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「君がいない」「いなくなって」
「君がいない」
君がいなくなって
君の影が見えなくなって
見知らぬ人々の雑踏の中にも
君の面影を見つけられない
夢にもみずに
暮らしている
恨み言があるなら
夢でもいい
叫んでくれないだろうか
君がいなくなって
僕はきっと生きていけないだろうと
そう思っていたのに
今日も僕は生きている
腹も減る
文句があるなら
迷惑をかけないように
叫んでくれないだろうか
今日も僕は生きる
「いなくなって」
君がいなくなったら絶望が襲ってくるのだと
自分が生きていることに耐えられないだろうと
そう信じて疑わずにいた
君が実際にいなくなって
朝日と夕日の違いがわからなくなったとき
誰かが私を支えるように自分を支えていた
君がいなくなった悲しみは
自分ひとりだけのものではないのだと
あとになってからゆっくり思う