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こっそりと投稿です。

今日こそ冒険だ!


と勢い良く飛び立ち、そして誰にも止められませんでした。


止められないのは庭園の管理が順調なので良いのですが、これはこれで寂しい気がするのは贅沢なのでしょうか?


ボッチだった、いえ、まあ今でもボッチ継続中ですが、前世でこんな事を感じた記憶がないですし、とっても不思議な気分です。


ちょっとアンニュイな状態ですが、探索開始初日ですし気を引き締めて行きましょう。


「あ、ボッチさんだ」


「「「「ボッチさん、おはよう」」」」


「う、うわーーーーーーん!」


だからってウサギさん、挟まなくて良いんですって。




なみダッシュで主様の元を離れた私は鬱蒼と木々が茂る魔獣が闊歩していると思われるテリトリーにやってきました。


この辺りは幻惑の森でも中心、深層部分になりますから出現する魔獣は非常に強力、って事は無く、逆にあまり強くない魔獣しかいないそうです。


まあ赤眼様基準での話ですから強い弱いの基準が正確ではなさそうですが。


ただ、聞いた話を総合すると、主様を中心地で最深部だとして深層部と外縁部は魔獣の強さは比較的低くなるでしょうね。


おそらくもっとも弱いのは結界の際である外縁部だと思われ、深部は番人がいるからあまり魔獣が近寄って来ない、だから目の前の死から逃れた魔獣が集る。


必然的に中層部ともいえる一番のボリュームゾーンが強力かつ狂暴な魔獣の楽園になっているのでしょう。


まあ、だからといきなり中層に入る気はないので、まずは深層部から探索です。


早速探索スキルを使いつつ、融合魔法リモートセンスを発動。


今の私の魔力と感知、魔法レベルの高さ、それらを加味したら大体半径100mぐらいの範囲を一度に調べる事が出来ます。


ただし、主様の根元、テリトリーとしておきますが、そちらを排除して扇型にすれば更に広範囲を探索可能です。


それによれば小動物は皆無、虫や鳥系魔獣はそれなり、後は他の魔獣が何匹か。


魔獣と動物の違いは魔力の多さで判別が出来ちゃいます。


と、言いますか動物はほどんど魔力を持っておらず、外部に漏れだす事がないんですよ。


妖精の花園復活以降、小動物がやってきて赤眼様と見比べてみて気が付いた点が魔力の違いだったのです。


赤眼様の魔力は一切漏れておらず、と言いますか巨大な熊の形の魔力の塊に見えるぐらい濃密なんですけどね。


あ、主様は見ようとしたら目がやられそうなほどの高濃度な魔力でした。


魔力視スキルで見ているのですが、これで見える魔力は能力値の魔力ではなく、おそらくMPの方じゃないかなーなんて思い始めてます。


さて、その魔力を纏った獣、魔獣ですが、思ったよりも魔力が多くないですね。


正直私の方が魔力が高い感じです。


私の今の魔力がC+でMPは500を超えてますから、恐らくC以下で30から300と言ったところでしょうか。


ただ、あくまでも魔力としてみた場合の戦力差なので、身体能力やスキルによって大分変わってくるのでしょうね。


取りあえず捉えた魔獣の気配を頼りに、再度融合魔法リモートセンスで五感を飛ばしてしっかり確認してみます。


先ほどある程度は見てたのですが、ざっと見ただけなのでちゃんと注視しないと鑑定とか出来ないのですよ。


それで一番近い魔獣である鳥系魔獣を見てみましたらストライクバードの親子でした。


うん、イモムシモードで戦った相手ですね。


幼生期の子供は不意打ちさえ受けなければどうとでもなりそうです。


ただし親である成体の方は真正面から戦いたくないですね。


だって翼を閉じた状態でもウサギさんよりも大きいですし、前世の動物園で見た大鷲並みです。


間違いなく接近戦をするような相手では無い事は明白です。


まあ、戦力差を図るなら接近戦もやってみなくてはいけないのでしょうが。


この親子の近くには魔獣が居ませんし、取りあえず声掛けをしてみましょうか。


何故か周りを警戒するようにびくびくしてますしね。


では、第一印象が良くなるように声を整えまして、風魔法サウンド、行ってましょう!




