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「君のために」
「君のために」
君のために言うんだよ
本当は自分のために
それでもいいじゃないか
君のために言うんだよ
本当は見栄のために
それでもいいじゃないか
時間とエネルギーを使って
わざわざやってくるなんて
何も言いたくない
黙って落ちて行くのを
眼をそらして視線の片隅で
確認していればいいものを
君のためには
嘘や偽物やまがい物が多いけれど
たまに混ざっている原石を見つけて
磨くことができるかどうか
君のために
今日も誰かがどこかでつぶやく
嘘つきと
それでもいいじゃないか
嘘があるとわかっただけでも
君のために
本当に自分のためになった
そんな人はわずかだろうけれど
たまにいる
だから
今日も
君のために言葉を送ろう