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本日の投稿です。
さて、鳥親子を始めとした深層部を棲家としていた鳥系魔獣の内、素直に説得に応じてくれたもの全ての移住が完了しました。
彼らの話によれば、現在中層部では魔獣たちによる覇権争いが発生しており、蛇系と猿系と狼系での争いが熾烈になっているそうです。
そんな群雄割拠な戦国時代みたいな場所で暮らせるはずもない鳥系魔獣たちは、生き残ったものだけ深層部に逃げてきたそうです。
なので数羽を除いて全ての鳥系魔獣が最深部である主様の根元に集まっている事になります。
まあ、その数羽も私と赤眼様で狩っちゃうんですけどね。
「ふむ。では我はこちら側を狩ってくる。気を付けるのだぞ」
「はい。赤眼様、ご武運を」
一狩り行こうぜ!
と、ばかりに元気に飛び立ちました。
などと勢いよく深層部までやってきましたが、探索の結果、どうやら鳥系魔獣よりも蛇系魔獣の方が近くに潜んでいるようです。
こ、これは先に倒しちゃえって事ですかね。
取りあえず姿をちゃんと確認してみましょう、リモートビューイング!
早速視界を飛ばしてみたのですが、蛇らしき姿が見当たりません。
ただし魔力視スキルで蛇のような形の奇妙な魔力の塊は確認出来ました。
薄っすらと闇精霊を纏った魔力なので、魔力視で見るとすごく解り易い。
うん、これが闇魔法での隠密なのでしょう。
しかしちゃんと本体を目視していませんので鑑定が働きませんし、やはり近寄って確認するほかなさそうです。
さて、魔法や危険感知があるし相手の居場所も特定出来ていますから、不意打ちされる事もなく防御は完璧です。
ただ、果たして私は相手を殺せるのでしょうか?
アース世界で人間だった頃、小さい時に虫を殺した経験ならあります、幼かったから無邪気に。
でもある程度道徳観念を身に着けてからは一切そのような行為はしてませんでした。
そしてファンタジア世界で生まれ変わった後、自分から進んで殺しに行った事がまだありません。
なのでちょっと出来るのか心配、いえ、怖かったりします。
でも、聞けばやっぱり殺伐、いえ、弱肉強食がはっきりした世界なので、殺さなければ殺される運命、もしくは逃げ隠れる運命しか残っていないのですよ。
それが果たして楽しいのか、と考えたら楽しい訳がない。
だから今日、私は、自らの意志で相手を殺します。
「などと自己暗示してみたものの、やっぱり躊躇しますよね」
蛇系魔獣が隠れている近辺にやってきて、魔力視を使いながらどんどん近寄っていきます。
飛び掛かられたり毒液を噴射されても嫌なので、風魔法ウィンドシールドは体の全面を覆うように展開してあります。
更に念のため雷魔法を付与したレイピアも抜いて、さも周りを警戒してるんだよ、を装うために顔をいろんな所に向けつつ、リモートビューイングでロックオン状態です。
さあ、かかってこいや!
とか思ってたら本当に飛び掛かってきました。
「しゃー!?」
でも、まあ、風の盾で跳ね返されちゃうんですけど。
私を丸のみに出来る大きさの蛇。
おそらく体長2m近くありそうな、そして確実に私をパックンと出来る大きな口が風の盾で止められて喉の奥まで丸見えです。
「うん、容赦なく襲ってきましたね。こちらも気にせず反撃出来るってものですよ、ブロウ!」
抜いたレイピアはどうした?
と言われそうですが、まずは私の最大の攻撃力が通じるか確認です。
まあ、圧縮空気砲をほぼ全方位から受ければあっけなく吹き飛びますよね、うわぁグロい。
頭を念入りに打ちのめしましたので完全に頭部は吹き飛び、胴体も滅多打ちですから複雑骨折したのか骨とかが飛び出てますね。
「よっぽど混乱してるのですね、私。まさか冷静なフリをして解説しちゃうとは」
なお、魔獣を倒したからとゲームやアニメみたいにお金やドロップ品、魔石などは出てきませんでした。
当然ですよね!
