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3-1

早く帰って来れたので、投稿しちゃいました。


本日の投稿は1話のみです。

さあ、今日から冒険の始まりだ!


などと張り切ってみたものの、自動化されたとはいえ投げっぱなしは良くないですよね。


ちゃんと動き続けるのか、不具合は出ないのか、雨が降るとどうなるのか、強風時はどうなるのかなど検証の必要があります。


なので2週間ほど様子見の為に探索活動をせずに過ごしました。


その間に判明した事と改善点が結構出てきままして、その処理で更に時間が。


まず判明したのが花園の植物が育ちすぎる事、ベリーの収穫が間に合わない事、樽の強度が足りない事、蜂や小動物が集ってきて巣作りを始めた事、その小動物が有線に引っかかって危ない事です。


育ち過ぎた植物たちは泣く泣く間引き処理し、育つ原因である水散布と照明の頻度を下げる為に太陽光魔力装置の数を減らしました。


そうそう、この魔力製造装置ですが、何故か主様の枝と一体化したかのような進化を遂げておりまして、まるで果実の1つであるかの様になってました。


ま、まあ主様の実を参考にしましたからね、形とか配置の仕方を。


休眠期中の主様が誤認したとかそんな感じなのでしょう。


その事もありましたので、有線を蔓のような形状に変化させてみた所、数日で主様の一部の様に進化しておりました。


枝や幹に絡ませるように這わせましたから、小動物たちも引っ掛かることがなくなり、断線不良の心配はなくなりました。


ただ蔓と勘違いして噛まれたらまずいので、美味しくない噛みたくないと思わせるフェロモンを混ぜて対策もしておきましたので、もう大丈夫でしょう。


そして収穫量と強度、要は赤眼様関係の問題ですね。


「もうちょっと如何にかならんか?」


「・・・自重という言葉はご存知ですか?」


酒を飲みたい物足りないと訴える赤眼様に対して私は白い眼でそう言いました。


だって出来れば出来ただけ飲むし、酔っぱらって力の加減が出来ない腕力で樽を壊すしで問題は赤眼様なんですもん。


その事が解っているのでしょうね、私のジト目に目を逸らしましたし。


強度に関しては樽というのを意識して木目調で木程度の強度にしてましたから最高強度の妖精鉱で作り直せば良いからすぐでした。


いや、まあ大きいからMPの消費が半端ないので時間は掛りましたけどね。


ただベリーの収穫量の方はどうしようもない、というかこれ以上ベリー系の植物の地域を増やすと花園の景観に良くないんです、大きいですから実が。


それにこの巨大ベリーたちは強いですから通常種たちが育たなくなりますからね、植生を保つためにもこれ以上増やせないのです。


「それにですね、赤眼様。このところパトロールの頻度が下がってませんか?」


「うっ」


「主様の番人を務める任を妖精女王から引き継いだのは赤眼様なのですよね?」


「ううっ」


「もし今妖精女王が戻られて赤眼様のお姿を見たら何とおっしゃることか。お解りになりますよね?」


「じ、自重させて頂く」


前世のお父さんもそうでしたが、赤眼様のように責任感がある責任ある立場に立つ人には正論と期待を裏切る自分のかっこ悪さを伝えたら一発だったりします。


小遣いが少ない晩酌の質を上げて欲しいと訴えるお父さんを、私を一人で育てると祖父の墓前に誓っていると知っていた私が良く使った手です。


オタク趣味を如何にかしていたら、という声は聞こえません、きゅぃー。


まあベリー系だけじゃなく、蜂が集ってきてますからハチミツなども取れるでしょうし、ハチミツの醗酵酒ミードも作ってくださいね、赤眼様。


蜂たちにはハチミツを譲ってくれるよう交渉してありますから時間は掛りますが手に入りやすいですよ。


あ、交渉と言いましたが、蜂が言語を操るなんてファンタジーはファンタジア世界にもないですから、養蜂家が巣を用意するような感じです。


私が蜂たちが巣を作りやすい場所を提供し、ハチミツが流れて樽に溜まりやすいようにしただけです、ハニカム構造とか頑張りましたよ!


