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「木の下で」
「木の下で」
あの人は木の下で待っている
アイディアだったり閃きだったり
なにかが湧くのを
なにかが降ってくるのを待っている
ワタシにできることは
枯れかけている木に
水をやって肥料をあげて
待つあの人に服を餌を与えて
木じゃなくてワタシを見てと呟く
ゆっくり木から離して
ああけれど鳥が止まった
枝を揺らしてなにかを落とす
気が付かないで
鳥を見ないで
木から一緒に離れてほしい
一緒に横を歩いてほしい
ああけれど
ワタシは代わりはいくらでもいる
ワタシがあなたを幸せにしたい
ワタシがあなたと幸せになりたい
ああけれど
ワタシはあなたの鳥にはなれない
見るなと掴むのか
鳥がいると後ろを向かせるのか
鳥がいることに気が付かないのか
知っていてワタシを見てくれるのか
ワタシは知っている
ワタシの代わりはいくらでもいることを