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ガラス
ガラス
雨の日のまどろみは
窓ガラスが
夢と現実の境
魚になって夢を見れば
悲しい夢を見る
傘屋の幸せは
レインコートの幸せは
泳ぐ魚に彩られて
ゆらゆらゆら
寂しい夢を見る
目覚めても水の中
クラゲの内側で
屋根のしたでため息をつく
それでも
いつかは晴れる
水の夢はガラスが終わりを告げる
太陽が上がれば夢から覚める
ため息は変わらないけれど
クラゲの内側から見る世界はキラキラ
水以外の音で世界が彩られて
夢から覚めた魚は
とりあえず足を伸ばす