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本日の投稿も1話のみです。
妖精魔法少女サクラは服を手に入れた!
はい、どうもこんにちは、狼とはいえオスの前で柔肌を晒してしまったサクラです。
フェアリーの上位種であるハイフェアリーへと進化した途端に人サイズまで大きくなり、当然の如く着ていた衣服や装備を全損。
裸の化身へとクラスチェン、はしたくなかったですきゅぃー!?
即座に妖精布を製作して体に巻き付け、主様の根元に戻ったのですが、そこでも波乱が待ち受けておりました。
我が家に帰れない!
私の棲家である桃(偽)はミニマムサイズな妖精さんが棲む球体。
そして現在の私は人サイズ、150cm弱という身長に変わりましたから入れる訳がありません。
その状況に呆然としていたら樹妖精や小動物たちが遠巻きにしながら私に付いて語っていました、それが更なる乱です。
「なぁなぁ、あれは誰だ?」
「もしかして外の奴らがここまで来たのか?」
「いやそれはないだろう。赤眼様が許さないだろうし」
「その赤眼様は?」
「眠っておられますね」
「じゃあ、あれはどうしようか?」
「サクラさんはどうした?」
「まだ帰ってきてないですわ」
「と、いうかあれの恰好はなんだ?」
「外の人は服を着てるんだろ、サクラさんみたいに」
「巻き付けてるだけって」
「「「「「「「ないわ~」」」」」」」
「私たちは何も着てませんけどね」
「「「「「「「天然素材は必要なし!」」」」」」」
「わ、私ですきゅぃー!?」
「「「「「「「あ、サクラさんか」」」」」」」
うん、きゅぃーで判断しましたよね、あなたたち。
何とか私が進化して大きくなった事を説明し、赤眼様も起きてもらって証明してもらいました。
流石は赤眼様で大きくなっていようが私だとすぐに見抜きになられ、いえ、普段の私に対する対応通りでした。
それよりも大きくなったのだからと酒作りを手伝って欲しいとか言い出しましたから、まあ、そういう事です。
さて、ハイフェアリーになって変わった事ですけど大きくなっただけではなく、能力値も大幅にアップしました。
特に筋力が増えたのはありがたく、持ち運び出来なかった物も軽々になりました、身体強化を併用してですけど。
まあ、赤眼様を持ち上げたり出来ないのは当然なのですが。
メリットはそれぐらいしかなく、あとはデメリットといいますか変わりすぎた事での不慣れでしょうか。
まずは羽が大きくなって邪魔に感じる事ですね。
小さかった頃は問題なかったのですが、大きいと流石に色々なところにぶつけてしまい、地味に痛いです。
タンスの角に足の小指をぶつけるあれです。
なのでしばらくは周りに気を付けながらになりそうです。
続いては衣服と装備を作り直し、それと住居の確保です。
一番の問題は住居の方で、前世の感覚が残っている私には屋根のないところで寛ぐというのは精神的にくるものがありました。
この辺りがニートに就いた原因かもしれませんね。
なのでまず取り掛かったのは服ではなく住居の建築です。
住居と言っていいのかわかりませんが、取りあえずテントのようなものを作っての仮住まいとしました。
本当は森の中なのでログハウスや樹木を利用したツリーハウスにしたかったのですが、道具作成に時間が掛かりますし、もっと言えば建築に時間が掛かります。
うん、妖精建築家とかそういう職業がありそうな気がしてきました。
妖精パワーで一瞬でツリーハウスを作る二次元にありそうな魔法の家とか作っちゃうやつです。
そういうのに転職出来ないか試してみましたが今のところ不可能ですね。
何か条件があるのかもしれません。
兎も角、簡単なテントと丈夫なハンモックや家具食器類を作成して住居の完成です。
ここまでで半日掛かってしまいましたので、私が以前の暮らしを再開、そして大きくなった体に慣れるために1週間ほど時間を費やすことになりました。
まあ、その1週間の間に赤眼様専属メイドのような事、甲斐甲斐しく体を洗ったり晩酌したり食事の用意をしてましたので、メイドを極めたり妖精鍛冶師のレベルが上がって新たなクラススキルを覚えたりとちょっとした変化です。
メイドマスターになった私は転職する事にしたのですが、メイドの上級職はやっぱりメイド長で、この時になって初めてメイドについて色々と判明しました。
まずメイド自体が上級職であり、初期職は料理専門のスカラリーメイドや掃除専門のキーパーメイドなどの専門職となり、メイドはそれらを経験した者が就ける職業でした。
確かに私は前世で炊事洗濯掃除に家の管理などの家事全般をやっていましたから上級職といえばそうですね。
そしてファンタジア世界のメイドはやっぱりラノベに登場するメイドさんのように戦闘メイドであるバトルメイドやアサシンメイドなんていう派生職もありました。
これらに就ける条件は暗器を使った戦闘が出来るメイド、隠密を習得しているメイドのようです。
あ、暗器かぁ、確かに飛針は暗器ですよね、あれ。
何もないところから作り出して発射してますし。
このように奥が深いメイド道ですが、取りあえずは刺突剣を持った戦乙女ちっくな装いですから別の道に進みたいと思います。
そして転職したのは魔法少女です。
どこが戦乙女?
