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虚空の光、残されたモノ (3)

急いで、走って、たどり着いた格納庫は。


「……なにもない」


争いの痕、破壊の限り。隣の倉庫も同じでした。


「そんな」


ここまで来て、何もないのでしょうか。私は、二人は。


瓦礫を必死で掻き分けて、私は探しました。

ここまで来て、ここまで来て。


「……っ」


動かす手に、水滴が落ちました。上を見ても雨漏りはしていません。


「泣く機能、あったんですね」


水滴は私の目から零れ落ちていました。誰でしょうか、こんな機能を付けたのは。余計悲しくなるじゃないですか。

口角もなんだか力が入ってきて、鼻にもなにか水分を感じます。


「……馬鹿みたい、人間じゃないんだから」


こんな顔、二人に見せられません。いっそここで死んでしまおうか。

そもそも何のために旅をしているのか。


「?」


その時私が見つけた、というか気が付いたのは――。





「くそっ、アリス! 上に誘導できるか? 銃を奪いたい」

「できたらやってるよー。やっぱり機関銃は抑えが効くねー」

「感心している場合か!」


二人の声が聞こえます。エンジンの音が唸ります。

目標まで、あと三、二、一……エンゲージ。


「おらあああああああああああ!」


機関砲が火を噴き、南方製アンドロイドたちを吹き飛ばします。


「あれは!?」

「機関砲はもっと強いねー」


天井を突き破って舞い降りた、鋼鉄の巨人。そして私。

かっこいい!


「お二人とも、無事ですか?」

「あ、ああ。助かった」

「れっちゃん、すごい古いやつ持ってきたね」


私が見つけた物。それは私たちのご先祖様とも言える方でした。


「これは、えらい骨董品だな」


最後の大戦よりもっと前の、ZM兵器が発明される前の、私たちのご先祖様。

私の記憶が正しければ、この人の名前はHA-101といい、愛称をアールチェルといいます。

全長十メートル弱の人が操縦する人型起動兵器です。


「機関砲と言っても、実弾ですから。今のうちに逃げますよ。二人で車に乗ってください。これ空飛べますから」

「わかった。アリス、急げ!」

「すたこらさっさー」


さっきの吹き飛んだ奴らが起き始めたので、また機関砲を撃って抑え込みます。コックピットのディスプレイに二人が車に乗って走り出すのを確認して、ゆっくり後退します。


「空を飛ぶのはなかなかいいものですね」


腰についているプラズマジェットエンジンで自立飛行ができます。こんな古いエンジンがよく動いたものです。

空から二人を追いかけて飛行しました。





車の真上に来たところで、コックピットに通信が入りました。


「れっちゃん、聞こえるー?」

「繋がるんですか、これ」

「こちらが合わせて無理やり繋げた。ありがとう、助かったよ」

「何言ってるんです。頼んだ、と言ったのはサンドリヨンさんですよ?」

「ふっ、そうだったな」

「格納庫が埃だらけだったんですよ」

「そうか、大変だったな。本当にありがとう」


無理やり通信を繋げているからでしょうか。画質も音質も良くありません。





……ばれてないよね?

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