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「~国の部屋」
「~国の部屋」
どこかの国の部屋
こっそり聞いてみる
こっそり覗いてみる
その答えが自分にはわからなくても
人の苦みは自分にとって甘味かもしれない
だけど それは
それが苦みだとわかっているから
その苦みが自分にふりかかったとき
自分に関係ない苦みは排除する
甘味など感じている余裕などないから
誰かが調合したマニュアルに沿った苦み
かもしれない
部屋の中を見なければ
そこにいるのが本人か調合士か
誰にも分らない
本当は
見てもわからないかもしれない
どんな国籍だろうと
どんな髪の皮膚の目の色をしていようとも
人工物の返事だと断言はできない
見ている苦みが聞こえている苦みが
誰にとって甘味なのか
自分にとって甘味なのか
答えなぞどこにもない中
どれが誰に苦みなのか甘味なのか
どこかの国の部屋
こっそり聞いてみる
こっそり覗いてみる