別れ
「エルドラ様? どうしたんですかその光は……」
ラグの声が聞こえた。
「ここでお別れだ」
「ちょっと待ってください。どういうことですか? まさか!」
ラグがアカシックリーダーを見て震えている。
「ねえ、どうなってるの? 何が起こっているの?」
リリアが駆け寄ってくる。
「おいおい、やばくないかこれ。俺達どうなるんだよ」
ユリウスも動揺している。
「心配するな、全て元通りになる。神様もそう言ってくれた」
「神様が直してくれるんなんて、良かった」
「でもなんでエルドラ様が光ってるんだ?」
「嫌です、ここでお別れなんて言わないで下さい。一緒に居るって言って下さい」
ラグの目から涙が溢れている。
「ラグ、お前は見た目は幼いが、しっかりしている。皆を導いてくれ。頼む……」
「ちょっと待ってくれ、何を言ってるんだよ。何処に行くつもりなんだ? 俺達も連れて行ってくれよ」
「ねぇ! 何処に行くの? 置いていくなんて言わないで」
ああ、駄目だ。
引き離さないと。
俺の事を諦めてもらわないと。
でもどうすれば。
「ああ……俺が帰るべき所に帰るんだよ。お前たちは邪魔なんだ。付いてくるな」
「嫌です!」
「嫌っ!」
「ふざけるな!」
「くっ! ……見ろよ、俺のせいで世界が壊れちまった。俺は罰を受けるんだ」
「これから地獄に行くんだよ。お前らなんかに行ける所じゃないんだ!」
「嘘ですね。僕は騙せませんよ。本当のことを言って下さい」
「エルドラ様っ!」
「……」
俺の体が崩れるように消えてゆく。
世界に溶け込んでゆく。
もう隠しきれない。
「俺の体を使って世界を修復する。もう戻れない。俺は集合意識へ帰るんだ」
「すまない、連れていってやれない。この世界でちゃんと生きてくれ」
「お前たちがそこへ行くのはまだ早いんだ」
「リリア、どうか幸せに生きてくれ。そんな体にしてゴメンな。いつか人間に戻れるといいな」
「嫌だぁ、エルドラ様! 行かないでぇ!」
リリアが泣き叫ぶ。
「ユリウス、お前がリリアを守るんだ、頼んだぞ」
「……言われるまでもない」
ユリウスが拳を握りしめる。
「ラグ! 皆のことを! たのん……」
ついに体は崩壊し、光となって拡散する。
同時に、体の中に取り込まれていた魂達が解放される。
多くの魔獣や魔物たち。
俺の魂からこぼれ落ちて広がってゆく。
その中に一つ、強く光り輝く魂が寄り添ってきた。
母さん……
俺は空へと昇ってゆく。
集合意識へと向かって。
地上から泣き叫ぶ声が聞こえる。
もう耳は無いのに、声が聞こえてくる。
もう戻ることは出来ない。
それは許されない。
時間がさらに修復され、一気に世界が動き出す。
世界の破片が落下してゆく。
世界の崩壊はすぐには収まらない。
しかし亀裂は狭くなってゆく。
その隙間から岩のような断片が降り注いでいる。
そして俺は、その隙間へと消えた。




