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「鍵を持つ者」

「鍵を持つ者」


あなたが綺麗と言ったから

ガラスケースの中をのぞいてみた

高価な時計が動いている


あなたが綺麗と言ったから

トンボも飛んでいないような空と

ライトの消えないビルたちをみる


わけのからない車も見るようになった

好きでもない甘いものに詳しくなった

読まなかった新聞も眺めてみる

聞かなかった音楽もちょっと聞いてみる


あなたがいいと言った世界を

少しだけでも共感してみたかった


まったく理解できなかったけれど

一番欲しいものはお互いに違っていた


あなたがいなくなって

あなたがいいと言った世界は

私には無味香のガラクタだ


それでもガラスケースの中にあった

私がいいと思った時が腕に巻かれている

トンボがいる場所も見つけた

車には興味はないけれど目で追うことも増え

たまにポツリ甘いものを食べる


ガラクタの世界が部品になって

あなたがいなくても私の世界は回る

いつも鍵を持っているのは

あなただと思っていたけれど

いつだって私だったのだ


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