とお思いでしょうが、やっぱり乙女の憧れ魔法少女はやってみたいじゃないですか!
全てを出し切った攻撃とか憧れちゃいまきゅぃー!
ハイフェアリーに進化してから1週間、準備と慣れる為に費やし、久しぶりに深層部へとやってきた私ですが、魔獣が多数流れてきていたようでガンガン狩りに精を出しました。
最初は魔法で倒していたのですが、この大きさになったのだから剣を使った戦闘も経験しておきたくなり、初めての接近戦を試みました。
いやまあ、緑狼さんと接近したくない接近戦を経験してあったので、割とすんなり行えましたが、やっぱり剣の扱いが上手くいかず、思った通りに狙えません。
なのでウィンドシールドで囲んで行動を封じたり、ノイズで気絶させたり、フリーズで足を凍らせて移動封じしたり、ショックで麻痺させて剣の練習してました。
客観的にみると相当酷い事をしているのですが、やっぱり精神構造が前世とかなり違っているのか嫌悪感とかはあっても手が止まる事もなく、ある程度剣を振り回せるようになりました。
その頃になると剣術というスキルをレベル1で習得しており、職業も戦士に就けるようになりました。
試しに戦士に転職して戦ってみたのですが少しだけ接近戦がやりやすくなったかな?という程度の違いです。
今は魔法少女がマイブームなので先に魔法少女を極めるつもりですけどね。
「うん。戦乙女な魔法少女なのに近寄るまで気付かれないって何だか違う気がします」
「今度は剣を使って戦うようになったのか。どうだ、試してみるか?」
「きゅ、きゅぃー!? あ、緑風さん、こんにちは」
私の呟きに背後から声を掛けてきたのは緑狼さんで、まったく気配を感じませんでした。
前回と違って敵意を向けてこなかったので危険感知も反応せず、彼の接近を感知できなかったようですね。
うん、敵意とかをコントロール出来たら私も完全なアサシンになれそうです、なりませんが。
「しかし凄い切れ味の剣だな。人間たちの武器でもそこまでのはないぞ」
「切れ味だけじゃなく、魔力を通すと」
「ほう、雷と冷気か。って、それ魔剣とかいうやつだな! 俺にもくれよ」
実は私のヴァルキリーレイピアなのですが、魔力を通すと冷気と雷を発し、相手を凍らせつつ電気ショックを与えるなどという性能があったりします、この間作り替えました。
「いやいやいや。緑風さんは剣なんて使えないじゃないですか」
「こう口に咥えてだな。ん? リョクフウって何だ?」
「緑風狼という名が付いてるのですよね? ですから緑風さんとお呼びしようかと」
「お前・・・いや、まあ俺の方が上だからよかったものの、下手に名前なんて付けるんじゃねーよ」
「え? どういう事ですか?」
名前に付いて新事実を緑狼さんから聞かされてしまいました。
まず名前と名称の違いは以前解説した通り、名前は固有を表す名札、名称はそのものを表する通り名、です。
名称はある一定上の認知が広まると付いてしまうもので、鑑定などでも表示されるようになります。
このシステムも謎ですが、おそらくファンタジア世界の神様が認知する切っ掛けとなり、常識として刷り込まれるようなものでしょう。
そして名前ですが上位存在が与えた場合は強制的に固定され、それ以外の場合は親が名付けた場合かお互いに認めた場合のみ固定化されるようです。
固定化されると鑑定などで表示されるようになり、そのものを表す名となるようですね。
なので私の名前のサクラが自称というのは問題ない誤魔化しだという事です、自分で決めて自分で認めたという感じで。
「まあ、俺は鑑定なんてスキルを持ってないから他のやつがどうなってるか知らんが、俺が生まれた森のボスがそんな事言ってたな」
「え? 緑風さんは他の森から来たのですか?」
「だからリョクフウはやめろ、安直過ぎるだろ。ああ、10年ほど前に来たぞ」
「10年前ですか。あ、緑風が嫌なら颯などどうでしょう?」
「ハヤテ、だと? どんな意味があるんだ?」
「轟音巻き起こす疾風、風よりも速い者。あなたを表す名としてはピッタリだと思いますが」
「風よりも、か。いいな、よし。今日から俺は緑風狼のハヤテだ!」
こっそり鑑定してみたところ、名前がハヤテとなってました。
私の事ながら見事な名付けだと思います。
「よし、名が決まった記念だ。やるぞ!」
「きゅ、きゅぃー!?」
その後、羽が痛んだり折角作った衣服が破かれたりで散々でした。
回避運動がしやすくなる回避というスキルを覚えられたのはありがたいですが、この戦闘民族狼め!
