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「血と地と」
「血と地と」
あなたがこの土地から離れられないのは
血のせいだと思っていた
私がこの土地になじめないのも
血が混ざれば
私もこの土地に居られると思っていた
いつまでもここに
だけどあなたはたやすく飛んで行った
自分の根がこの地にあれば
どこにいても自分でいられる
戻ってこれる
生きていけると
私がこの土地を離れられないのは
地のせいだとあなたは言う
ここに私の根がないから
飛んでいけない
戻っても帰る場所がないからだと
自由に飛んでいけるはずの凧は
根っこを掴まれて不自由だけど
切れない限りまだ戻れる
自由なはずの糸のない鳥は
世代も仲間も変えていつまでも動き続ける
帰る場所などない
ずっと誰かが私の根を掴んでくれればいいと
願ってきたけれど
どこかで自分の根をはるのだと思っていたけれど
今日も私は風に揺られて
この土地を離れる
あなたの傍を離れて