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「チケット」
「チケット」
時々手を広げては
なぜこのチケットを使ったのか
なぜ波に乗ったのか
ため息をつく
やらないよりもやったほうがいい
言わないよりも言った方が
行かないよりも
誰もがそう言うけれど
そのあとのため息は聞こえない
聞きたくないのか
聞こえないふりなのか
歓声だけは大きく聞こえるけれど
喜びだけは知られるけれど
悲しい言葉は隠される
乗らなければ
別の幸せが待っていた
乗らなければ
出会う人が変わっていた
乗らなければ
たぶん
乗っても乗らなくても
違う人生
どちらがいいかなんてわからない
だから
時々しか手を広げないけれど
たまに半券を見つめてため息
それでも
また握りしめて歩く