あと序に交渉なのですが、集まってきた小動物、リスやウサギなどの齧歯類たちは動物ならではの言語形態が存在していたので会話可能でした。


小動物と会話する乙女。


これぞ夢に見た妖精さん生活です、きゅぃー!


交渉内容といいますか、小動物にとって主様の樹自体が魔獣ひしめくこの森での唯一の安全地帯で、ただ餌が得られないから棲家にしていなかったようです。


主様の実は大きいですし、高所にあり過ぎて危険ですからね、食べるの。


なので花園が出来た事で安心して餌になりえる果実が手に入る事が徐々に広まり、こうして集まってきたという次第です。


あ、この事もあって赤眼様のお酒用ベリーが足りなくなったという経緯があったりします、飲み過ぎってだけじゃなく。


なので小動物たちには決して赤眼様専用のベリーには手を出さないように言いくるめ、また育ち過ぎた植物を優先的に食べるように依頼しました。


依頼の報酬は安全です。


何せここには最強の番人である赤眼様が滞在していますからね、その近くで棲めて餌が豊富だと労働だって気にならないでしょう。


こうして最終的には3週間ほど掛りっきりだった主様の周辺の変化は落ち着いたのでした。


そしてこれが別問題発生の原因になったのですが。




「最近森の生態が変わった、ですか?」


「うむ。魔獣たちが争う事が増え始めたのだ」


「狂暴化したのでしょうか?」


「狂暴性は魔獣ゆえに元々持っておる。それに我がこの森で生まれてから初めてだな、ここまでの騒乱は」


「はぁ」


200年以上生きている赤眼様でも初めてとかどういう事でしょう?


「いや、一度だけこれに近い事は起きた。あれは羽妖精たちがこの森を去った後だな」


「赤眼様が番人を引き継いだ直後ですか」


「うむ。まあ、騒乱というよりも魔獣たちが歓喜していたな」


よく分らないですね。


うーん、この森に何か起きている、のは確実なのでしょうね。


これが100年周期で起きる出来事って事なら別なのですが、はて。


「その時はどのように落ち着いたのですか?」


「しばらく経って落ち着いた。ただ、一時的に魔獣の数が増え、魔獣同士の争いが一時期あった後、魔獣の数も元通りになったあたりで、だな」


増々分らなくなりますね、この情報。


そもそも赤眼様は魔獣で熊な訳でして、高い知能があるとはいえ獣の思考なのは変わりないのです。


かなり紳士で優しいのですが、そこはまあ、ほら、本能には勝てない訳でして、お酒とか、お酒とか、お酒とか。


「あの時は番人に成りたてで我も余裕が無かった。だから原因の追究はしておらぬのだ」


「まあ、そうですよね。うーん、それで私にお話ししたのは何故でしょう?」


「いや、サクラは生まれたてなのにすでに思考が熟成しておる。ゆえに何か良い知恵を得られるかと思ってな」


き、期待されたからってお酒の量は増やさないんだからね!


