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追放された俺のスキル【回収係】、 同じく追放された悪役令嬢や騎士を拾ったら最強国家ができていた  作者: ピラビタ


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3/10

悪役令嬢は働き者だった

 辺境領に戻る馬車の中。

 向かいに座るセレナ=ヴァルディエは、ずっと窓の外を見ていた。


 話しかけるべきか迷っていると、彼女の方から口を開いた。


「……聞かないの?」


「何をですか」


「私が、どんな“悪役”だったか」


 俺は少し考えてから答えた。


「気になりますが、無理に話さなくていい」


「……変」


 そう言いながらも、彼女は小さく息を吐いた。


「私はね、“有能すぎた”だけ」


 セレナは淡々と語る。


「会計の不正を指摘して、

 婚約者の派閥の計画を潰して、

 無駄な予算を切った」


「それで悪役?」


「都合が悪かったのよ。

 女で、口出しして、しかも正論」


 苦笑混じりの声だった。


(……やっぱり)


 悪役令嬢ものでは、よくある話だ。

 だが、それが現実で起きれば、彼女は排除される。


「後悔は?」


「……少しだけ」


 彼女は窓から視線を外し、俺を見る。


「でも、嘘はついてない」


「それで十分です」


 辺境領に着くと、セレナは周囲を見回した。


「……何もないわね」


「ええ。自慢じゃないですが」


 そう言うと、彼女はくすっと笑った。


「正直で助かるわ」



 まずやるべきことは、住む場所の整備だった。


 使われていなかった古い館。

 屋根は傷み、床は軋み、埃が積もっている。


「住めなくはない……けど」


 俺が言う前に、セレナが腕をまくった。


「掃除からね」


「え?」


「人を“回収”したんでしょう?

 なら、使えるようにしないと」


 その手際は、見事だった。


「そこ、湿気が溜まってる。

 帳簿もまとめて。捨てないで」


「……詳しいですね」


「貴族令嬢よ?」


 呆れたように言いながら、

 彼女は古い書類を一枚一枚確認していく。


「……これ」


 セレナの指が止まった。


「この領地、税の算出がおかしい」


「え?」


「二重計上されてるわ。

 だから“採算が取れない土地”って判断されたのね」


 俺は、思わず息を呑んだ。


「直せますか?」


「ええ。むしろ、どうして今まで気づかなかったのか不思議」


 その瞬間、俺のスキルが反応した。


 ――【回収完了:有能人材】

 ――効果:領地管理補正(小)


「……やっぱり」


 俺は、静かに笑った。


「セレナ」


「なに?」


「この領地、きっと良くなります」


「……断言するのね」


「あなたがいるから」


 彼女は一瞬、言葉を失った。


 そして、顔を背ける。


「……そういうこと、簡単に言わないで」


「失礼でしたか」


「……いいえ」


 小さな声だった。



 その夜。


 簡素な食卓を囲みながら、セレナがぽつりと言った。


「ねえ、レオン」


「はい」


「……私、ここにいていいの?」


 その問いに、俺は即答した。


「いてください。

 あなたは、ここで必要です」


 セレナは、しばらく黙っていた。


 やがて、微笑む。


「……じゃあ、全力で働くわよ」


「期待してます」


 こうして、俺の領地は少しずつ動き始めた。


 捨てられた者たちが集まり、

 誰も見向きもしなかった土地が、

 確かに“価値”を持ち始めていた。


 ――次に回収されるのは、

 “人”か、それとも“土地”か。


 物語は、まだ始まったばかりだ。

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