレア中のレアのようです、流石はユニークですね。


「よし、次だ」


おっとどうやら私たちの出番のようですね。


門番と思われる兵士、質の良くない金属製の鎧に腰には剣、あまり鍛えていなさそうな身体、とっても頼りない門番です。


初検問という事で警戒していましたが、来訪理由と滞在予定、所持品検査ぐらいで特に大きな問題はありませんでした。


妖精鞄の中身を取り出して、事前にストレージから移しておいた替えの衣服、下着はちゃんと布に包んでですが確認してもらって終了です。


あ、もちろんフードなんて被ったままは怪しすぎますから少しだけ顔見世で脱ぎましたけどね。


そんな怪しさと珍しさのデパートな私よりもジュリアナさんの方が問題ありでした。


「ん? 君はギルド所属、確か幻惑の森方面へ数日前に向かった者だったよな?」


「ああ、そうだぜ」


「ほう、入って戻ってこれたんだな」


非常にまずい質問です。


これ、たぶんジュリアナさんがうっかりを発動して、そうだ、とか言いそうな質問のされ方です。


そして予想通り口の動きでそうだと言いそうになっていたので、慌ててサウンドを使って声を消して私が被せました。


「ああ、それでしたら森に入ろうとしていた所で私と出会いまして」


「ん、そうなのか?」


「はい。で、私はエルフですからあの森の危険性を十分に知っていますからお留しました」


「ああ、あの尖った耳はエルフの特徴だったよな。しかしそれは良い事をしたな。でもエルフが人間をなぁ。エルフって人間を見下してると思ってたが」


「エルフにも色々いますよ。それは人間も同じでは?」


「違いない。よし、通っていいぞ」


「ありがとうございます」


通行許可が出ましたので、口をパクパクさせているジュリアナさんを引き連れ、この町へと踏み入れました。


しかしエルフが傲慢ってのいうのは二次元ではありがちですし、ファンタジア世界はテンプレで満ち溢れてますね。




その後人があまりいないスペースに移動しまして事情説明、余計な事を言いそうだったから魔法で黙らせた、と言ってから魔法を解除。


流石に突然魔法を掛けられた事を怒っているようでした、この反応は当然ですね。


「高々入った事を言うぐらいで」


「悪夢の幻惑の森の生還者だと言って問題にならないとでも?」


「何が問題なんだい? それよりもいきなり魔法を使うとか、そっちの方が問題」


「問題大ありです。どうやって無事に帰ったと言うのですか? 私に助けられたと? 入った理由を聞かれたら主様の果実目的だったと? 私から無理だと言われたと? そうやって森や私の事をばらすのが問題ないと?」


