第99話 温かな気遣いをしました! +1000pt
建築中の通路街で一泊してもらい、ユニ蔵とゴールド級の人たちにはのんびりしてもらった。
昼に肉欲を満たしたので、夜は食欲と風呂を大いに楽しんだらしい。
そして朝。
完全に毒気の抜けた彼らがやって来た。
「それではミアンさん、女王アリ退治に行きましょう」
「行きましょう行きましょう」
戦士長に誘われて、俺は仕事に向かうことになったのだった。
なお、後からマキナがついてくる。
「私はミアンの護衛ですから! 護衛兼、妻です!」
「いいでござるなぁ……」
ジュエル級冒険者ユニ蔵、なんと羨ましそうな顔をするんだ。
ジュエル級なんだからモテるんじゃないのか。
「僕らの場合、あまりにも強すぎて神格化されているので女性陣が牽制しあってて抜け駆けして来ないのです」
「戦士長、なんて悲しいことを言うんだ」
結果的に彼らは女性と関わる暇もなく、仕事に明け暮れているのだ。
忙しいからじっくり関係を作る時間もないとか。
「今度侯爵に言って女の子と遊べるくらいの長期休みを申請してあげますよ……」
「本当ですか! 助かります……」
この国、俺がやって来るまで、人員関係はカツカツで回してたみたいだし。
外のこの危険さを思うとゴールド級の人たちは手放せないだろうな。
今はゴーレムも増えて、余裕は出てきてるみたいだ。
俺が侯爵に手を貸して、ゴールド級の人々にも人間らしい生活をさせてあげよう。
『ウグワーッ! 温かな気遣いをしました! 実績・気が使える男はモテる! 解除! 1000pt獲得!』
「もうモテなくていいなあ」
チャットボットの言葉にボソッと答えたら、ゴールド級の人々がザワッとした。
いかーん!!
「さ、さあ行きましょう行きましょう!」
インビンシブル号を駆り、現場まで向かう。
装甲化しているこのキャンピングカーはとても強いので、途中に現れる兵隊アリなどが相手にならない。
「おりゃー!」
マキナの気合一閃、ロボットアームが兵隊アリをちぎっては投げ、ちぎっては投げ。
「おー、やりますね!」
「俺等が暇なのはいいことだ」
「この光景を眺めながらお茶とお菓子までもらっちゃっていいの? 悪いねえ」
みんなまったりしている。
ユニ蔵と吟遊詩人は、ヨルカに案内されてキャンピングカーの中を見学中だ。
「風呂が広いでござるぞ! こんなスペースがどうやって……面妖な……。これは入って確認するしかござらんな」
「ああ、ひとっ風呂浴びたら一曲できそうだ……」
チラチラ俺を見てくる。
「入っていいですよ。仕事までには出てきてくださいね」
やっほー!と歓声を上げて風呂に飛び込んでいく二人なのだった。
「なんというか……。無邪気な連中じゃのう……」
呆れるヨルカ。
結局、二人が風呂から出てくるまで一時間くらいあったので、アリの巣の前でのんびり待機することになったのだった。
そして風呂上がりのユニ蔵と吟遊詩人を加え、俺達はついにアリの巣へ。
「因子収束。光源よ我が頭上へ。ライティング」
魔道士がサラッと魔法を使い、光を生み出した。
デリアよりも詠唱が短くて、なのにバッチリ効果を発揮してるな。
これがより高度な魔法の使い方なのか。
「魔法はね、慣れるほど言葉に出す必要がなくなるんだ。詠唱はイメージの補強。このイメージを頭の中で固められれば、一言、二言でどんな魔法も使える」
魔道士の人が説明してくれた。
なるほどー!
「私の神聖魔法の場合は少し異なっているんだ。これは信仰というイメージから魔法を再構築したものでね。我々の代替として魔法を使う仮想上位人格、神を作り出して、魔法を行使してもらう。ちょっと面倒なんだが、使いこなせれば私と神で同時に行動ができるわけだ」
「司教とか司祭ってそういう概念なんですねこの世界!!」
信仰対象としての神がおらず、その役割は貴族が担っているのだ。
結果的に神は、神聖魔法のために作られる仮想人格になっていると。
『ウグワーッ! 異世界知識を学びました! 実績・魔法いろいろ! 解除! 800pt獲得!』
ほんとに、前世で知ってたファンタジーものと全然違うよこの世界。
なお、吟遊詩人の魔法は歌にイマジネーションを載せることで、より複雑で多彩な効果を持った使用が可能だということ。
「皆さん因子を使うんですよね? じゃあ私、ブレスは使わないようにしなくちゃ」
「ああ、人竜族のブレスは因子をすごく消費するって聞いてるからね。我々が戦うので控えてもらえると嬉しい」
魔道士の人が紳士的にお願いしてきた。
その背後から飛び出してくる、奇襲タイプのアリ!
すると、魔道士の周囲でカンカンカン! と音が鳴った。
警報の魔法!?
魔道士は振り返らずに「突き立つ槍の檻。アーススピア」と呟いた。
地面が槍状に突き出し、アリを串刺しにする。
「悪い悪い!」
そこに駆け寄ってきた盗賊が、アリの背筋に短剣を突き立てた。
アリが動かなくなる。
「女のことばかり考えてたな? お前らしくもない」
「いやあ、悪かったって。気配はしたんだけど弱そうだったから、大丈夫かなって」
軽口を叩き合っているが、超一流の気配がする……。
「さすが、プロフェッショナルな仕事だなあ」
「ミアンも凄いってところ見せていいんですよ! 私、期待してますからね!」
近づくアリを、ショット薙刀で牽制しながら、俺にキラキラした目を向けてくるマキナ。
よし、じゃあアリ退治スプレー買っちゃおうかな。
「巨大アリもイチコロ! アリハンター!」
黒字に銀の文字が書かれたスプレー缶をゲットした。
「そいつは一体? というか、何も無いところから物を取り出した!? それがミアンさんの能力か!」
「まあそんなもんです。これでアリを……プシューッと!」
魔道士に答えながら、スプレーを噴射する。
すると、先にいたアリが『キシシーッ!?』と悲鳴を上げてひっくり返った。
ピクピク痙攣している。
おお、巨大アリも一撃!!
「なんの因子も消費していないのに……! その霧吹きのようなもので一吹きするだけで!」
「なるほど、これが新たなジュエル級冒険者の実力……」
「アリ退治スプレーの実力です」
俺が答えても、ご謙遜を……なんて言われてしまうのだった。
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