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「正常と異常の深淵」
「正常と異常の深淵」
暗くなる空
濃くなっていく雲と
遠くから見える黒の中の明かり
白い泡を立てて
押し寄せる波と強くなる風
窓に打ち付ける音の大きさを聞いている
わかってる
もうすぐ出荷できる食べ物
一瞬で長年かけた最高傑作が消える
わかってる
歴史の詰まった家の物
一瞬でダメになってしまう
わかってる
空からも何か降ってきて
一瞬で命さえも奪う
気をつけてね
出かけないで
避難は早めに
命だけを考えて
身を守って
わかってる わかってる わかってる
それでも
誰かが亡くなってしまう
わかってる それでも
空が海が森が荒れていくのを見て
私は笑う
いつか自分も飲み込まれるだろうか