しばらく生物を自ら殺したというショックで呆然としてましたが、比較的安全とはいえ魔獣が闊歩する森の中、我に返った私はトリートメントを使って精神異常を回復。
ステータスチェックしてみたらやっぱり萎縮という状態異常に陥っていました。
うん、これは慣れるまでリラックスを使っておいた方が良さそうですね。
それでは早くなれる為に次に行きましょうか。
さて、その次の獲物も実は蛇系魔獣が一番近いので魔法を掛けなおしてから突撃です。
そして近寄ったらまたもや飛び掛かって来まして、風の盾で受け止めようと思ったのですが、ここはあえて受け流してみました。
こうした場合どういう動きをしてくるのか見てみたかったのです。
こういう楽な状況で色々体験しておいた方が、いざと言う時に動けると聞きますからね。
オタク知識によれば。
なので地面へと落下していく蛇を観察していたのですが、こちらに顔を向けて大きく口を開けました。
「しゃー!」
音は蛇の鳴き声ですが、意味は魔法名、しかも闇魔法を私に向けて使ってきたのです。
「きゅ、きゅぃー!?」
黒い杭のようなものを打ち出す魔法のようでかなりの速度で飛んできますが、これ風の盾で防げそうにないですきゅぃー!?
で、もちろん私に直撃、と思ったのですが、私に触れると杭の形を失い、消失しちゃいました。
うん、光魔法リラックスや妖精シリーズ装備の精神防御で無効化したみたいですね。
「ひ、冷っとしたじゃないですか。じゃあ、お返しです。杭には杭を」
私は妖精針、もやは針じゃなく杭だろ、ってぐらい大きくて太い針を生成して即座にシュートアシストで撃ち出し、蛇の口に突っ込ませました。
まあ、その後の光景はご想像通りだと言っておきます。
「やっぱりグロいです。でもさっきよりマシかな。流石精神安定の光魔法りらっくまさん」
魔法の凄さを再確認しながら、割とひどい事を平気で出来るようになるこの魔法にちょっとビビってたりします。
だって、この魔法って下手すれば恐怖を覚えない兵士とか作れちゃいそうですもの、魔法道具化でもしちゃったら。
まあ、あれです。
そんな物騒な、いや物騒な事してる私が言うのも何ですが、そういう話は辞めて2回の戦闘について検証しましょう。
もちろん風魔法で警戒しつつですが。
やはり攻撃するなら不意打ちが最強、というのが検証結果になるのですが、取りあえず蛇系魔獣は余裕で倒せる事が判明しました。
しかも2匹しか倒していないのに種族レベルと職業レベルが上がっちゃいましたよ、2つも。
1匹で1レベルアップだなんて、どれだけオイシイ獲物何ですか、蛇さん!
これは蛇道場を開催した方が良いのでしょうか?
いや、その前に闇魔法を習得できないか実験してみましょう。
目の前で使ってくれたし、闇精霊がどういう存在なのかも何となく解りました。
その特性は光精霊の真逆、と光精霊の運行補助が仕事であるフェアリーならではで理解が簡単でした。
なので後は素養さえあれば行けるはずです。
と、いう事で先ほど蛇系魔獣くん、シャドウバイパーが使っていた魔法を試してみましょう。
「ダークパイル!」
うん、一発合格です、やったね!