「うっ」


「ほら、やっぱり。うっかり過ぎますよ。確かに魔法をいきなり使った事は謝りますが、それ以前の問題だと理解してください」


「わ、解った」


「良いですか? 私と出会ったのは森に入る前。私はあなたの弟さんの症状を診るために同行しているだけ、そういう依頼を受けた者、そう言う事にしておいてください」


「りょ、了解だ」


「私の事を聞かれたら水と風の魔法が使える魔術師とでも言ってください。実際に使えますから」


「お、おう。しかしすごいな、サクラ。2属性も魔法が使えるのか」


ここまで言われてもこの反応、不安しかありませんね。


さて、町に入ったので宿を取らないと行けません。


その為にはまずはお金をどうにかして用意する必要があるのですが、どうやってお金を作りましょうか。


ただお金を手に入れるだけなら私が魔法道具を作って売ればよいのですが、絶対に面倒ごとになりますよね。


それはポーションを作っても同じ事ですし、持っている果実も似たようなものです。


1つ可能性があるのが、目の前でのほほんと私について考察しているジュリアナさんを頼る事だったりします。


「確かに私を洗ってくれた魔法とか凄かったよな。あれが使えたらかなり便利だぞ。水とかも用意しなくても」


「ああ、ジュリアナさん。ちょっと質問があるのですが」


「風の魔法にしたって声を奪うとか聞いた事ない、って、どうかしたか、サクラ」


「いえ、この町にも冒険者ギルドとやらの窓口はあるのかと思いまして」


「ああ、あるよ。なんだ、冒険者になるのか?」


「今のところ予定にないですね。そのギルドなのですが素材の買い取りとかしてます? 例えば薬草とかの」


「一応やってると思うぞ。依頼が出てるか確認しないといけないが。薬草の種類によっては薬屋とか錬金術師に直接売る事も出来るぞ」


「直売は伝手が必要なのでは? この町にジュリアナさんの懇意にしている方がいればそちらでも構いませんが」


「あ、私は王都所属だから伝手はないな。じゃあ、ギルドに行くか」


そう言う事でして、初町序に初ギルドも体験しておこうと思います。




そうしてやって来た冒険者ギルドなのですが、酒場兼役所みたいなタイプのギルドでした。


かなり大きな建屋で1階が受付とかの事務関係、ロフトみたいな2階が酒場となっているようですね。


さっと見た感じ、この建物に魔法が掛かっているようで、換気などの空調や照明が魔法装置となっているようです。


カウンターには受付嬢と思われる女性が何人もいて、そこに冒険者と思われる人たちの列が出来てました。


壁際には依頼表が張られた掲示板や賞金首の張り紙、注意喚起の但し書きがあったりと、これぞ異世界ファンタジーの冒険者ギルドでした。


すごくテンプレです。


さあ、では買い取りカウンターに、と思ったのですが、やっぱりこれはちゃんと確認しないとまずいですよね。


私は買い取りカウンターに向かうジュリアナさんの目を盗んで光魔法リモートビューイングを使い、あるものを良く見ました。


そこにはとある文面が乗っておりまして、私は思わず声にだして読んでしまいました。


「きゅ、きゅぃー!?」


あ、すみません、あまりの混乱で噛みました。


「またその鳴き声か、サクラ。かわいいけど恥ずかしいから人前では」


「いやいやいや、ありえないです。なんでこれが使われているんですか。ないですよ、ないない」


「おい、どうしたサクラ?」


だって、だってですよ。












何で日本語で文字が書かれてるんですかーーーーーーー!?












独り言ではなく、きゅぃーだったのは別の意味で助かりました。












さて、取りあえず買い取りがどうなったかですね。


ちゃんと道すがら採取した薬草が売れましたよ、通常よりも高い値段で。


何せ樹妖精でもある羽妖精なのですから植物の品質を上げたり保ったりは大得意ですし。


私の分だけではなくジュリアナさんの分の宿代と食事代が稼げたのですから、それだけすごい価値があったという事です。


それでは日本語が文字として使われている件について。


私の脳にだけそう判断されているのかと確認するために、実際に私が書いたものをジュリアナさんに見てもらい通じたので日本語が使われているのを確認できました。


そして今までスルーというかあえて気にしないようにしていましたが、やっぱりみんなが使う言葉が日本語です。


流石に森の仲間たちが使うのは鳴き声が変換されてましたが、樹妖精さんたちのは全部日本語でしたよ、ええ。


そしてジュリアナさんを始め人間が使う言語も日本語であり、英語ぽい言語も日本語英語だけ、という状況。


こ、この世界っていったい何なの?


と疑問を呼び起こす驚愕の事実でした。


ですがね、そんな驚きと混乱の気分に浸ってられないのですよ。


なにせ。





「しっかし、サクラ。きゅぃーって何なんだ? そりゃサクラがやればかわいいとは思うけど、それにしてもその鳴き声みたいな叫びはないだろ?」


「きゅ、きゅぃー!?」





この世界は私をシリアスにさせないシステムでも搭載してるのですきゅぃー!


もう、もう、もう!

お読みくださってありがとうございました。


気が付けば総合評価200pt突破、ありがとうございます。

記念して本日も投稿しましたー

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