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ミノウチ竜綺譚  作者: 葉色
第3章 竜冥山の向こう側
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17話 初めての竜化


 竜化能力を奪われた勇参(イサン)は、激しい痛みによって気を失っていた。


 二足歩行型のロウヤ竜は、いきなりしゃがみこむと、地面に膝をついた。


 ロウヤ竜は崩れ、村澤浪夜(ロウヤ)に戻った。


 ーミノウチ竜が初めて竜化するのは、聞くところによると十代の前半から、遅くても二十代の前半・・・。

 若き魔術師のメイナートが言った。


 ーオッサンのアンタには負担が大きすぎたようだな。

 ー・・・黙れ。

 ーんあ?

 ーまだだ・・・まだ終わっていない・・・この能力を我がモノとするまでは。

 ーイヤ、何言ってんの。アンタ。


 ーおい、このガキはどうすんだ。

 射手のマドが倒れた勇参の方を見ながら言った。


 ーアンタがさっきの青い光で、コイツから竜化する力を奪ったんなら、もう用済みってことだよな。

 ー・・・。

 ーよし。殺すぞ。

 ーいいや、駄目だ。

 浪夜が言った。


 ーイサンはシハルへ連れて行く。

 ー・・・。

 ー我々の科学研究班がミノウチ竜の身体を調べたがっている。

 ーふざけんじゃねえよ。コイツは俺たちの仲間を殺した仇だ。

 マドの近くにいたマギが反論した。マギは右手に矢尻を持っていた。それからマギは、誰にも邪魔させねえ、と喚いた。


 ーやめろ。

 浪夜が山賊に警鐘を鳴らした。

 それから浪夜は、山賊に、将来を台無しにしたいのか、尋ねた。


 ー・・・。

 

 マドは、浪夜や他の魔術士達からの敵意を感じた。少しでも動けば()られる・・・冷たい殺気を肌で感じ取っていた。


 ーマギ。()せ。

 ー・・・。

 ー・・・。

 ーフン、クソが。


 マギは引っ込んだ。


 メイナートは浪夜を睨んだ。


 ーロウヤ・・・その力はお前が使うための力じゃない。忘れたのか。

 ー・・・。

 ーこれは我々から皇帝への贈呈品だ・・・我々全員からのな。

 

 浪夜は不穏に高笑いした。

 竜化直後で、かなり消耗しているようだった。


 ーメイナート。

 ー・・・。

 ー皇帝に献呈するミノウチ竜は別の、もっと強い竜でなければならない。

 ーもっと強い竜?


 浪夜は立ち上がった。心臓の動悸が激しいのか、彼は自分の手で心臓のところを抑えていた。


 ー最初からイサンはただの囮にすぎない。

 ー・・・。

 ー本当の狙いは、村澤雨泉浪(ウィズロー)の拘束。

 ー・・・。

 ー又は殺害だ。


 ー死んだ人間から竜化能力は奪えない。

 フラン・ヴェイユが浪夜に言った。

 

 ーそれに村澤雨泉浪は強敵だ。

 ー・・・。

 ーここは村澤勇参から竜化能力を奪えたことで満足すべきだ。

 ー・・・。

 ー帰りましょう。

 ー同意だな。

 フラン・ヴェイユからの提案にメイナートは同意した。


 二人は浪夜からの返事を待った。

 しかし、声の返答は意外な方向・・・二人の背後から飛んで来た。


 ーそれはダメだ。

 大男の魔術士、スレーターが、この夜、初めて口を開いた。


 ースレーター?

 フラン・ヴェイユが意外そうな声を出した。


 ー君たちは皇帝のことを何も知らないな。

 ー・・・。

 ー村澤浪夜のお下がりになど、皇帝は興味も示されない。

 ー・・・。

 ーだから、ウィズローを捕える。

 ー・・・。

 ーそして生きたままの村澤雨泉浪を皇帝の前へ差し出す・・・生身で新鮮なミノウチ竜をな。

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