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「結末は誰にもわからない」
「結末は誰にもわからない」
頭のよかった彼女は
よき母親になっている
子供と親たちの面倒を見ながら
足の速かった少年は
ヒーロー時代を過ぎて
丸くなった腹をさする
どっちもないとつぶやいて
転がっていた石を蹴飛ばした僕は
そのまま歩き出す
飛ばされた石がカエルに当たり
カエルから逃げ切った虫は
腹につけた種とともに鳥に食われた
鳥から排出された種はそこで育ち
花を咲かせ虫を呼び
僕に刈られた
花は頭のよかった彼女に渡される
家にずっといてね
足の速かった少年は体を壊して
早くに去った
少女がかつて好きだった
ヒーローの葬式に
僕と一緒に参加する
僕らの未来なんて
僕らのこれからなんて
誰にもわからない
幸福な結末はときどき刈られる