17話 初めての竜化
竜化能力を奪われた勇参は、激しい痛みによって気を失っていた。
二足歩行型のロウヤ竜は、いきなりしゃがみこむと、地面に膝をついた。
ロウヤ竜は崩れ、村澤浪夜に戻った。
ーミノウチ竜が初めて竜化するのは、聞くところによると十代の前半から、遅くても二十代の前半・・・。
若き魔術師のメイナートが言った。
ーオッサンのアンタには負担が大きすぎたようだな。
ー・・・黙れ。
ーんあ?
ーまだだ・・・まだ終わっていない・・・この能力を我がモノとするまでは。
ーイヤ、何言ってんの。アンタ。
ーおい、このガキはどうすんだ。
射手のマドが倒れた勇参の方を見ながら言った。
ーアンタがさっきの青い光で、コイツから竜化する力を奪ったんなら、もう用済みってことだよな。
ー・・・。
ーよし。殺すぞ。
ーいいや、駄目だ。
浪夜が言った。
ーイサンはシハルへ連れて行く。
ー・・・。
ー我々の科学研究班がミノウチ竜の身体を調べたがっている。
ーふざけんじゃねえよ。コイツは俺たちの仲間を殺した仇だ。
マドの近くにいたマギが反論した。マギは右手に矢尻を持っていた。それからマギは、誰にも邪魔させねえ、と喚いた。
ーやめろ。
浪夜が山賊に警鐘を鳴らした。
それから浪夜は、山賊に、将来を台無しにしたいのか、尋ねた。
ー・・・。
マドは、浪夜や他の魔術士達からの敵意を感じた。少しでも動けば殺られる・・・冷たい殺気を肌で感じ取っていた。
ーマギ。止せ。
ー・・・。
ー・・・。
ーフン、クソが。
マギは引っ込んだ。
メイナートは浪夜を睨んだ。
ーロウヤ・・・その力はお前が使うための力じゃない。忘れたのか。
ー・・・。
ーこれは我々から皇帝への贈呈品だ・・・我々全員からのな。
浪夜は不穏に高笑いした。
竜化直後で、かなり消耗しているようだった。
ーメイナート。
ー・・・。
ー皇帝に献呈するミノウチ竜は別の、もっと強い竜でなければならない。
ーもっと強い竜?
浪夜は立ち上がった。心臓の動悸が激しいのか、彼は自分の手で心臓のところを抑えていた。
ー最初からイサンはただの囮にすぎない。
ー・・・。
ー本当の狙いは、村澤雨泉浪の拘束。
ー・・・。
ー又は殺害だ。
ー死んだ人間から竜化能力は奪えない。
フラン・ヴェイユが浪夜に言った。
ーそれに村澤雨泉浪は強敵だ。
ー・・・。
ーここは村澤勇参から竜化能力を奪えたことで満足すべきだ。
ー・・・。
ー帰りましょう。
ー同意だな。
フラン・ヴェイユからの提案にメイナートは同意した。
二人は浪夜からの返事を待った。
しかし、声の返答は意外な方向・・・二人の背後から飛んで来た。
ーそれはダメだ。
大男の魔術士、スレーターが、この夜、初めて口を開いた。
ースレーター?
フラン・ヴェイユが意外そうな声を出した。
ー君たちは皇帝のことを何も知らないな。
ー・・・。
ー村澤浪夜のお下がりになど、皇帝は興味も示されない。
ー・・・。
ーだから、ウィズローを捕える。
ー・・・。
ーそして生きたままの村澤雨泉浪を皇帝の前へ差し出す・・・生身で新鮮なミノウチ竜をな。




