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11.借金返済の道のりは長く

「相変わらずお前はクズだな」


 俺がミリアの元へやってくるとミリアはまるで汚物でも見るかのような目でこっちを見てくる。


「何のことだ?」


 険しい表情のミリアに対して俺はわざとらしいぐらい大げさに肩をすくめる。


「とぼけるな。変異種を街へと続く街道に連れ出して私が打って出なければならない状況にしただろう。あのまま行けば少なからず街へ被害が及ぶからな。違うか?」


「おいおい、こっちはがむしゃらに逃げていたんだぞ。そんな状況でそこまで計算している余裕があるわけないだろ。俺はお前らと違って一般人なんだから。あんまり俺を買い被るなよ」


「その言葉を信じろと?」


 疑わしそうにこちらを見るミリア。信用ないな俺。


「信じる信じないはお前の勝手だ。だけど少なくとも俺はお前を信じていたぞ」


「なにっ? お前が私を信じるだと? それは何の冗談だ?」


 ミリアは嫌悪感を丸出しで俺を睨みつけてくる。だから何で俺はこんなにも信用がないんだろう。


「冗談じゃねーよ。お前は変異種が森を出たら戦うつったろ? 俺はその言葉を信じて森を抜けて来たんだよ。お前の言うとおり俺は平気で嘘をつくがお前は嘘をつけないほどの真面目だからな。一度言ったことは必ず守る人間だ。その証拠にお前は魔王の娘がいるのに森から出てきた途端にウガルムを倒しただろう」


「違う。私は……そんな人間ではない。その証拠に私は……お前が大嫌いだ」


 何か思うところがあったのか悩ましげな表情を浮かべるミリアだが言っている意味がわからない。何でそこで俺が嫌いということに繋がるんだよ。


「はぁ? 意味わかんねーよ。どんだけお前は俺のことを嫌ってるんだよ。それよりもさっさと帰るぞ」


 これ以上話しても無駄だし街に帰って一休みしたい。まあ休めるかはわからないけど。


「帰るだと? だがまだ仕事は終わっていないだろ」


「何言ってんだ? 俺らの仕事はこの森に魔物が出た原因を調べることとその排除だろうが。原因は変異種のウガルムで排除したからこれ以上働く必要ないだろ。残業代もでないし」


「それはつまりこの森にいる魔族を見逃すということか?」


「当たり前だ。誰が好き好んで必要のない残業しなきゃならないんだよ。魔族を倒したところでボーナスが出るわけじゃないし、特に害があるわけでもないし」


 ノエルの話だとここにいる魔族は力のない迫害されたやつらばかりだしな。そんなやつらが何か起こしてもたかがしれている。それに、迫害したんだから報復されても文句は言えないだろ。俺はそんな連中の面倒を見たくはない。


 と俺は思うのだが魔族に家族を殺されたミリアのやつは納得できないだろう。また俺に食って掛かってくるだろうと思いミリアの顔を見るとミリアはあきれるようにため息を吐く。


「……はぁ。そうまでクズいといっそ清々しいな。おかげで私の気がそがれた。今回だけはお前の言うとおりに従ってやる。帰るぞ」


「お、おう」


 ミリアの心境の変化に戸惑いつつも俺は帰り支度をする。


 まあ支度といっても大した荷物ないからすぐに済んだけれど。せいぜいミリアがウガルムの死骸の一部を剥ぎ取り焼却したことぐらいだろうか。


 ……はて? 何か忘れているような気がする。


 帰り支度を終え馬に乗って帰ろうとして何かを忘れているような錯覚にとらわれた。何を忘れているんだ?


「どうした? 早くいくぞ」


「ん? ああ」


 まあ忘れるぐらいだから大したことじゃないだろう。そう思い馬を走らせようとすると森の中から誰かが走り寄ってきた。


「ちょっと待ってくださいよ! 僕を置いてどこに行くつもりなんですか」


ああ、何か忘れていると思ったらキールの存在を忘れていた。


「何をやってんだキール。さっさと帰るぞ」


「ひどい! クズオさんが僕を囮にしていった後は大変だったんですよ。一人でガルムの相手をしていたら周りは火事が起きているし魔王の娘のメイドだって言い張る人に襲われるしこの地に封印されていた暗黒魔神が復活しかけたりするし世界貧乳計画を企てる秘密結社のアジトがあったり色々大変だったんですからね」


「あー、すごいすごい。お疲れさん」


「雑っ! 労い方が雑すぎですよ」


「だってなぁ」


 いくら出番がなかったからとはいえ話を盛り込みすぎだ。とはいえ注目されようとありもしないことを言うなんて不憫なやつだ。


「えーっと、うんこ魔神だっけ? なんかすごそうだな、臭いが」


「暗黒魔神ですよ!」


「何をゴチャゴチャ言っているのだ。さっさと帰るぞ」


 騒ぎ出すキールにミリアが不機嫌そうに言う。


「聞いてくださいよミリアさん。実はさっきーー」


「貧乳」


「えっ?」


「貧乳で悪かったな」


 ミリアは凍てつくような視線をキールに向ける。

さっきの汚物を見るような目が可愛らしく思えるほど恐い。やっぱり気にしてたのか。


「だからそれは誤解なんですって!」


 必死に弁明しようとするキールだったがミリアは取り合わない。それどころかキールを無視して帰り出す。


 キールはキールで慌ててミリアの後を追いかけていく。


「はぁ。あいつらは元気だな。こっちは借金を返すアテが外れて落ち込んでるってのに」


 愚痴をこぼしつつ俺も二人を追って馬を駆けさせる。


 早く借金返してーな。








これにて一時完結です。

またアイデア出てきたら更新するかもしれません。


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