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追放された俺のスキル【回収係】、 同じく追放された悪役令嬢や騎士を拾ったら最強国家ができていた  作者: ピラビタ


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9/10

迎撃戦

 夜の森は、ざらついた静けさを帯びていた。


 湿った土。

 苔むした岩。

 かつて街道だった名残の、崩れた石畳。


 ――誰も欲しがらなかった土地。


 だが今は、違う。


「……来たな」


 ガルドが、低く呟いた。


 その声に、緊張はない。

 だが油断もない。


 レオン=アルヴェインは、足元の地面を一瞥した。


(三歩先、落とし穴。

 右に寄れば、拘束罠。

 中央は――)


「予定通りだ」


 森の奥から、足音が響く。

 人数は四。足並みが揃っている。


 訓練された動き。

 だが、土地を知らない歩き方。


「隠す気がないのね」


 セレナが、呆れたように言った。


「隠す必要がないと思っているんでしょう」


 レオンは、静かに答える。


「ここが“空白”だと」



「止まれ」


 森を抜けて現れた男たちは、白を基調とした外套を纏っていた。

 胸元には、王都研究局の刻印。


「この先は管理地だ」


「管理?」


 先頭の男が、嘲る。


「ここは不要地だ。

 正式な登録もない」


「登録しました」


「……何?」


 レオンは、懐から書類を放った。


 空中で開かれ、魔力印が光る。


「一週間前付け。

 名義は私です」


 一瞬の沈黙。


 次の瞬間、男は舌打ちした。


「面倒な……」


「対象を出せ」


「実験体だ」


「この土地には関係ない」


「関係ある」


 男の声が、冷たくなる。


「ここに“反応源”がある」


 ――踏み込んだ。


 その瞬間。


 地面が、崩れた。


「っ!?」


 一人目が、膝まで沈む。

 即席の落とし穴。


 だが、それだけじゃない。


「拘束、発動」


 レオンのスキルが反応する。


 地面に仕込まれた廃棄魔具が、同時に起動。

 鎖状の魔力が、二人目の足を絡め取った。


「罠だと!?」


「罠しかない場所ですよ、ここは」


 セレナが、杖を振る。


 視界を覆う粉塵。

 視覚遮断。


「ガルド」


「ああ」


 次の瞬間。


 金属音。


 男の一人が、吹き飛ばされた。


 斬撃は浅い。

 だが、完璧に体勢を崩す。


「――撤退!」


 判断は早い。

 だが、遅い。


「逃がしません」


 レオンは、地面に手をついた。


「回収指定:廃棄魔具」


 周囲に埋められていた、壊れかけの魔導杭が反応する。


 本来は失敗作。

 魔力効率が悪く、使い物にならなかった代物。


 だが――


「十分だ」


 地面から、光が走る。


 魔導杭が、簡易結界を形成。

 逃走経路を塞ぐ。


「な……何だ、これは……!」


「不要だったものを、使っているだけです」


 最後に残った男が、歯噛みする。


「覚えておけ……!」


「覚えません」


 ガルドの拳が、鳩尾に入った。


 男は、気絶した。



 森に、静けさが戻る。


 倒れた男たちは、拘束されたまま動かない。


「……派手にやったわね」


「そうですかね?」


「精神的に、ね」


 セレナが肩をすくめる。


 その時。


 木々の奥で、気配が揺れた。


「……出てきていい」


 レオンが、声をかける。


 しばらくして、少女が姿を現した。


 小柄で痩せた体。

 目だけが、不自然に澄んでいる。


「……終わった?」


「はい」


 少女は、倒れた男たちを見る。


「また……来る?」


「来ます」


 即答だった。


 少女の肩が、びくりと震える。


「でも」


 レオンは、続けた。


「君を渡すつもりはない」


 足元の地面。

 罠だらけの、不格好な土地。


「守る手段は、いくらでもあります」


 少女は、しばらく黙っていた。


 やがて、小さく言う。


「……私、壊れる」


「壊れません」


「前も、そう言われた」


「ここでは、意味が違います」


 レオンは、はっきり言った。


「壊れたら、直す。

 余ったら、使う。

 それだけです」


 少女は、きょとんとした。


「……それだけ?」


「それだけ」


 風が、木々を揺らす。


 少女は、そっと息を吐いた。


「……ノア」


「?」


「名前。ノア」


 レオンは、微笑んだ。


「よろしく。ノア」


 その瞬間。


 スキル表示が、静かに更新される。


 回収可能対象:進行中

 干渉度:上昇

 外部圧力:継続


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