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小さな世界
小さな世界
少数派の好きなもの
誰にでも理解してもらえる
わけではないけれど
誰も知らない
わけではないけれど
限られた人の中で
限られた情報の中で
広がっている小さな世界
こっそりひっそり
自分だけが知っている喜びと
誰も知らない優越感と
ぽつりでは寂しいと感じて
誰かいないかと仲間を求める
辞書からみた一文字
人からみたアリの目玉
大木からみた新芽
クジラからみたジャコ
ダイヤからみた河原の石
宇宙からみたこの星
それでも
誰かを支えながら
誰かに支えられながら
まだそこにある
消えてなくなるかもしれない
小さな世界
小さな世界だからと
つまらぬ気まぐれで
ふっと風を送り込んだら
呑まれてしまうのは
大きな世界かもしれないというのに