闇魔法もレベル1で習得できまして、どうやらこの魔法系統は攻撃と状態異常に特化したもののようですね。
ただ威力はそれほど高くなく、どちらかと言えば精神系の状態異常を引き起こすことがメインです。
あとは闇ならではの特性を活かしたものとか。
まあ、特性言われても暗くなるぐらいしかイメージ湧かないので、実際に見てみないと使えそうにないです。
そして職業魔術師のお陰で習得できましたが、フェアリーとしてはあまり得意ではない魔法系統のようです、闇魔法。
そしてダークパイルという魔法は闇精霊の力を杭の形にして撃ち出すもので、攻撃力は低いけど対象を恐慌状態に陥れる効果があるようです。
もし普通に食らってたら魔法も使えなくなるだろうし、詰みだったでしょうね。
うん、色々準備していて良かったです。
そして舐めぷは良くない、かな。
でも、まだ色々と試しておかないと後々困りそうなんですよね、凄腕の闇魔法使いと戦う場合とか。
なのでもう少し続けましょう、蛇道場。
そういう訳でして3匹目はこちらから攻める、光魔法ライトであぶり出してやりました。
やっぱり闇魔法のカウンターは光魔法だったようで、闇に隠れていた蛇の姿がベールを脱ぐようにあぶり出て来て、慌てたのか急いで逃げ出しました。
逃がしてなるものか、とばかりに追い掛けると振り返ってダークパイルを撃って来たので待ってましたとライトを使用。
あら不思議、光で闇の杭が消滅しちゃいました。
予想通りですが。
その光景にもっと慌てたのか蛇は次の手として黒い蜘蛛の巣のようなものを飛ばしてきました。
ちょっとこれにはびっくりしましたが、私に触れると消え去るのは変わらずで、これもダークパイルと似た闇魔法、おそらくシャドウネットとか言う魔法なのでしょう。
まあ、うん、私には闇魔法が効かないと悟った蛇は逃げの一手、でも闇魔法を使っての逃走を図りました。
彼の体の下の影に沈み込むように消え去ろうとしているのです。
まるでアニメなどで見たなんちゃらポケットとかに入っていくような感じです。
まあ、これが闇魔法での隠密なのでしょうね。
サクッとライトを当てて無効化し、今度はお返しとばかりにダークパイルを撃ち込んでみました。
「ダークパイル!」
黒い杭に貫かれた蛇は自身が操る系統に抵抗出来なかったのか体を仰け反らせ、完全に恐慌状態に陥ったのか暴れまくってます。
うん、何だか虐待でもしている気分になってきましたね。
「ごめんなさい、楽にしてあげますね。フリーズ」
変温動物である爬虫類には寒さが一番効果的だろうと氷魔法を使い、止めを刺しました。
かちんこちんに凍った蛇の出来上がりです。
うん、これでまたレベルが上がりましたね。
気分的にはあまりよろしくないですが、蛇道場、美味し過ぎです。
その後狩りを続けて蛇系を追加で3匹、鳥系を5羽討伐しました。
蛇系はやっぱり経験点が多い、本来であればフェアリーよりも高位な存在なのでしょうね、レベルがガンガン上がりました。
反面、鳥系に関してはそれほど経験点が入らず、5羽倒して1レベル上がった程度でした。
でも種族レベルも職業レベルもかなり高くなっていての事ですから、本来はかなり多いのでしょうね。
あとアース世界の神様に頂いた恩恵の効果が多大な影響を齎しているかと。
加護の効果もそうですが、成長と転生を司る神様ですから自身より強い、存在が上のものと関係する行動の場合、より成長を促してくれている、そんな気がします。
自己完結する内容よりも赤眼様依頼の行動の方が多く経験点が入ってましたしね。
なのでやっぱり蛇道場美味し過ぎ、という結論に達しました。
「と、いうのが私の戦果です」
「う、うむ。やれるだろうとは思っていたが予想以上だな。何度も言うように詮索はしないが、ユニークとはいえフェアリーの域を完全に超えておるな」
「神様の加護のお陰だと思いますよ」
「確かにそうかも知れぬな。さて、では我はもう一回りして来よう」
「はい、お気を付けて」
私の報告を聞いた赤眼様は再びパトロールへと出掛け、今日は勤勉だなぁ、と尊敬の念を送っておりました。
ですが赤眼様が戻って来られてからその尊敬の念は残念な人を見た時のものに変わりました。
帰ってきた赤眼様はそれはもうとってもご機嫌が良く、スキップでも踏むんじゃないかと思えるぐらい浮かれておりました。
「お帰りなさいませ、赤眼様。何か良い事でもあったので、すか?」
私は近寄って機嫌が良い理由を聞こうと思ったのですが、近寄ると血生臭いし口元の血糊と骨を見つけたので微妙な聞き方になりました。
い、一体何をしに行っていたのでしょうね?
