215/219
「ショー」
「ショー」
スパンコールの衣装
当たるライト
声と言うよりも叫び
向こう側が見えないほどの
ライトに目を細めながら
ギリギリしか見えない
足元を気にしながら
歩いていく
顔もぼんやりしか見えなくても
狂気の声だけは聞こえている
一瞬も見逃さないギラギラした
目玉だけが暗い中浮いている
額に見える汗をふきながら
背中に感じる冷や汗を隠し
歩いていく道しかない
たくさんの手が自分を
支えているのか
逃げられないように背中を
囲っているのか
歩くしかない
壊れるまで
歩くしかない
歌えなくなるまで
歩くしかない
先に見えたものが崖だとしても
重い衣装
背中には掛けられた札束
耳を塞いでも
狂気の声が呼んでいるから