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「新幹線からの風景」
「新幹線からの風景」
新幹線から
小さな窓
流れる景色の速いこと
風に揺らされる新緑
頭垂れた稲作に光る金の海
鳥の目玉と摘まんだ実
夕暮れの明かりの中に浮かぶ山
雪の白の世界と
海の黒の世界と
グレーな嵐の世界と
キラキラしていた
暗い中ばかりの今
窓には自分がうつる
暖かいお茶も溶けないアイスも
消えていった
寝てばかりの中で
夢の中
早く早くの夢の乗り物は
ついに誰かが言った
いらぬと
そのうち窓はなくなり
映像になって
それでも早くは存在するだろうか
窓の向こうに高いビルが見える