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『想像監獄』ー想像が現実になるのに、同じ絶望を繰り返しているー

作者: 宵月希昇
掲載日:2026/04/22

昔の自分の感情を元にした短編です。

自分の人生が嫌だった。


極度の人見知りで、話しかけられても喋り返すことは出来ず、色々な事に挑戦し練習してみるも上手くなることは無い。


そんな自分を見て、死にたいと毎日のように思っていた。


「死にたいけど、痛いのとか苦しいの嫌だしな......」


死にたい。でも死ぬのが怖い。だけど自分の人生の時間に時を刻みたくない。


いつしか「地球に隕石落ちてみんな一緒に死ねばいいのに」なんて思っていた。

死ぬなら、1人よりも人類全員で死んだら何も無くなって悩みも無くなる。


そして、その日もいつもの様に「隕石落ちろ。全員死ね!」と心の中で叫んでいた。


──だがこの日はいつもの日々とは180度違っていた。


そう思った時、目の前がスンと真っ白になった。

何も見えない、聞こえない、感じない。


そこで思った。


(神様が自分の願いを聞いてくれた!)


心の煙がスーッと消えていくように軽くなった。

悩みは全部、生きている生き物と共に消えた。


嬉しかった。

もう人と比べて自分を卑下することもなければ、人と喋り、自分だけが緊張して耳を赤らめるなんてことが無くなった。


だが、人生はそう甘くは無い。


気づけば消毒の匂い、背中を伝うモフモフとした感触。

自分は病院のベッドの上に横になって寝ていた。


「先生、意識が回復しました」


声のする方をむくと、白いナース服を来ている綺麗な女性が立っていた。

そう、自分はいきなり立ち上がったことにより貧血を起こして倒れていただけだった。


(またか......)


この光景を見るのは、もう100回は超えているだろうか。

いつも同じ出来事の繰り返し。


いつものように自分を卑下し、心で人類滅亡を叫ぶ。

そして、病院のベッドで目を覚ます。


そうなったきっかけには心当たりがあった。


昨日、鏡を拾った。

それは、縁は錆びて、取っ手は折れ、鏡は割れている状態だった。

それを見て、何を思ったのか「直してみよう」そう思い、ホームセンターに寄り家に持ち帰った。


早速、鏡の修理に取り掛かった。

錆びていたところはヤスリで刷り、折れていたところは接着剤で繋ぎ合わせ、鏡は新しく買った新品でピカピカと輝いているものをはめ込んだ。


(綺麗だな......)


直した後の鏡は、拾った時とは見違え、新しく買いましたって程になった。

やり遂げた事の満足さで「この鏡は一生大事にしよう」そう決心していた。


その瞬間、幻聴が耳の鼓膜で震えていた。


「お前、オレサマの鏡を変えたな?」


重く低い声で誰かが言った。

ふと直したばかりの鏡を見て目を疑った。


その鏡には、目、口、手、足がついていた。


そいつは手足をバダバタと動かしながら、「オレサマの鏡を変えたからにはバツを受けてもらうぞ」と目を細めながら言ってきた。


「......バツ?」


自分はそいつが言ったことが気になり、聞き返してみた。

するとそいつは、顔を顰め口角が上がった。


「お前、自分の人生が無くなればいいと思っておるな?」


つい目を丸くしてしまった。

そいつが言っていることは当たっている。

いつも嫌なほど思っていたことだ。


「なんでそれを......」


「全部顔に出ておるわ」


そいつはため息混じりにそう言った。


「......決めたぞ。お前のバツは、お前が想像していることを現実にする力をやろう」


聞いて損だった。そいつは訳の分からないことを言い始めた。

たとえそれが本当だとしてもどうでもよかった。


「好きにしていいよ」


自分はボソッと呟いた。

するとそいつはこちらに手をかざしながら「まあ、いい」とだけ言った。


その瞬間、意識が闇へと沈んで言った。



そう、自分で自分を卑下し、人類滅亡を叫び、気づけばベッドにいるという状況をずっと想像していた。

いつも通りの人生でいいから変わった世界を見てみたかったからだ。



そしていつも通りその想像を繰り返した。

自分は多分これを死ぬまで繰り返すだろう。


──いや、死ぬことすらないのかもしれない。














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