一頻私と戯れて満足したのかハヤテさんは一瞬で姿を消しました、本当に突風のような狼さんです。
しばらく戦闘疲れでぼーっとしていましたが、破れたりして破損した装備類を作り直し、魔獣狩りの再開です。
魔法込みの探索を行い、魔獣たちを発見次第狩りまくる、サーチアンドデストロイ、のお時間。
接近するまで私に気付かない狩りですから正直ヌルゲー感覚で狩りに狩りまくっていたので、ちょっと調子に乗って魔が差してしまいました。
これって中層に行っても大丈夫じゃないでしょうか、と。
そんな感じで魔獣の数が圧倒的に多い中層部へと初進出。
いくら私が魔獣を一方的に狩れるほど強くなったとはいえ、相手は単体じゃなくて複数、集団で現れる場所。
私の余裕が無くなるのに時間は掛かりませんでした。
確かに探索で相手の場所が判明しているし、隠密の効果で近寄るまでは気付かれないとはいえ、数の力は偉大です。
最初に戦ったのは蛇道場、もとい、蛇系魔獣の集団で、5匹も潜む場所でした。
全てシャドウハイドで隠れているようなので、ライトであぶり出したのは良かったのですが、そこからは純粋な戦闘。
魔法を使用して隠密の効果が薄れてしまった私に向けてダークパイルやダークネットが四方から飛んでくる。
1,2発だけなら私の装備たちで無効化しちゃうのですが、5発もとなるとリラックスがあっても少しずつ効果が表れて焦りました。
「きゅ、きゅぃー!? 数の力を舐めてましきゅぃー!?」
しかも即座にシャドウハイドを使って全員隠密になって移動するので、魔力視スキルを起動しての追い掛けっこまでする始末。
魔力視を使うのに瞳に魔力を集める必要がありますから同時に魔法を使うの場合は弊害が出ちゃいます。
だから自身に付与する補助魔法などをまず使って自己強化して、それから剣による接近戦や魔法と飛針での遠距離攻撃と動き回る嵌めに。
やっと全滅させられる、と思い気を少しでも抜き始めたら危険感知に反応が!
増援、とはちょっと違うのでしょうが、戦闘音に引き寄せられてやってきた猿系魔獣の集団からの投石乱舞が私や生き残っていた蛇系魔獣に殺到しました。
「きゅ、きゅぃー!?」
ウィンドシールで防いだり回避したりでほとんどを避けましたが、少しばかり石が体にあたって対魔獣戦で初の大ダメージを受けました。
す、すごく痛きゅぃー!?
今まで魔法攻撃を受けた事はありましたが、物理的な攻撃によるダメージって初めての事で若干とはいえ混乱したのは仕方ないと思います。
あと、妖精さんは物理に弱すきゅぃー!?
大きく距離を取ってリザレクションでHPを回復し、周りを見渡せば蛇系魔獣は絶命しており、猿系魔獣が私を取り囲むように移動している姿が見えます。
そして一斉に投石をしようと振りかぶっているのを見て、私は完全に切れました。
「きゅぃー! きゅぃー! きゅぃーーー!」
一定方向どころか全方位に向けてのアクセラレータロアーを放って行動を阻害。
「もう、もう、もう!」
そして怯んだ相手、猿系魔獣の集団に向けて撃てる数の限界に迫るブロウを連打しました。
「「「「「「「きぃー!?」」」」」」」
4桁を超える魔力を一瞬で使うほどのブロウ乱舞を受けた魔獣たちは、原型を止めないほどのフルボッコで即死です。
死体を見るのも慣れてきた私でも直視するのを躊躇うほど酷い惨状。
混乱していて狙いが甘かったから木々などもボロボロで、まるでハヤテさんと戦った時みたいな状態になってました。
「し、死ぬかと思ったぁ」
私は飛行を解除して地面に座り込んで呆然とその光景を眺め、レベルアップによる体の熱を冷ますのでした。
まあ、そんな私に更なる魔獣の集団が迫ってくるのですが、しばらくお待ちください。
ちょっとは休ませて欲しきゅぃー!
それと、これだけやっても魔法レベルが上がらないって何なんですきゅぃー!?
お読みくださってありがとうございました。
テント暮らしの妖精さん、ほろり(涙




