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「本とさようなら」
「本とさようなら」
子供のころにあったはずの絵本は
引越しの度に消えていく
学生の頃にあった教科書は
たまの大掃除の節目にぽつぽつ
大人になってあった本は
いつのまにか本棚から消えて
段ボールの中に消えて
思いついたように
いなくなる
本棚の本は埃をかぶって
いつの間にか色も変わって
やっぱり段ボールに消えていく
さようなら
本よ
現実逃避と
現実直視の間で
さようなら
本よ
夢と未来と
今の自分の間で
さようなら
さようなら
子供のころにあったはずの絵本は
たまに戻ってくる
おかえり
本よ