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「無意味な想い」「見ない変化」
~無意味な想い~
恋愛なんかしている暇のない人
それでも髪を整えたのは誰のため
やさしい口調とやさしい声で囁くのは
悲しさより理解できない景色と不満と怒り
好きと言ったところで
ならば役にたてと言われて終わりそうな女は
無力な顔と自分の手を自覚しながら
整えられた髪を見つめてうっとりしている
~見ない変化~
恋をすれば綺麗になると誰かがいう
相手によく思われたいから外見を気にして
細かいところにまで気をつけて
振り向いてほしいと視線を投げる
そんなものをみている暇はないと
仕事を見つめるあの人は
だから独り身なのだと風がひそひそと
先に気がつくのは彼女か
見つめてほしいと願うより
先に見つめて甘い台詞を囁く人が
ちまちまと距離を縮めていく
仕事を見つめるあの人はそれにさえ
気がつかない
いつか気がつくだろうか
仕事はあなたを愛してくれやしないと
今日彼女はまた綺麗になった