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「いなくなったら」
「いなくなったら」
私がいなくなったら
シュレッダーにかける必要のない大量の書類
個人情報なんて気にせずに
私がいなくなったら
一回で持ち運べないほどのごみ袋の服
上から下まで箪笥以外にも
私がいなくなったら
塵の紙が積もって本になって重くなって
それでもただのゴミの山
私がいなくなったら
音をかき集めて電子化してたくさんの音楽
誰も聴かないプラスチックへ
ゴミ分別が大変そうな大量の写真
ほとんどが機械の中だけれども
使えるものでも
誰が使うの?いつ使うの?本当に使うの?
そしてごみ箱へ
僅かばかりの金属も
出かけた先の土産も
子供のころからのなにもかもが
どこかへいつの間にか消えていく
そして
そしてそこにあるものは
誰かの頭の中にある私
それだけだ