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切れているかもしれない糸

「切れているかもしれない糸」


君が転んだ

君が何かにぶつかった

君が流血した

君が風邪を引いた

君が入院した

君ががっかりした


それらを知らぬまま

時間を過ごしていくことは

なにも知らないこと

なにも感じないこと

黙っている必要も

耳をふさぐことも

目を覆うこともなく

ココロが傷むこともない


息をのむこともなく

誰かから知らされることもなく

君の命が切れたとしても


なにも知らぬまま

なにも感じぬまま

こちらは生きていく

風の便りにものらずに


知らせぬことが

こちらの幸せと勝手に決めて

こちらも知らせぬことが

君の幸せだと言い聞かせて


とっくに切れているかもしれない

先の見えぬ糸を握りながら

たまにゆっくり揺らすだけ

揺らぎさえも届かないと知りながら


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