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「駅と音楽」
「駅と音楽」
塞がれる両方の耳の中に
大きな音で流れる世界は
そこにぽつんと立つ自分と
少しの現実と音楽
気をつけて
アナウンスもぼんやりしか聞こえない
遅延理由も知らないまま
音の世界にどっぷり幸せ
見つめなければならないはずの目玉は
携帯の画面をみているのか
しっかりと閉じられているか
塞がれる耳の中に
見ない現実と聞かない声
危ないと誰かが叫ぶ声も
誰かの悲鳴も
好きな音楽にかき消される
傍を風が吹いた時
幸せな気持ちのままで
あなたの命が消えれば良いけれど
傍で大きな警笛が鳴った時
気がつかないままで
恐怖に気が付かずにいられるだろうか
大好きな音楽の世界の中で
今日も電車の遅延理由を知らないまま
揺られていく
明日もきっとそうだろう
あなた自身が世界を聞こうとするまで