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「電車と運命の人」
「電車と運命の人」
同じ天気に同じ風景が広がっている
高い空といつの間にか消えては建つ空間
同じ駅を使う運命の人
電車の乗る時間が5分ずれて永遠に会わない
同じ電車に乗る運命の人
車両が一つ違って永遠に会わない
同じ車両に乗る運命の人
寝るか携帯見つめて気がつかない
同じ駅で降りる運命の人
改札口が違って会わない
同じエスカレーターを使う運命の人
歩くか止まるかですれ違う
同じ方向に歩く運命の人
毎日変える歩く道で記憶に残らない
そうしているうちに
運命の人は電車から離れていく
さようなら
同じ方向へ歩く運命の人
さようなら
会っていたことさえも知らぬまま
さようなら
別の運命の人と出会うまで
私は私で揺られていく
運命の人なあなたもどこかで揺られるでしょう
電車が今日も定時間で動いている