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「雨の日と蔓」
「雨の日と蔓」
誰かが言っていた
一人で雨の日に
蔓の大量にある道を歩いてはいけない
彼らが食べてしまうから
誰にも気がつかれずに
気が付いた時にもしも音をたてても
誰もみていないときにこっそり
土の中に埋めてしまって
やつらの栄養になる
たまに美味しくなかった
傘の骨組みが残っているだろう
たまに誰のかわからない片方の靴
なぜこんなものな落し物
誰が乗っていたのか自転車と欠片は残る
深い世界に蔓は延びているんだ
もちろん時期と相手によっては
刈られてしまうこともある
だけどまた奴らはのびる
しゅるんと
音をたてないように
気が付かれないように
雨の日を選んで
誰も見ていない時を感じて
時間は関係ない
歩く速さも関係ない
彼らのほうが早いから
一人で雨の日に
蔓の大量にある道を歩いてはいけない
奴らに地中に引き込まれるから