恐怖の四番打者
「ヤバい奴が歩いてきた!」
闊歩してのろのろと、やってくる。
「おどれ、球ぁ速いっちゅう話やったのう」
「えぇ、まぁ。」
「俺に打たせろや」
「わかりました」
彼は、素直にそれを聞き入れて、主将を座らせた。
「このコースに全力で直球投げてみぃ。全力でかち割っちゃる。」
腕っ節に自信のある、ヤンキー二人組。
相見えるは、野球部主将とエース。
仕方なくバッテリーは、コースを間違えないよう、慎重に、丁寧に。
八割程の力で、放ってみせた。
「ガキイィーーイィィン!」
ネットオーバーにある溜池に「ポチャン」と白球は、勢い良く潜り込んだ。
「てめえ!」
「それで真剣に放ったのかよ!」
「ギャハハ!」と笑い声が周りの空気を変容させるかのよう。
俺達は、後の四番、五番打者との対峙とは、このような出会いからであった。