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「あたしが死んだあと」
「あたしが死んだあと」
自分を構成していくものは
自分と
自分の周りにいる人なのだと
自分と 自分のいる場所なのだと
自分と 自分が紡ぎだす言葉とその行方
そんなもので出来ているのだと
そう思っていたけれど
自分がいなくなった時
知らない誰かが言う
「おとなしい感じの子供でした。」
(あなたと仲良くなかったからね)
「何を考えているのか、わからない人でした。」
(話したいことものなかったしね)
「誰とも話さずに、一人でいる人でした。友人、いたのかな?」
(あなたが知らないだけ)
「声かけてもねぇ、ぼそぼそと返事が返ってくるくらいで暗い子だったねぇ。」
(あなたが苦手だっただけ)
ほとんど知らない人が
たくさんのイメージをのせて
好き放題言うのだ
十年たっても二十年たっても言われ続ける
「そんな子、いたねぇ。」