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「歳を重ねて ~壁~」
「歳を重ねて ~壁~」
昔は真面目なあの子は
アタシとは合わないと
世界も服も
趣味も言葉さえ違うと思ってた
穏やかに
それでも真っ直ぐ歩く人
ふらふらしてるアタシ
壁があるのだと信じていた学生時代
今でもあの子は
変わらずに真面目だった
それでも
真っ直ぐ歩いていたはずの道は歪んでいる
本人も気が付いている
だけど
変わらずに穏やかで
壁なんか見えずに
曲がった道のなかで真っ直ぐ歩いている
たまにアタシと一緒にフラフラしながら
歩いている
やっぱり世界も服も趣味も言葉さえ
合わないけれど
なぜか好きなあの子は
アタシと歩いている
壁はいつ消えたの
ああ
壁を作っていたのはアタシ
壁があると思っていたのはアタシだけ
好きなあの子は
まじめにアタシと一緒に歩いている