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「おそらく意味のない話」
「おそらく意味のない話」
君が生まれた場所
君の育った場所
君がいた学校
そこに自分はいない
君が聞いていた音楽
聞いていた歌手
君の行った場所
一緒だった友人
君の過去に 自分はいない
隣にいない君の後ろを見つめても
そこに自分はいないのだから
おそらくそれは意味のない話
意味のない話の欠片をちょっと握って
ため息をついて
君のいない前を向く
欠片がこぼれて君が拾ってくれないかな
そんな夢の話
今のところ欠片を離す予定はないけれど
自分を愛しく思ってくれる人が
両手を差し出していたら
きっと自分も両手で相手をつかむだろう
意味のなかった欠片など見向きもせずに