ごほん、思わずツンデレ風味を出してしまいました、すみません。


しかし知恵ですか。


正直赤眼様の情報だけでは何とも言えないのですよね。


何故生態系が変わったのか、という根本が現地を見て確認しないと何とも言えないです。


「そうですね、今のところは何とも。ですので私も森の様子を見てこようと思います」


「む、だが危険だぞ? 実力はそれなりにあるとは思ってはいるのだが、今の森は危険だ、何時も以上に」


「そこは安全第一でやりますので」


「そうか。では頼めるか?」


「はい、お任せあれ、です!」


こうして私への次のクエストは幻惑の森の騒乱原因を解明せよ、となりました。




今度こそ冒険の、とは行きません。


だって一度も行った事の無い場所なのですから下調べは十分に行いたいじゃないですか。


そして私が知っている情報は赤眼様からだけ、とか冒険を嘗めてるのか、と怒られても仕方がない状態です。


なので情報収集パートの開始です。


「こんにちはー」


「あ、どうも妖精さん」


私が話し掛けたのは現在同じアパート、げふん、主様に棲んでいるリスさんです。


普通に会話してるように見えますが、音はきゅいとかだったりしますので、悶えそうになるのを堪えるのが大変です。


なお、ウサギさんも同じような鳴き声で、機嫌が悪いとぐぅぐぅと鳴くのでとっても身悶えきゅぃー!」


「うおっ!? ど、どうしたのですか妖精さん!」


「あ、すみません、噛みました」


「はぁ」


「それはさておき、暮らしの方はどうですか? 何か問題とかあります?」


「いえいえ。餌も豊富ですし、赤眼様に守って頂いていますから問題なんて。聞いたところでは妖精さんが花園を作られたとか?」


「大した事ありませんよ。それに妖精の仕事といえば花畑作りと相場が決まっていますから」


「羽妖精の仕事ではないと思うのですが作るのは」


「それはそれ、これはこれですよ。あ、ところで少しばかり聞きたい事がありまして」


などと世間話から入って質問タイムです。


私が聞きたかったのは小動物の立場から見た幻惑の森の環境です。


赤眼様はこの森の上位者、と言いますか実質的な最強存在です。


その様な方から見た森の様子と最弱存在である小動物から見た様子では大きく違うと思うのです。


何せ赤眼様を脅かす存在なんていませんからね、この森に。


「そうですね、正直生きる事だけで精一杯でした」


リスさん曰く、恵みは多いが外敵しかいないような環境が小動物に優しい訳がない、との事。


恵みが豊富なのは妖精樹の上位種である主様の魔力に包まれていますから、植物も育ちやすく、木の実や果実は年中実るという小動物にはある意味理想郷な森です。


更に幻惑の結界に覆われているのですから恵みを求めて入植してくる人がいない、というのも高ポイントだそうです。


ただし、この森には強力狂暴な魔獣が闊歩してますので見つかったらまず助からない、という状況です。


リスたちの立場からすれば特に蛇系が恐ろしい相手のようで、木の実を求めて樹に登れば蛇が待ち構えていてパクリ。


次に恐ろしいのは猿系で、見つかった事に気付いて逃げ出せば罠に嵌められパクリ。


普段は穴倉に籠ってじっとしており、空腹に耐えれなくなったら命懸けで食料を求めて旅立つ、という生活だったようです。


「ですからここの暮らしはとても感謝していますよ。なあ、みんな」


「「「「「きゅい!」」」」」


何時の間にか集まっていたリスたちの唱和を頂きました。


この後リスたちにもみくちゃにされて、衣服が乱れるは甘噛みで唾液塗れになりましたので身嗜みを整えるのに時間が掛りました。


痣とか残らないですよね?


「と、ところで誰からここを教えてもらったのですか?」


「妖精さんです」


「え?」


「ああ、サクラさんではなく別の妖精さんですよ」


「きゅ、きゅぃー! その辺りを詳しく!」


「え、ええ。樹妖精さんからこの場所に、古の花畑が復活していると聞きまして。道案内と護衛までして頂けました」


「おおお! その樹妖精さんは今どちらに?」


何と、この森にはまだ妖精さんが棲んでいるようですよ!


羽妖精ではなく樹妖精、別種ではありますが。


「他にも居る同朋に知らせると旅立たれましたので今はどこにいらっしゃるか」


ぬぅ、残念です。


しかしどうやってこの花園の事を知ったのでしょうか?