「きゅ、きゅぃー」


や、やっちゃいました、思わずイモムシ語?で話し掛けてしまいまきゅぃー。


ま、まあ神様から頂いた恩恵の効果で会話出来ると思うのですが。


「だ、誰?」


「あ、すみません。襲われたくないので遠方より声掛けさせて頂きました」


「な、何ですって?」


「魔法で声を飛ばしてるんですよ」


「ま、魔法!? まさか妖精!? でも声を飛ばすってそんな魔法は使えそうにない」


「あ、私はフェアリーですから風魔法が使えるのですよ」


「え? 確か遥か大昔に絶滅したはずじゃあ」


あ、魔獣の間ではそういう扱いなのですね、羽妖精さんは。


なお会話の相手は親、ストライクバードのメスの成体さんです。


子たちはもう、それはそれはびっくりしていて失禁込みで気絶してますね、ごめんなさい。


「最近生まれたのですよ。まあ、それはさておき、お話しよろしいですか?」


「い、嫌と言っても無駄なんでしょ?」


「無理意地はしませんよ。ただ私には赤眼様と交渉出来る伝手があります、とだけ」


「ま、まさか番人様と?」


さすが赤眼様です。


魔獣たちにも絶大なネームバリュー、しかも畏怖や尊敬を集めているようですね。


その赤眼様の名が効いたのか、素直、まではいきませんがそれなりに質疑応答がなされました。


この親子はこの辺りに棲み始めて一年も経って無いようで、父であるオスは先日狩りに出て帰ってきていないそうです。


子は2匹だけで、現在餌をあげれず困っていて、そろそろメスさんが狩りに出る予定だったとか。


「うーん。今森は危険度が増しているらしいですから厳しいのでは?」


「そ、それは承知してるわ。でもこの子たちに餌を与えないと死んでしまうもの」


「なるほど」


まあ、魔獣とはいえお母さんはお母さんですか。


私の前世の母とは大違いですね、偉い。


妖精についての質問にはやっぱり樹妖精を見た事があり、先日リスさんやウサギさんたちを連れて主様のところへ向かって、その後見かけていないらしい。


「ただ、妖精たちは擬態が得意ですから私には見破れないわ。もしかしたらまた中層に向かったかも知れないわよ」


擬態ですか。


たしかに得意そうですよね、木に化けるとか。


最後の質問である魔獣の狂暴化についてですが、これはやっぱり解らないそうです。


ただ、前よりもこの辺りに流れてくる魔獣が増えて、彼女たちを含めた鳥系魔獣の数がどんどん減っているそうです。


「私たちはこの森の魔獣でも最弱。外に出れば狩りする側でもここでは狩られる立場なのよ」


「えっと、なんで外に出ないのですか?」


「知らないの? この森は主様の結界の所為で魔獣は外に出れないのよ」


「え?」


「いえ、違ったかしら? 妖精女王の呪いだったかしら? 私も死んだ母から聞いた話だしちゃんと覚えていないのよ」


「な、なんですきゅぃー!?」


まさかこの森から脱出出来ない、幻惑どころか不帰の森だったとは。


妖精郷とかあったりするんでしょうか、この森の中に。


あ、嘗ては妖精郷ですか、妖精女王が棲んでいたぐらいですし。


う、うーむ。


森の調査に出掛けて、それよりももっと気になる事を知ってしまいましたね。


ただ、これは赤眼様に聞けば真相ははっきりするでしょうから今度聞きましょう。


「さて、それでは質問は以上です。あ、そういえばあなたたちは肉以外は食べれないのですか?」


「い、いえ。肉じゃなくても木の実や果実でも大丈夫よ。ただ肉の方が美味しく感じるのは魔獣としての性ね」


「うーん。小動物を襲わないと誓えるなら安全な場所を提供出来ます、と言ったらどうします?」


「そんな場所があるの?」


「ええ。でも約束を違えたら、間違いなく死にますよ?」


「ま、間違いなく?」


「ええ。だって赤眼様のテリトリーですもの」


「え? えええ!?」


まあ、主様の根元、と言った方が正しいのですけどね。


さて、どうしますか?


安全ですよ、この森で唯一。




ストライクバードの親子と口頭ですが契約を交わし、赤眼様に確認を取って紹介しました。


赤眼様も小動物を襲わず、主様に傷をつけないなら構わないとおっしゃっていただきましたので、妖精の庭園の仲間が増えました。


リスさんやウサギさんたちはびくびくしてましたが、ストライクバードの親子、もう鳥親子で良いですね、彼女たちが大人しいと分るとすぐに普段通りになりました。


リスは枝や幹を駆け回り、ウサギは草地で丸くなる、というね。


そして折角飛べる生物がやってきましたので、鳥親子にも仕事をしてもらう事になりました。


それは赤眼様のお酒作りの手伝い、巨大ベリー収穫とか魔力供給とかです。


魔獣なので少ないながらも魔力を操れますし、大した戦力にはなりませんがニートは許せません。


あなたはニートだったでしょ、とか言わないでくださいね。


私のニートは立派な職業なんです!


