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「恩返しもできぬ」「夢を見せて」
「恩返しもできぬ」
ため息がでるほど
愛され
愛されて
逃げたくなるほど
愛され
愛されて
喧嘩をし
怒鳴合いをし
それでも愛されていた
無言でも
返事をしなくても
それでも愛されていた
私は
私はもらった愛を
誰にも還せずに
誰にも繋げられずに
一人生きていくのか
ため息をつくほど
愛され
愛されて
私は
背中にある愛の重さに
押し潰れようと
ギリギリまで生きる
誰にも渡せずに
誰にも譲渡できずに
俯いて
ギリギリまで生きる
恩返しもできずに
それだけの愛も注げずに
俯いて
ギリギリまで生きる
ため息をつこうが
怒鳴ろうが
喚こうが
愛され
愛されて
愛さずに
ギリギリまで生きる
「夢を見せて」
夢を見ましょう
知っていましたか
私の夢はあなたがみせた
春は桜を見に行きましょう
夏は向日葵を見つめて
秋は紅葉を拾いましょう
あなたといっしょに
夢を見ましょう
知っていましたか
私の夢はあなたがみせた
春は花吹雪を見ましょうか
夏は花火を見つめて
冬はあなたとこたつでミカン
さようなら
いとしいあなた
しばらくしたら迎えに来て
また夢をみせて
いつの日にかいつの日にか
あなたの隣を歩く夢を