その事は特に聞かなかったそうなので知らないそうです。


そしてリスたちがやって来た以降ここにやって来たのはウサギたちですね、彼らに聞いてみる事にしましょう。




と、いう事でしてウサギさんの居住区にやってまいりました。


彼らは好き勝手に寛いでおりまして、凄くのんびり屋さんです。


リスさんたちは常に動き回って楽しそうに、今までじっとしていた鬱憤を晴らしていたのですが、彼らウサギさんたちは解放された事でのんびり過ごす事を選択したようです。


同じ齧歯類なのに全然違いますね。


「こんにちはー。今日も良い天気ですね」


「やぁやぁ、妖精さん。今日も良い天気ですね、って、鬱蒼としてて陽光があまり入って来ませんってば」


うん、ウサギさんたちはのんびりぐったりしてますが、ノリはとても良い動物たちです。


こうやって漫才などにも付き合ってくれます。


関西テイストなのでしょうか、彼らは。


「もしかしてちゃんと仕事をしているか確認ですか? ちゃんとしてますよ、こんな感じで」


彼らはだらんとしながら転がってます。


そして草花たちがぽっきりと折れてます。


そして折れた草花をむしゃむしゃと。


「きゅいきゅい、うん、美味しい仕事を回して頂いて感謝してます、ええ、本当に美味しい」


「何か違いますよ!」


突っ込み待ちだったのか、私の声を聴いてにやりと笑みを浮かべました、ウサギさんなのに!


「違いますよ、本当に。仕事は、まあ、そのおいおいで。それよりも聞きたい事がありましてね」


この後の質疑応答もボケを挟みつつ行われたのですが、リスさんたちとほぼ同じような回答でした。


ただ、彼らが一番警戒していたのは狼系の魔獣だったようです。


「あいつらはあっしらの棲家にまで土足で踏み込んでくるんですよね。あっしらも土足ですけど」


「靴を履いた狼やウサギって想像できません」


「土足厳禁にしたらあっしらも家に帰れずに奥さんにひもじい思いを、まあ、浮気がバレただけなんですがね」


「流石年中発情期!」


「で、狼たちは臭いをたどって穴倉を探し当てますからね、臭い消しは重要だった訳ですよ。まあ、ハーブでやってましたが」


まあ、こんな感じでノリというかボケを挟まないと死んじゃうんだよ?とばかりに乗せてきます。


寂しいじゃないんだ、とちょっと思いました。


そして樹妖精の足取りを確認しましたら、やっぱり他も探すと旅立って帰って来なかったそうです。


「ただ、小さい方たちは戻って来まして、いつの間にか居なくなりましたね」


「え? 小さいという事は上位種がいたと?」


「ええ」


ふむ、上位種が率いた樹妖精たちが避難誘導ぽい事をしていたと。


そして通常種は戻ってきたが消えた。


な、謎が深まりました。


うーん、この森で一体何が起きているんでしょうね、本当に。


「あ、何故ここが復活したと知っていたのですか、樹妖精さんは?」


「さあ? 言われてみれば不思議な話ですよね。あっしらはその時そんな事気にもなりませんでしたが。サクラさんが教えた訳じゃないんでしょう?」


「そうですね。私は他の妖精さんに出会った事がありませんので」


「「「「「「「ほーう」」」」」」」


何だかウサギさんの眼が面白いものを見つけた、と言いたげな瞳に変わりました、しかも複数。


「い、何時の間に集まったのですきゅぃー!?」


「ボッチだな」


「ああ、ボッチだ」


「ボッチな妖精さん」


「ボッチ妖精さん」


「「「「「「「ボッチさん?」」」」」」」


「うわーーーーーーん!?」









その日私は冒険に出かけられませんでした。


ウサギさんたちに心を折られたからです。


ボ、ボッチ言うなきゅぃー!

お読みくださってありがとうございました。


全く関係ないネタに浮気していたのであまり進まず今日は1話のみでした。


次回の投稿もいつも通り未定です。

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