あ、そうそう。


なぜ魔獣である鳥親子が大人しくしていて小動物を襲う素振りも見せないか、なのですが、これは赤眼様という絶対強者との契約、しかも魔眼も使っての事でしたから本能を超えての絶対服従だそうです。


ラノベとかで登場する魔法による奴隷化や従魔化により近い状態だと思っていただければ。


何せ鳥親子の状態異常の項目に、隷属(主:赤眼)、とか付いてますので間違いないかなぁ。


さ、流石赤眼様です、そう思っておきましょう。


「な、なんて美味しい果実なの!?」


「「きゅー!?」」


「やめられない止まらない!」


「「きゅきゅー!」」


うん、まあ、花園で出来た果実の美味しさで肉を食べたい欲求も消え失せたようですから大丈夫ですね。


食べ過ぎには注意してねー、お腹が冷えて痛くなっちゃいますよ。


なお、この後数組の鳥系魔獣とお話しをして、お仲間が更に増えましたとさ。


「むぅ、我の餌が」


「赤眼様も主食を果実にされてはどうですか?」


「いや、果実はおやつ、酒のアテだ。やはり主食は肉に限る」


「まあ、パトロールの序でに狩れば良いだけですものね、赤眼様の場合」


「うむ」




そういえば幻惑の森から出れないについて赤眼様に確認したところ、普通に出れるそうです。


「あれは女王が掛けた魔法だ。魔獣にしか効果が無い、な」


「妖精女王は何故その様な魔法を? そもそも魔法でそのような事が可能、あ、フェロモンですか」


「そう、フェロモンだ。主殿の結界壁に魔獣が近寄りたくないと強く思うフェロモンを混ぜたのだ。厳密に言えばこの幻惑の森の結界は主殿と女王の儀式魔法だ」


「なるほど。え? もしかして妖精女王はそれほどの存在って事ですか? 主様とそのような事が出来るぐらいに」


「うむ。女王はこの森、特に妖精たちからは神と同等の存在だったのだ。当時でも足元にも及ばず、今の我でも実力の半分も出させぬやもしれぬ」


おおう、それほど凄い人だったのか、妖精女王。


そんな妖精女王を口説いて連れ去った勇者ってばマジ勇者ですね。


「それで魔獣を封じる理由だったな。聞いた話では最初は保護だったそうだ、魔獣をな」


「ほ、保護? 狂暴で強力な魔獣をですか?」


「うむ。遥か昔、それこそ我がまだ生まれる前の事らしいが魔獣たちは被害者だったらしいのだ。そして人から否応が無しに狩られる存在ともな」


「ひ、被害者ですか」


「理由は聞かせて貰えなかったがな。何でも神から禁止されているとか。そして不憫に思った女王が当時まだエルダートレントだった主殿と協力してこの森を作った、と聞いておる」


うーん、これって神話の類な話だったりしませんかね?


ラノベとか、もうちょっと文学よりなハイファンタジーなどでよくある設定にありがちな話ですし。


元々動物だった魔獣たちは、邪神だか魔王の魔力や瘴気を浴びて狂暴化、そしてそれが性質変化して現状の魔獣になってしまった、とか。


もし、ファンタジア世界でも同じような事が起きて妖精女王が保護活動をした結果、とかだったら今回の狂暴化も関係あるのかな?


例えば何百年周期で狂暴化したり、魔王が号令をかけると、とか。


あ、でもそれだったら赤眼様や鳥系魔獣たちも狂暴化してるか。


うーん、異変のヒントになるかと思って詳しく聞きましたが、関係なさそうですね。


「その様な逸話があったのですね。でも、保護されるぐらい弱かったのですよね、魔獣は?」


「聞いた話ではな。ただ、この森という広くはあるが狭い地域だけで生きるのだ。生存競争の結果、強い個体、強い種族が生まれては消えるのは当然であるな。そして強くなりすぎて外に出せなくなった、という事らしいぞ」


「あ、納得です。赤眼様の種族もそうして生き延び、強くなったのですね」


「ああ、我か。ワイルドベアという種族名が付けられているほどの狂暴性を秘めた魔獣ゆえに滅んでおるよ、我以外」


「え?」


「この森以外には生きて居よう。ただ、この森のワイルドベアは我だけだ。王なのに1匹とは滑稽だがな」


赤眼様は苦笑、熊なのにそうと解る表情をして遠くを見つめました。


何だかその姿がきゅんとして、私は悲しくなりました。


「だが今は仲間が増えた。小さきものたちではあるがな」


「あ、赤眼様・・・」


思わず赤眼様の頬にぎゅっと抱き着いて、頬を擦りつけました。


寂しそうな赤眼様にそうしたくなった、いえ、自分にも言える状態ですから慰めて欲しくなって甘えたくなったんですね、私。


ボッチ同士な私たちですから分かり合えると思いますよ、種族は違いますけどね。


「それに」


と、何かを持ち上げた赤眼様はぐびっと喉を潤した。


「ぷはぁ! 酒がある! これに勝るものなし!」


「結局酒ですきゅぃー!?」


わ、私の心を返せ、このクマアアア!


もう、もう、もう!








その日、間近でアルコール臭を嗅いだので私は初めて酔い、寝てしまいました。


そして次の日は二日酔いで頭が痛かったです。


ま、魔法がある世界でよかったですよ、本当に。

お読みくださってありがとうございました。


次回は・・・って、更新予定が決まっている時のみ書くことにしますね!

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