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「羽 を聞いて」
「羽 を聞いて」
風の中で受けた針のような傷は
ずっと残り続けるけれど
春に飛ぶ貴方を見て私は微笑むだろう
私の世界は
目に映るもののすべてで
出来ているわけではないけれど
違う場所を見ても
見ても 見ても
飛び立つための羽が生まれない
大丈夫
私は忘れていける
いつかはみんな離れていく
昔にはもう戻れない
だけど未来は今日も見えない
自分でひとつずつ越えていくのか
後ろから見えないものに押されていくのか
腐るほどいる自分の代わりに
今も見ないふりをしている
だからこそ
春に飛ぶ貴方を見て私は微笑むだろう
大丈夫
私は忘れていける
何を見ても どこを見ても
羽が出てこない
私は飛べないのだ
某歌手の歌を聞きまして。久しぶりに、人の歌で詩を書いてみたいと思いました。