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「手を伸ばし 1・2」
「手を伸ばし」
ぞくりと寒気のするほどのパワーを
放出している人に手を差し伸べるのは
自分も同じ風景が見たいからなのかもしれない
絵であろうと
文字であろうと
音楽だろうと
自分にないものがそこにあって
手を差し伸べても手に入らないから
せめて寄り添うことを願うのだろう
「手を伸ばし 2」
ぞくっと寒気がするほどの衝撃を
あの人は何を考えているのか
わからないほどの顔で与えた
誰もが羨望のまなざしで
誰もが手を差し伸べるけれど
あの人は
自分にはなかった他の人の
じんわりとした浸透に
羨望のまなざしを向けていた