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「電車 ～春～」
「電車 ～春～」
大人なのにマンガを読んでと言われ
若いのに意識高い本だなと笑われ
揺れる電車の中でパソコンを打つ
競馬新聞にしるしをつけて
大音量のロックの音楽に顔をしかめ
電車の中のいびきに目を丸くする
携帯を見つめる先には
ゲームか音楽かニュースか
老人よりも子供が座る座席で
隣の女性の顔が濃くなっていく
泣く子供と鳴かないペットとが
今日もどこかで揺られている
誰かがどこかで電車の前に飛び出て
誰かが路線を走って逃げ
電車は疲れて不調をきたす
一本の遅延で大量の謝罪と怒涛と
走る人の足
時代が変わっても乗る電車が変わっても
車両が変わっても新しい人が乗っても
その時代がゆっくり揺れていくだけ
時間の変化に一喜一憂して
自分にとってのいい場所と時間を探して
自分のいい様にバランスをとって
今日も揺れていく
電車に酔ったのかたくさんの人になのか
酒になのか体調を崩さなくなった頃
春の電車は終わる