私は何となく思い当たる節があったので、リモートビューイングを使って確認し、赤眼様がご機嫌である理由を察しました。
「赤眼様、パトロールはどうでしたか?」
「うむ、問題なかったぞ」
「作用でございますか。あ、こちらをどうぞ」
「ああ、感謝する。む? 冷えていて旨いな」
「ええ、冷やしておきました。赤眼様はお仕事がお忙しく大変だと思われます。ですからせめて戻られた時は、と」
「その心遣いはありがたい」
「いえいえ。やはり冷たいものは美味しいですからね。肉ですとか」
「うむ! 稀に食したくなるな、冷たき生肉は!」
「そうでしょうとも。パトロールと言いながらも食べたくなるぐらいのものですよね。解りますよ、赤眼様」
「ぬ、ぬぅ」
「な、何がぬぅ、ですか! もうバレているのですからね! 嘘を言ってまでする事じゃないと思います!」
「なっ!? だが百年ぶりなのだぞ! 妖精女王に振る舞ってもらったあの冷やした生肉、肉の刺身の味ときたら天上の食彩とも言えるものなのだぞ!」
「だからって騙すのは良くないと思います! 言って頂ければ、一言冷たい生肉が食べたい、そう仰って頂けたら!」
まあ、何でここまで私もヒートアップしているのかよく解りませんが、おそらくファンタジア世界に来て初めて赤眼様と出会ってから最初の口喧嘩の始まりでした。
その光景を見ていたリスさんや鳥系魔獣たちは姿を消し、ウサギたちは固まって何やら話し始めました。
「おい、あれってあれだよな、羨ましい」
「まあ、あれだな。あっしらには縁遠いものですね」
「くぅ、あっしらもあんな嫁が欲しい! そして亭主関白してみたい!」
「何言ってるんだよ、あんたら。甲斐性の甲もないのに関白になんてなれる訳ないでしょ」
「そうよそうよ。そういう寝ぼけた事言ってないでさっさと仕事してきなさいよ」
「そうよ、仕事しなさいよ。家の子は5匹もいるのよ。稼いでらっしゃい、ちゃんと」
「「「「しゃあねぇ、働くか!」」」」
「「「「ちゃんと転がって噛みしめるのよ」」」」
「「「「「「「ただ寝転がって食べてるだけじゃん!」」」」」」」
「だから何でボケを挟まないときゅぃー! って、私はそんなんじゃないですきゅぃー!?」
「「「「誰が嫁と言った」」」」
「「「「そう、妖精さんは」」」」
「「「「「「「ボッチさん」」」」」」」
「う、うわーーーーーーん!」
うん、皆の棲家の近くで騒いでたら注目しますよね、ええ。
ち、違うのですよ?
本当にそういうのじゃないんです。
確かにアース世界にいた時はちょっとファザコンかも、と自分で自問自答した事があるほどの理想のタイプはお父さんでした。
でもいくらお父さんに何となく似てるからって熊さんである赤眼様はないんですきゅぃー!
なお、後日赤眼様用に急冷装置と花園仲間用に自動冷蔵装置を設置することになり、大変喜ばれましたとも。
あ、序に職業魔術師がカンストしました。
次は何になろうかな?
お読みくださってありがとうございました。
今日の夜か明日に次が投稿できそうです。




